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JRiver Media Center vs TuneBrowser (2022/8/24追記)

JRiver Media CenterとTuneBrowserは度重なるバージョンアップにより音質面・機能面ともに着実に成長し続けるPCオーディオの中核的存在です。両ソフトは単独使用でも十分に持ち味を発揮してくれますが、2022年8月時点でオーディナリーサウンドではこの2つのソフトを有機的に結合させて利用しています。

具体的には、TuneBrowserの出力をネットワーク経由でMac版JRiver Media Centerに接続し、JRMCのコンボリューションでルームアコースティックに最適化された音声をリファレンスDACとして利用しているUniversal AudioのApollo x6でアナログ変換後、リファレンススピーカーのADAM Audio S2Vで聴いています。

ネットワーク経由で別のPCに接続されたDACに出力できるのはTuneBrowser 5.1.6に搭載された新機能によるものです。わざわざ別PCのDACに出力している訳は、Apollo x6がMac上でなければ安定して動作してくれないからです。

過去にはどちらのソフトをメインに使っていくか悩ましい面も多々ありましたが、現在は双方のソフトのメリットを活かした有機的な使用ができるようになったことは喜ばしいことです。

以下はJRiver Media CenterとTuneBrowserの特色の抜粋です。

JRiver Media Center

JRiver Media Centerはネットワーク機能が充実しています。マルチプラットフォーム(Windows/Mac/Linux)上で動作し、DLNAサーバー・DLNAレンダラーとしての利用が可能です。NASが無くてもPCをDLNAサーバーとして使えるのでネットワークオーディオプレーヤーとの組み合わせでネットワークオーディオを構築できます。また好みのOSのパソコンにUSB DACなどをつなげばDLNAレンダラーとしてネットワークオーディオを構築できます。これとは別に一般的なPCオーディオとして使う場合も、スマホやタブレットの専用コントロールアプリで快適に操作できます。

JRiver Media Centerのもう1つの魅力は潤沢なデジタルオーディオプロセッシングです。アップサンプルはもとより、コンボリューションによるルームアコースティックに最適化された再生ができます。roonやHQ Playerと同等の機能が内蔵されている点は特筆ものです。VSTプラグインも従来のVST2に加えてVST3が使えるようになりました。潤沢なプラグインを使い分けることでPCはプレーヤーだけでなく優れたオーディオプロセッサーとして利用することができます。例えば、PCがデジタルオーディオプレーヤー+真空管プリアンプになります。

またWindows版に限りますが、2つの仮想ドライバ(ASIO/WDM)はデジタルオーディオプレーヤーの柔軟性を拡張してくれます。任意のソフト(Amazon Music/Spotify/Webブラウザを含む動画再生ソフト/ASIO対応ソフトなど)の出力先をJRiver Media Centerにすることができます。これにより、上記のデジタルオーディオプロセッシングの対象がJRiver Media Centerで再生するものに限定されずあらゆるPC内の再生音となります。他にもAmazon MusicなどをDirettaで再生するような事もできるようになります。

TuneBrowser

メタデータを柔軟に保持できることに長けたTuneBrowserは音楽好きにこそ活用して欲しいソフトです。ファイルとして構築される今日のデジタルオーディオソースの巨大なミュージックライブラリーから柔軟に楽曲にリーチできるTuneBrowserは、PCレスのネットワークオーディオには真似することのできない孤高の司令塔(コントロールセンター)です。例えば、複数ジャンルに属するアーティストも、複数アーティストによるコラボアルバムも埋もれることなく見つけ出すことが容易になります。プロデューサーで分類することも可能でしょう。

バージョン5.1.6のレンダラーを指定して再生するプッシュ型ネットワークオーディオ機能は、TuneBrowserの魅力を幅広いシーンで活用できるようにする強力なツールです。もはやPCオーディオとネットワークオーディオを議論する事自体がナンセンスと言えるかもしれません。それぞれの得意分野を活用した柔軟なシステムが構築できるようになってきました。

また、TuneBrowserは純国産のソフトでることも重要です。ハードと異なりソフトは動作環境によって思うように使えなかったりすることがあるためサポート体制が重要ですが、この点においてもTuneBrowserは音楽再生ソフトのベストチョイスと言えます。オフィシャルのフォーラムも高い質で運用されています。多くの音楽再生ソフトは海外製でオフィシャルのサポートはあまり期待できません。

JRiver Media CenterとTuneBrowserのVSTプラグイン機能

VSTプラグインはWindowsとMacで動作する世界標準のプラグインの規格でVST2とVST3がありますが、既にVST2はサポート終了になっているようです。音楽再生ソフトでVST3を謳うものは限定的ですが、中でもまともに動作するソフトは以前はTuneBrowserだけだったのではないでしょうか。※勿論、DTM系は除きます

以前はVST2のみ対応のJRiver Media Centerでしたが今日ではVST3にも対応しているため、プラグインの対応としてはJRiver Media CenterとTuneBrowserは対等と言えそうです。※個々のプラグインの動作状況には差があるかもしれません。

今後も試行錯誤は続きそうですが、当面はJRiver Media CenterとTuneBrowserの共存となりそうです。共に試行錯誤する価値が十分にあるネットワークオーディオを包含した音楽再生ソフトの主峰です。※roonについても追々評価する予定です。

ローカルミュージックライブラリーの一元管理・再生を音のクォリティを犠牲にすることなく快適に利用するベストな方法はPC(Win/Mac)の音楽再生ソフトを利用することです。

他にも家庭内のミュージックサーバーとこれに対応するプレーヤーをLAN(ローカルエリアネットワーク)接続する方法や、再生メディアとしてSSDなどの大容量ストレージを直接接続(あるいは内蔵)できるプレーヤー等様々な手段はありますが、柔軟性・拡張性・快適性と言った面でPCを利用する方法の右に出るものはありません。※これは好みやスキルの問題も絡んでくるので使いやすいものを利用すればよいでしょう。

オーディナリーサウンドがPCを音楽再生として本格的に使い始めるきっかけとなったソフトはWindowsのデファクトスタンダードと言って差し支えないfoobar2000です。フリーソフトにもかかわらず出来ない事は無いと思えるほどの機能を自由に選択して追加できます。多機能でありながらもライブラリー管理(データベース)や再生動作は一番と言ってよいほどに軽快で実に素晴らしいソフトです。難点は導入の敷居の高さでしょうか。PCやデジタルオーディオにある程度のスキルを要するかもしれませんが、ネット上の情報は他のソフトに比べても比較にならない程豊富ですから利用価値の高いソフトです。

ただし、このところはfoobar2000に限界を感じるようになってきたため、純国産のWindowsソフトであるTuneBrowserとの併用も暫く続いていました。TuneBrowserも過去のブログに多く掲載したように素晴らしいソフトです。作者のPCによる音楽再生への熱意が実によく伝わってくるライブラリー管理と再生機能を持っています。

JRiver Media Center(有償)も数年前から PC の中に入っていますが、起動する機会はほとんどありませんでした。

目次

JRiver Media Center を使ってこなかった理由

主な理由は以下のとおりですが、最新バージョンでも大きな変化はないようです。

  • 動作が緩慢(特に音楽ライブラリーを管理するデータベース)で曲や曲情報の追加・更新のレスポンスが悪い(と感じることがままある)※64bit版の登場以降でしょうか、動作パフォーマンスの不満は解消されました。
  • 画面設計に古臭さを感じ、バージョンアップでも大きな改善が見られない ※ 64bit版の登場は評価しています
  • 快適なライブラリー管理に不可欠なタグ編集・アルバムアートワーク管理の機能が他と比べて見劣りする
  • 製品名称(Media Center)のとおりに音楽に特化したソフトではないために、操作体系が煩雑である(音楽情報に不要なタグ項目があるなど)
  • リッピングの機能と性能が専用ソフトに比べて物足りない ※これはfoobar2000も同様

リファレンスをJRiverに変更する理由

  • タブレットなどを快適なリモコンとして利用するリモートアプリ JRemote(有償)が秀逸である。これにより上記の欠点を部分的にカバーすることもできる。
    ※ TuneBrowserはリモートアプリにKazoo(フリー)を使うことでリモート操作可能。foobar2000はリモートアプリの MonkeyMote(有償)があるがJRemoteには及ばない。
  • オーディナリーサウンドがCDリッピングで標準にしている1disc1file形式をサポートしている。※1disc1file形式の限界を感じたため現在は1track1file形式に移行
  • VSTプラグインを複数同時使用した際の動作が安定している
    TuneBrowser を断念している最大の理由はVSTプラグイン非対応であることです。※TuneBrowserはVST3に対応しました。foobar2000は追加機能でVSTプラグインに対応しますが追加機能コンポーネントが長年アップデートされておらず時々動作が怪しい。他にも VSTプラグイン対応ソフトを試しましたが結果は芳しくありませんでした。
  • マルチプラットフォーム対応の数少ない再生ソフトである ※Windows、Mac、Linux 対応です
  • コンボリューションをはじめとするデジタルオーディオプロセッシングが秀逸

上記の中でも最大の理由はVSTプラグイン対応コンボリューションにあります。※デジタルプロセッシングの主役はVSTプラグインからコンボリューションへ変更しました

VST等のプラグインは音を加工するためのものであって、純粋に音楽を再生するソフトには相応しくない不要な機能だよ

VSTプラグイン等は音を加工するだけのものではありません。
音質を劣化させている様々な問題を解決して最適化することで本来の音を蘇らせるピュアオーディオ的な役割を担ってくれます。

「VST などのプラグインは音を加工するためのものであって、純粋に音楽を再生するソフトには相応しくない不要な機能である」といったような解釈は誤りで、再生メディア(ソース)に入っている本来の音を再現するために有効なプラグインの存在があまり知られていないような状況です。

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このような理由で JRiver Media Center(最新バージョンは29)を当面のリファレンスとして使っていくことになりそうです。また、タグ編集などJRiverで不十分な点をカバーできるツールも検討していく必要がありそうです。

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