折角リッピングするならCDに収められた情報を出来るだけ忠実に取り込みたいものです。なぜなら、主にCDプレーヤーで再生しているにしてもCDがダメになった時には主役として遜色なく働いてもらわなくてはならないですから。
リッピングには様々なソフトがありますが、WindowsならフリーのCUETools に入っているCUERipperがおすすめです。PureReadはリッピングツールを選びますがCUERipperなら安心です。

相性の良いCUERipperとPureRead
リッピングするにはCDを読み取るためのドライブと、読み取ったデータをファイルに保存するソフトが必要です。
CDに対応した光学ドライブならどんな製品でも単にリッピングすることは可能でしょう。しかしCDに入った音楽データを読み出す仕組みを知っていればリッピング用ドライブはPureRead搭載機一択になります。
RureRead搭載ドライブを選ぶ理由
音楽CDはPCやスマホで扱うファイルとは読み出しの動作が異なります。元々CDプレーヤーで再生することが前提のCDは、盤面のキズや汚れなどで音楽データを読み出せない箇所にさしかかっても出来るだけ再生し続けるといったポリシーで動作します。読み出せない場所は仕方がないので前後のデータを元にデータを作り出して再生を継続します。これを補間と呼びます。軽微な補間なら聴いて気付くことも少ないでしょうしリッピングが登場するまでは大して問題にもされていなかったのではないでしょうか。
因みにPCやスマホで扱うファイルは読み出せないからと言って勝手に補間するわけにいかないことは言うまでもありません。
リッピングもCDを再生する場合と同じで、盤面のキズや汚れなどで読み出せない箇所のデータは補間されます。リッピング元のCDの一部読み取れなかったデータは補間として類推して作られたデータですからビットパーフェクトにはなりようがありません。これはどうしようもないことですが、通常の光学ドライブを使うとリッピングした音楽ファイルの中身が完璧にCDの中身と同じなのか、それとも補間処理によって差異があるのかわからないといった問題があります。
PureReadは3つの動作モードを選択することができて、その中の「パーフェクトモード」を使った場合は、読み取り不能なデータがあるとリッピングを中止するといった動作をします。つまり、パーフェクトモードでリッピングを完了した場合は、元のCDと同じ音楽データのファイルが作られ補間データは一切含まれないことを意味します。名前のとおり”パーフェクト”なリッピングです。
リッピングも枚数がかさむと要する時間もばかになりませんから、PureReadでパーフェクトにリッピングしたいものです。
PureReadを使えばリッピングソフトは何でもいい訳ではない
PureReadはメーカーが言っているようにすべてのリッピングソフトウェアでの動作を保証してはいません。実際に様々なリッピングソフトで試してみると怪しい動作のソフトも少なからず存在することがわかります。
関連記事:CD取り込み時のデータ補間発生を嫌うなら JRiver のリッピングはお勧めできない!? 注)JRiverに限ったことではありません!
また、PureReadが正常動作しても、どのようなコンディションでリッピングされたのか記録を残さないソフトもあります。後になってリッピングしたこの音楽ファイルはパーフェクトなのかどうか?わからずじまいになりかねません。
CUERipperはWindowsで一押し
少し以前のことですが、WindowsでPureReadに適したリッピングソフト(リッピング機能付き音楽再生ソフトを含む)を検証したことがあります。その際にPureReadが正しく動作するソフトは4つ程度でした。その中の1つはPureReadドライブ同梱ソフトですがリッピングソフトとして使い辛く即却下でした。残るは定番のdBpoweramp CD RipperとEAC(Exact Audio Copy)、それと日本でマイナーな存在のCUERipperです。
当時のdBpoweramp CD Ripperはリッピングのログを自動保存しない事とキューシート形式非サポートで却下です。EACも当時の版は内部キューシート形式保存に未対応、何より小難しい(笑)で却下です。※EACでリッピングした外部キューシート形式は後処理としてfoobar2000を使えば内部キューシート形式を作れます。最近のdBpoweramp CD RipperやEACは触っていないのでどうなっているかわかりません
CUERipperはトラック単位でリッピングのログを自動保存してくれます。キューシート形式にも対応し内部キューシート形式で保存されると同時に外部キューシートも作ってくれます。アルバムアートも埋め込みと同時に外部参照用のfolder.jpgも作ってくれます。何よりシンプルなユーザーインターフェイスで操作が快適です。※トラック単位にファイルを作る一般的な保存形式にも対応しています。
エラー訂正(と補間)はPureReadに一任するので、CUERipperは余計なことをしないバーストモードが高速で快適です。バーストモードでパーフェクトモードは正常動作します。※頑張っても読み取れない箇所でリッピングは中止されます。リッピングを完了した場合はログにエラー訂正の記録はありません。
こんな訳でオーディナリーサウンドでは長年不動の座でCD取り込みに使っているのはCUERipperです。ただ、安定版のアップデートが暫く滞っているのが気掛かりですが。。。
CUERipperの基本操作
CUERipperのダウンロードと起動
CUERipperの入手方法と起動について紹介します。
※動作環境としては 最新版のWindows10で動作することを確認しています。(Windows 7 でも問題なく使えていました。)
CUERipperのダウンロード
- http://cue.tools/wiki/CUETools_Download#Download にアクセスしてCUETools_2.1.6.zip をクリックしてダウンロードする。
- ダウンロードした CUETools_2.1.6.zip を(右クリックするなどして)解凍する。
※2020/3/14現在、安定版はver.2.1.6です。
CUERipper の起動
- 解凍してできた「CUETools_2.1.6」フォルダーの中の CUERipper.exe をダブルクリックする。

CUERipperを初回起動時に下の画像のようなメッセージが表示されたら、「この機能をダウンロードしてインストールする」をクリックします。
「ダウンロードしてインストール」した場合は、再度CUERipperをダブルクリックして起動します。
リッピング用のドライブを認識すると画面上部にドライブの名称が表示されます。 ドライブにCDがセットされていると画面中央のトラックリストに表示されます。

PIONEER BD-RW BDR-XD05 (ドライブ)が認識されています
オンラインCD情報
インターネットに繋がっていれば、セットしたCDの情報を自動的に検索します。複数の候補が見つかった場合は、何れを採用するか選択します。(上から2つ目のドロップダウンリスト)

このCDの場合、候補が4つ検索されました。それぞれアイコンが異なっていて候補2番目はMusicBrainzから、候補4番目はfreedbから見つけたようです。
トラックリストとアルバム情報の表示切り替え
「Meta」ボタン(画面左上)をクリックすると、トラックリスト(画面中央)はアルバム情報表示に切り替わり、「Meta」ボタンが「Tracks」になります。「Tracks」ボタンで元のトラックリストに切り替わります。
アルバム情報
次の項目のアルバム情報が表示されました。
- Artist
- Title
- Genre
- Year
- DiscNuber
- TotalDiscs
- DiscName
- Label
- LabelNo
- Country
- ReleaseDate
- Barcode
- Comment

アルバムアート
- アルバムアートが見つかると画面下に表示されます。
- アルバムアートを右クリックすると拡大表示され、右クリックしたままドラッグすれば拡大表示位置を移動できます。
- アルバムアートをクリックするとアルバムアートは表示されなくなります。複数のアルバムアートが見つかった場合は、クリックする度に別のアルバムアートを表示します。
- アルバムアートをマウスオーバーするとステータスバー(画面下部)にアルバムアートのURLが表示されます。
Cover Art Archive
アルバムアートをマウスオーバーしてステータスバーを見てみると、「https://coverartarchive.org/・・・.jpg」なる見慣れないURLが。。。
なんでも、全てのアルバム・カヴァーをコレクションすることを目標としているアーカイブ・プロジェクトだそうで、MusicBrainzも絡んでいるようです。
Submit(投稿)
タグを編集した場合はfreedbとMusicBrainzに投稿できるようです。(やったことはありません)
freedbに投稿したければfreedbアイコンが付いた「Submit」ボタン(画面上右側)を、MusicBrainzアイコン(画面右下)をクリックします。
リッピング
保存先とファイル命名規則の設定
トラックリストの下にリッピングした際のパスが表示されています。
例)E:AudioCD-DATedeschi Trucks BandEverybody’s Talkin’Everybody’s Talkin’.flac
パスをクリックすると、文字列が次のようになります。
E:AudioCD-DA%artist%%album%%album%.cue
E:AudioCD-DAの中にアーティスト名のフォルダー、アルバム名のサブフォルダー、その中にアルバム名のCueファイルとFLACファイルが作られることを意味します。
この文字列をカスタマイズすることで任意のフォルダに任意のファイル名でリッピングしたファイルを保存することができるようになります。
リッピングの実行
「Go」ボタン(画面右下)のクリックでリッピングを開始します。
リッピングし終えると次のようなファイルができます。

拡張子.cueをメモ帳などのテキストエディターで開くとオンラインで取得したCD情報がCUEファイル(キューシート)にどのように反映されているか確認することができます。Cue Sheetについてもあわせて読んでみてください。
関連記事:
CUERipperの活用法:モバイル CD リッピング
CUERipperとPureReadの組み合わせで簡単に高精度なリッピングができるのは宅内に限りません。
CUE RipperはPCにインストールする必要がないのでUSBメモリー等に保存して起動することができます。宅外でリッピングする時も外付けタイプのPureRead搭載ドライブとCUERipper の入ったUSBメモリーがあれば任意のWindowsパソコンにつないでUSBメモリーに取り込むことができるでしょう。
レンタルCD屋さんの近くのネカフェでCDをUSBメモリーに取り込んで、CDはさっさと返却するなんてことも出来るかもしれませんね。※実際に試したことはありません。
ダイソーのケースに入った外付け PureRead 搭載ドライブとUSBケーブル、それにUSBメモリー。このケース、うまい具合に収まります。

このように Windows パソコンを持っていなくても何とかなるのも CUERipper と外付けドライブの強みです。