高音質再生のためにやっておくべきたった一つの事:音響特性の改善

高音質再生のためにやっておくべきたった一つの事:音響特性の改善

オーディオ機器だけをグレードアップしても無駄

音楽や映画を高音質で楽しみたいからといって、高性能・高額なオーディオ機器(プレーヤー、アンプ、スピーカー)を揃えただけでは再生のクォリティを向上することはできません。

一般的にあまり知られていない事ですが、音楽を再生している部屋がオーディオ機器の本来のポテンシャルの大きな妨げになっています。この妨げになっている要素を取り除かなければ、いくらオーディオ機器をグレードアップしても本質的な改善には繋がらないのです。

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通常は、音響対策を施したリスニングルームを造ることでこの問題を解決していますが、莫大な費用と時間を伴うために大多数の音楽リスナー(Music Lovers)への問題解決にはなっていません。

デジタル技術の発達した今日では、音楽再生空間に手を加えることなしに、部屋が与える悪影響を取り除きオーディオ機器の持つ本来のパフォーマンスを発揮することができるようになっています。

部屋が与える悪影響の特性は部屋ごとに異なりますが、その部屋に合わせて最適化(Room Correction)してくれます。

このデジタル技術を用いて最適化された部屋で音楽再生すると、見違えるように音質向上されたことを誰にでも体感してもらえるようになります。そして、音楽を聴くことが一層楽しくなります。

※厳密には音質改善した訳ではなく本来の姿に戻ったといえます。

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なぜ高音質なアンプやスピーカーだけではダメなのか

部屋がオーディオ機器の本来のポテンシャルの大きな妨げになっていると言われてもピンと来ませんよね。

音楽メディアに入っている情報が耳元で忠実に再現できればハイクォリティ再生であるといえます。

そこで再生の各プロセス(上流から下流)でどの程度忠実に再現できてきるかを周波数特性の観点で可視化してみました。※周波数特性さえ見れば忠実である訳ではないことに留意してください

アナログ音源よりもデジタル音源の方が検証が確実なので、音源はPCの音声ファイルを使っています。

フラットなスイープ信号を使って4つの再生プロセスで周波数特性を計測しその差異を比較しようというものです。4つのプロセスとは以下のものです。

プロセス1:音源を再生した際のプレーヤーのデジタル出力信号

プロセス2:デジタルから変換されたアナログ出力信号(デジタルアナログコンバーターの出力信号)

プロセス3:アンプによって増幅されスピーカーで電気信号から変換された音

プロセス4:リスナーが聴いている音

スイープ信号は人の可聴域とされる20Hz~20kHzの均一な音量の音(サイン波)を使っています。

下のグラフを見てください。

プレーヤー、スピーカー、聴取位置での特性比較

1.(プレーヤーのデジタル出力信号:茶の線)は見事にフラットです。(2の線とほぼ重なっているため左端でしか茶色の線は見えていません。)メディアに記録された情報はプレーヤーによって生きた音として再生されてもデジタル信号の状態では全く忠実に再現されています。

2.(デジタル信号をアナログ変換:緑の線)もフラットです。厳密には最低音域(30Hz以下)が極僅かに下がっていますが無視できるレベルです。

3.(スピーカーで変換された音:青の線)になると一変して原形を留めていないことがわかります。

4.(耳元に届いた音:ピンクの線)は3.に更に輪を掛けて大きく歪んで上下に揺れています。

補足すると3.は厳密にはスピーカーが出した音の特性とは言えません。何故なら測定したのは無響室ではなく一般的な部屋ですから、いくらスピーカーの間近で測定しても部屋による反射音も同時に拾ってしまうためです。別の見方をすると、スピーカーの近くで測定した分だけ4.の実際に聴いている位置よりも反射音の影響が少なくなっている結果であるともいえます。無響室で測定したならもっとフラットな結果になるはずです。

注)無響室なら全てのスピーカーがフラットになるわけではありません。スピーカーの本来の特性が結果に現れます。

スマホなどで写真や動画を撮影しても、このように極端に歪んで原型を留めない事はまずあり得ません。

※鉛筆をカメラで撮ってもエフェクトを掛けない限りグニャグニャな鉛筆の写真にはなりません。音はエフェクトが掛かった状態で聴いていることになります。ここが音が画と決定的に異なる点なのです。

グニャグニャ鉛筆

先程の測定結果から、上流から下流の間でどのプロセスが大きく影響していると言えるでしょうか。

答えは明らかですね。再生音がスピーカーから耳元に届けられる過程で、原音は大きく歪んでいることがわかります。(グラフの4.)

スピーカーの裸特性を一般の部屋で測定することは不可能(多少なりとも部屋の反射音が加味される)ですが、耳元に届いている音の歪みの度合いと比べるとスピーカーの影響は部屋より随分小さいと言えます。(グラフの3.と4.)

一方でプレーヤーが出力する段階では原音はほぼ正確に再現できていると言えそうです。(グラフの1.と2.)

注)単に周波数特性という側面で見ただけですから、これだけで断定することはできません

アンプの出力特性は測定できていませんが、故意に特性を弄って設計されたアンプでない限り今日の多くのアンプはフラットであると思います。またアンプ単体の特性でみるよりもスピーカーと組み合わせた総合特性の方が重要だと考えます。

プレーヤー、スピーカー、聴取位置での特性比較2

 

音質向上に着手する優先度は

部屋>>スピーカー>その他のオーディオ機器

です。

どれだけオーディオ機器に投資しても部屋の対策をしなければ満足な結果を得る事はありません。

(続く)

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