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- 評判のスピーカーに買い換えたけど思ったほどの音質ではなくガッカリした
- 店で試聴して気に入ったので購入したが、試聴した時とマイルームでは音が全く違って唖然とした
- スピーカーを色々と替えてみても音のこもりは一向に解消しない
このような問題はスピーカー自体の性能や他のオーディオ機器との相性が原因であるとは限りません。
むしろ問題の原因は聴いている部屋である場合がほとんどです。
スピーカーはルームアコースティック(室内音響)からどのような影響を受けているのか?ルームアコースティックの何処に問題があるのかを知る方法は?問題を解決するにはどうしたら良いのか?を知ることでスピーカー本来の音質を発揮するための策を講じることができます。
- スピーカーはルームアコースティック(室内音響)からどのような影響を受けているのか?
- ルームアコースティックの何処に問題があるのかを知る方法は?
- 問題を解決するにはどうしたら良いのか?
※仮に部屋対策が好結果につながらなかった場合は、オーディオシステムのどこかに問題がないかを検討しましょう。
スピーカーはルームアコースティック(室内音響)からどのような影響を受けているのか?
多くの場合、周波数特性の100Hz~200Hzあたりに異常と思えるほどのピークが発生していて音質を大幅に損ねています。同様に中低域のどこかに極端なディップが発生しています。名機と呼ばれるオーディオ機器でも一般の部屋で再生するとこのような現象が起きてしまうことは避けようのない自然現象です。
定在波の現れ方はスピーカーを置く位置で変わります。その結果、左右チャンネルの周波数特性がばらついて音像定位を不明瞭にします。
ルームアコースティックの何処に問題があるのかを知る方法は?
ルームアコースティックの何処が問題になっているのかを素早く的確に知る方法は音響測定です。聴感だけで判断しても何処を解決すればよいのか具体的な答えは出ません。場合によっては的を得ない対策を取ることにより問題解決に至らないこともあります。
音響測定することで、どのような音響特性で音楽を聴いているのかが手に取るようにわかります。音質に問題を感じていなくても音響測定はオーディオの定期検診として役立ちます。
測定の有用性と信頼性についてこちらの記事をご覧ください。
測定しなくても問題点を確認できる簡単な方法があります。
スマホだけでも簡易的に測定する方法があります。
測定用マイクの紹介と使い方です。
PCとスマホの音響測定アプリです。中でもPC用のRoom EQ Wizardはおすすめです。
スピーカーで音楽を聴く場合に音質を向上する手段は、DACのグレードアップよりも先にルームアコースティックを対策することが効果的です。
測定ツールは大きく3つの種類に分類することができます。
- 1つ目は最も手軽な方法で、スマホに測定アプリをインストールしてスマホ内蔵のマイクで測定します。スマホにアプリをインストールするだけのお手軽さです。
- 2つ目は最もポピュラーな方法で、マイクをパソコンに接続してパソコン用の測定ソフトを使います。マイクには測定用マイクを、マイクとパソコンの接続にはオーディオインターフェイスを用意します。
- 3つ目はルームアコースティックを最適化するための専用機を使う方法で、専用機に測定用マイクを接続して測定します。測定から最適化までを専用機で賄うことができて便利な反面、費用が最も高額です。
スマホを使う方法が手軽で低コストなので軽く試すには良いですが、高精度な測定は望めない簡易的な測定の位置付けです。
パソコンと測定用マイクによる方法は、用途や予算に合った柔軟な機器の選択ができます。測定用マイク、オーディオインターフェイス、測定用ソフトはそれぞれお手軽な物からプロ御用達の本格的なものまで揃っています。また、この方法のメリットは測定に使うだけでなく測定ツールを多目的に利用できることです。マイクの代わりにラインレベルの信号を入力すれば高音質なオーディオレコーダーになります。録音用マイクを使えばスピーカーの再音を録音できます。ネット配信の優れたツールとしても活用できます。
あれこれ揃えるのが面倒であれば専用機の利用がスマートです。
以前であれば、個人レベルで音響測定ツールを手に入れることは不可能に等しかったため感覚に頼らざるを得なかったかもしれませんが、今日は数万円からの費用で音響測定ツール一式を入手できます。高価なオーディオケーブルやアクセサリーよりも遥かに安価です。
慣れない機器を使うことは億劫ですからついつい感覚に頼ろうとしがちですが、それでは目標に到達することはありません。音響測定ツールに慣れ親しむことは正に”急がば回れ”と言えます。
問題を解決するにはどうしたら良いのか?
マイクによる測定で問題点をピックアップできたところで、実際に最適化に取り掛かります。最適化の手段は大きく2とおりです。
1つ目はアクティブルーム補正(バーチャル補正)です。
アクティブルーム補正(バーチャル補正)は、部屋が音質に与える悪影響を回避するように再生する方法です。部屋の影響でピークが発生してしまう周波数帯域の音圧を予め下げて再生することで、部屋の影響によるピークの発生を相殺するといったイメージになります。
部屋自体には一切手を付けずに再生環境の音響特性に合わせて最適化できる柔軟性が大きなメリットです。最適化にはイコライザー等のシグナルプロセッサーを使います。シグナルプロセッサーは単体のハードやパソコンのCPUで動作するソフトがあり、次に説明するパッシブルーム補正に比べて安価に済ませられる点もメリットです。
アクティブルーム補正に使用するシグナルプロセッサーはどこにあるのでしょうか?
ルームアコースティックを最適化するための専用機は、それ自身にシグナルプロセッサーが含まれています。では、スマホやパソコンで測定する場合はどうやってシグナルプロセッサーを調達すればよいのでしょうか?
最も汎用的に使えて高い品質を期待できるのがパソコンのソフトを利用することです。音楽再生にPCオーディオを利用していればスムーズに導入することができます。PCオーディオは利用していない、純アナログのオーディオシステムである、などと言った場合はパソコンをルームアコースティック最適化の専用機として既存のシステムに追加導入することができます。
モニタースピーカーの中にはルームアコースティックを最適化するための機能を内蔵したものがあるので、これを使えばあらゆるソースに対して最適化することができます。
DTMやPCオーディオにMacを使っているなら、オーディオインターフェイスに内蔵されたDSP上で動作するシグナルプロセッサーを利用する手もあります。
2つ目はパッシブルーム補正(フィジカル補正)です。
音響パネルなどを部屋に置いたり取り付けたりすることで、部屋が音質に与える悪影響を抑えるといった方法です。音響改善のためのリノベーション(オーディオルーム化)もパッシブルーム補正に含まれます。
この方法のメリットは、アクティブルーム補正が苦手な周波数特性のディップに対して効果を出しやすいことです。デメリットは費用面とフレキシビリティの低さです。賃貸住宅ではパッシブルーム補正の実現性は限定的になってしまいます。戸建てでも、模様替えや引っ越しになると最適化は1からやり直すことになります。
PSI AudioのAvaaは測定することなく部屋に設置するだけで低周波(主に150Hz以下)を対象にルームアコースティックの問題を改善する魔法のようなアイテムです。
測定が億劫な方には最初にAvaaの導入をおすすめします。Avaaも設置する場所によって効果が異なるので、次のステップとして測定ツールを導入すれば、Avaaの最適な設置位置を見つけることができます。
Avaaは騒音対策にも有効な優れモノです。
理想的なルームアコースティックの最適化は上記2とうりを上手く組み合わせることです。まず、アクティブルーム補正を実践して細かい部分をパッシブルーム補正で調整することをおすすめします。
ルームチューニングに役立つPCソフト・スマホアプリ
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アイテム
ルームアコースティックの測定とイコライジングに使うアイテムです。
吸音パネル
アナログ イコライザー
ルームチューニング対応スピーカー
使用する部屋にあわせた最適な再生を実現する先進的なモニタースピーカーです。車で例えるならマニュアル車のADAM Aシリーズ・Sシリーズ、オートマ車のIK iLoud MTM・iLoud Precisionです。詳細はダメージコントロール対応スピーカーとアクティブベーストラップをご覧ください。
すべてが自社開発のART(Automatic Room Tailoring)と呼ばれる「部屋矯正」システムを取り入れたiFi audioのAURORA
ルームチューニングソフトウェア(Win/Mac)
関連情報
良い音で音楽を聴くための全般的なチェックリストの記事です。
ルームアコースティックとスピーカーは切り離すことの出来ない関係にあります。