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スピーカーの音質向上に最も効果的なたった一つの方法

スピーカーで高音質に聴きたくて、スピーカー自体やスピーカーケーブル、インシュレーターを買い替えて音響パネルも設置したけれど期待した効果は得られなかった、そんな経験はありませんか?初めてスピーカーを使ってみたがヘッドホンの方が高音質だったと感じていませんか?

ヘッドホンやイヤホンと異なりスピーカーの場合は、スピーカーから直接届いている音だけを聴いているわけではありません。あまり意識することはないでしょうが、スピーカーから壁などに届いた音は反射してその反射した音も一緒に聴いています。そして通常は直接音よりもむしろ反射音を多く聴いていると言われています。

スピーカーで聴いている音楽の音は、

  • 直接音:スピーカーから直接届く音
  • 間接音:壁・床・天井から跳ね返って届く音

この反射音は上手に処理しないと音質に様々な悪影響を及ぼすので、スピーカーの音質向上には反射音対策が最重要項目となります。

この記事を読めば、反射音が具体的にどんな音質劣化を招いているのか、どうすれば劣化を防ぐことができるのかを知ることができます。

車だけアップグレードしても走り心地は良くならない
部分最適化しても全体最適化には役立たないことの例えです。音楽再生の場合は、車がオーディオ機器に、道路が部屋に相当します。

スピーカーで聴いている音は歪みだらけ

スピーカーで聴いている音は想像を絶するほどに原形をとどめず歪んでいます。

このことを簡単に確認できる方法があります。均等な音量で低い音から高い音までを滑らかに連続再生するスイープ信号を聴いてみることです。

スイープ信号の概念図

スイープ信号は様々な形で入手できますが、簡単に試せるように下に用意したのでスピーカーで再生してみてください。

左右チャンネルに信号が入っています

左右のスピーカーで聴こえ方が異なる場合がほとんどです。信号が左チャンネルのみのもとの右チャンネルのみのものも聴いてみてください。

左チャンネルに信号が入っています
右チャンネルに信号が入っています

スイープ信号を再生してどんな高さの音も均等な音量に聴こえれば問題ないのですが、99.9%の確率で均等には聴こえません。再生途中のどこか(主に低い音の数箇所)でいびつな音が聴こえていることと思います。

もしもどの高さも均等に聴こえたならば、もう一度注意深く聴いてみてください。

均等な音量に聴こえない状態をイメージにすると下の図のようになります。

次にヘッドホンかイヤホンでスイープ音を聴いてみてください。低い音から高い音まで均等な音量で聴こえるはずです。つまりスピーカーで聴いた場合に限って均等な音にならないということです。

それではスピーカーが問題でスイープ音が均等に聴こえないのでしょうか?

レコーディングスタジオでも評判の高いモニタースピーカーADAM Audio S2Vの製品ページに掲載されている周波数特性は下のグラフからわかるようにみごとにフラットな特性ですが、このADAM Audio S2Vでさえスイープ音を再生してみると均等な音量では聴こえず数か所でいびつな音がします。

ADAM Audio S2Vの周波数特性

測定してみれば歪みは一目瞭然

スイープ信号をスピーカーで再生していびつな音に気づかなくても、音響測定用マイクを使って周波数特性のグラフを見れば均等な音量になっていないことは一目瞭然です。

ドイツ製の高性能な測定用マイク iSEMcon EMX-7150

スイープ信号を再生してそのライン出力(電気信号)を測定した場合と、いつもスピーカーで聴いているリスニングポジションに測定用マイクを立てて測定した場合の違いを下のグラフでご覧ください。

緑:ライン出力段階での周波数特性
茶:リスニングポジションでの周波数特性

スイープ信号のライン出力を実際に測定してみると、先の「スイープ信号の概念図」のとおりに低い音から高い音まで見事な水平線になっていることがわかります(緑色の線)。※ライン出力の段階では歪んでいないということです

一方でリスニングポジションに測定用マイクを立てて測定した結果は、実際に聴いてみた時と同じく2か所(120Hzあたりと210Hzあたり)に大きな山(ピーク)が見られ、原音(本来のスイープ信号)とは大きく逸脱して歪んでいます。

いかがでしょうか。先にお話ししたとおりにスピーカーで聴いている音は想像を絶する差異(=歪み)になっていることが視覚的にもよくわかります。決して悪戯に危機感を煽っているわけではないこともご理解いただけたことでしょう。

※最大ピークの120Hzでは10dB上昇していますから聴感上で2倍程度もの歪みがこの周波数帯域で起こっていることになります。不自然に聴こえて当然です。

補足)ADAM Audio S2Vはデスクトップにも置けるサイズ(実際にデスクトップに置いて測定しています)ですから30Hz以下の重低音を再生するには無理があります。これ以下を望むならより大型スピーカーかサブウーファーの追加が必要です。

周波数特性にピークが起こる理由

それではスピーカーで聴くと何故このような歪み(周波数特性の乱れ)が起こるのでしょうか?

通常、スピーカーで音楽を聴いている空間は壁や床、天井で囲まれています。スピーカーの音は壁や床、天井で跳ね返ります。向かい合った壁や床と天井では音の跳ね返り(反射)が繰り返されて徐々に減衰していきます。

スピーカーで音楽を聴いている場合は、スピーカーからリスナーに直接届く音(直接音)と壁や床・天井で起こる反射音を同時に聴いていることになります。そして部屋の寸法によって反射が起こりやすい周波数(音の高さ)が決まってきます。また、壁面の材質や形状などによって反射の度合いが決まってきます。反射が起こりやすい周波数は、スピーカーから放出された音の何倍にも増幅されて耳元に届きます。これが原因で、リスナーは元の音とはかけ離れた歪んだ状態で聴かされる羽目になっているのです。

理屈はともあれ、スピーカーで音楽を聴く場合は原音とはかけ離れた音を聴いているのだということは、前述のスイープ信号の試聴で体感していただけたと思います。

スピーカーで音楽を聴く場合は、反射音も同時に聴いている

反射音の影響で特定の高さの音が何倍にも増幅されて聴こえている

周波数特性にピークがあることのデメリット

いくら高音質なスピーカーを使っても、耳元で聴いている音の周波数特性にピークがあると音楽(音源)の魅力は著しく低下してしまいます。単純な音であるスイープ信号でさえスピーカーでは歪んで聴こえるのですから、音楽を聴く場合は推して知るべしです。

では具体的にどのような望ましくない状態になっているのでしょうか?

デメリット
  • 変な所にアクセントが付いて演奏に違和感が生じる
  • 楽器や声の音色が劣化する
  • 音がこもって全部の音が聴こえない
  • 定位感が損なわれ、臨場感、空気感がなくなる

デメリット1:本来と異なる位置にアクセントが付き違和感のある演奏

スイープ信号でいびつに聴こえた特定の高さの音は、音楽の場合はその音程の部分だけ異常に強調されて聴こえますから本来の演奏とは異なる所にアクセントがついてしまってとても不自然で違和感のある演奏になります。
※オーディナリーサウンドの部屋の場合は、ニール・ヤングのDown by the Riverのベースに変なアクセントが付きます

近年ではノラ・ジョーンズもライブで取り上げていてニール・ヤング本人が飛び入り出演するようなYouTubeもアップされています。

※公式映像ではないかもしれないのでこちらにリンクを貼るのは控えます。簡単に見つかるはずです。

話はオリジナル版の方なんですが、スピーカーで聴いているとこの曲のベースの演奏が気になりませんか?4小節目(0分12秒)からベースは入りますが、演奏の最初から最後まで一貫してB(シ)の音に不自然なアクセントがついています。※環境(部屋や再生装置)によって必ずこのようになるとは限りません。

この違和感のあるベース演奏の再生音は、波形やスペクトラムアナライザーで視覚的に確認することができます。

スペクトラムアナライザーで変なアクセントの原因を見つける

変なアクセントがついているB(シ)は3弦2フレットの音で周波数で言うと62Hzです。

ソース

ソース(音楽ファイル)をスペクトラムアナライザーで見ると62Hzや倍音となる124Hzにピークは見られません。

演奏がヘタなわけではありませんでした(当たり前ですね)。※ヘッドホンで聴いてみてもB(シ)にアクセントがないことは確認できます。

スペアナ2

ソースが問題ないとなると、再生装置を含む下流の問題ということになります。そこでマイクで拾ったスピーカーの音(スピーカー正面10cm)をスペクトラムアナライザーで見てみました。

基音の62Hzにピークはありませんが、倍音の124Hz付近にピークが発生しています。

スペアナ3

ここまでの結果から再生装置の何れかに問題があると早とちりしてはいけません。次に実際に聴いている位置(リスニングポジション)でマイク測定するとこのとおりです。

リスニングポジションで測ると、スピーカー近くの測定で見られた124Hz付近のピークが更に顕著になっています。聴感上の印象とマイク測定の結果が一致しています。

3つの計測ポイント(ソース、スピーカー出力音、リスニングポジション)でのスペクトラムアナライザーを比較するとはっきりしますが、ベース演奏をヘタに聴かせていたのは部屋の反射音でした。

波形で変なアクセントの原因を見つける

波形編集ソフトでソース(音楽ファイル)と、リスニングポジションでスピーカーから録音した音を並べて表示しても、スピーカー再生で「シ」の音にアクセントが付いていることがはっきりわかります。

次の画像は波形編集ソフトのAudacityでソース(上)、スピーカーを録音(下)を表示させたものです。比較としてイコライザーで最適化済みのスピーカーの音を録音したもの(中)を表示しています。

上の波形と下の波形を比べれば「シ」の音(枠で囲った部分)の音量差は歴然です。一方、最適化済みのスピーカーの音(真ん中の波形)は上の波形(ソース)と変わらないこともおわかりいただけるでしょう。

AudacityはWindowsでもMacでも使えるフリーの波形編集ソフトです。編集や録音をしない音楽ファンにも音質改善に役立つツールです。

録音にはマイクにRODE NT1を、オーディオインターフェイスにRODE AI-1を使いました。

測定してみれば歪みは一目瞭然では客観性を得るために可聴域(20Hz~20kHz)を均一な音圧で測定しましたが実際の音楽の場合は更に顕著な結果となり、部屋の影響の対策は避けて通れないことは歴然としています。

音質云々と言う以前に、本来の演奏表現さえ再現できていないということです。

今回、1つの曲を題材にしましたが、この曲(Down by the River)に限ったことではありません。エミル―・ハリスのMr. Sandmanもベースの音圧むらが気になる1曲です。イーグルスのHotel California(アンプラグド版)も部屋によっては思わぬ結果(地響きのような音)がします。

デメリット2: 音色が変わる

また音圧の違和感(変なアクセント)以外にも音色に違和感の出る曲もあります。

周波数特性の乱れ(ピーク発生)は、楽器やボーカルの音色が変わってしまう原因になります。楽器や人の声など自然界の音は1つの音の高さだけではなくそれ以外の音の高さも含まれていてその混ざり具合によって音色が決まる訳ですが、特定の音程だけが強調されると音色まで変わってしまうのです。
※アリシア・キーズのDoesn’t Mean Anythingのキック(バスドラ)が妙に甲高くなります

(音量の変化ではなく)音色の変化は波形でパッと見てもわからないので、Audacityの周波数解析機能で比較しました。

周波数解析機能はスペクトラムアナライザーと同様に音の成分としての周波数分布をグラフ化したものです。次の画像の右がソースで左がリスニングポジションの周波数分布です。

100Hz~400Hzにかけての2つのグラフの差異が音色の変化として現れています。(試しにソースに対して100Hz~400Hzをイコライザーでブーストしてみるとリスニングポジションの音に近くなることがわかります)

この曲は音色の変化がわかりやすい代表的な例ですが、周波数特性にピークがあるとあらゆる曲の音色は多少なりとも変化します(=本来の音色で聴けていないということです)。これも音質云々以前の問題です。

デメリット3: 音がこもる

周波数特性にピークがあると音がこもるという、更にこれも全くありがたくない現象が起こります。これはマスキング効果と呼ばれ、大きな音よりも少し高い音が聴感上かき消されて聴こえなくなることを指します。スピーカーで聴く音がヘッドホンやイヤホンで聴く場合よりもこもると感じたら、マスキング効果の影響である可能性があります。
※好事例がパッと思い浮かばず申し訳ありませんが、例えばギターのカッティング音がかき消されたりします

デメリット4:定位感、空気感、臨場感が損なわれる

周波数特性の乱れは上記に留まりません。聴く音源がステレオであれモノラルであれ使っているオーディオ装置がステレオの場合は、定位感が損なわれてこれに伴って空気感、臨場感が損なわれるといった数々のデメリットが生じてしまいます。

※モノラルの場合は本来は定位そのものの概念がないはずですが、最適化されていないステレオ装置で聴くと音像がぶれることにより不鮮明な音になります。

イエスのRoundaboutのベースとキック(バスドラ)がもごもごとダンゴになります。

あなたの左右スピーカー ペア、同じなのは見た目だけ

左右2台のスピーカーの周波数特性が異なれば、音のフォーカス(定位)は定まりようがありません。

「ペアで同時に手に入れた2台のスピーカーの音が違う訳がないだろ!」

スピーカーは音楽をはじめとする音を聴くための道具。聴く人の耳に正しく届いてはじめて役目を果たします。

その意味では100%と言っていい程に左右それぞれのスピーカーから耳元に届く音の特性は異なります。(ステレオだったら違って当然という話ではありません。素の特性という意味です。)

「また、そんな重箱の隅を突くような話で煽らないでよ」

いえいえ、そんな細かい話ではありません。

まず最初に経年劣化により個体に差異が生じている可能性。

よくあるケースは何らかの原因で片側のツイーターから全く音が出ていなかったというパターン。または音は出ていても経年劣化でスピーカーユニット個体に差異が生じる可能性は普通にあり得ます。

経年劣化以外にも接続や設置の人為的なミスもあります。ありがちなのはスピーカーケーブルのプラスとマイナスを逆に接続するパターンです。実際にあった話ですが、右と左のスピーカーを逆に置いて長年聴かれていたケースもあります。音楽を聴かせてもらって「アレッ?左から聴こえるはずの音が右から!」、聴き進めていくとウッドベースが勝手に動きながら演奏しだしました!(本当はウッドベースは定位置で演奏しているはずですが。。。)

「スピーカーはそんなに古くないし接続や設置もちゃんとやってるから問題ないだろ」

スピーカーやその他のオーディオ機器は問題なくても耳元に届く音は空気を介して変化し左右異なる特性になってしまうのが通常です。

部屋で聴いている音はスピーカーからダイレクトに届く音以外にも壁・床・天井や家具などに反射して届く音も含まれます。スピーカー設置も含めて完全に左右対称な部屋でない限りは反射のしかたは左右異なります。

左右周波数特性
同じスピーカーも設置位置次第で周波数特性は異なる(=左右スピーカーが同じ特性のスピーカーではなくなる)

上のグラフは、耳元に届いている音の左チャンネルと右チャンネルの周波数特性です。左右のスピーカーから届いている音の周波数特性が異なっていることがよくわかります。特に1kHz以下の違いが顕著です。

「それくらいの違いはあるやろ。音楽を聴いて楽しむのに何の関係があるん?」

左右スピーカーの周波数特性(正しくは耳元に届いている音で、伝送周波数特性などと呼ばれる)が異なった状態で音楽を聴くことは、カメラで例えるとフォーカスの合っていない”ピンボケ”写真を見ているのと同じです。

カメラはオートフォーカス機能の一般化により誰にでもピントの合った写真が撮れます。しかしオーディオの場合は、どれだけ高級な機種でもオートフォーカス機能を搭載したスピーカーはほとんど存在しません。

iLoud MTM

10万円以下にもかかわらず自動補正機能を持つインテリジェントなスピーカーiLoud MTM

左右不揃いな周波数特性は何故ピンボケなのか

ソース

真正面(センター)でギターを「ド」→「ミ」→「ソ」と順に弾くとしましょう。本来はすべての音がセンターから聴こえてくるはずです。

周波数特性

前述の周波数特性グラフを思い出してほしいのですが、部屋の影響により左のスピーカーから届く音は「ド」が強調され右のスピーカーから届く音は「ソ」が強調され「ミ」は左右均等に届くとしましょう。

単音演奏

すると、「ド→ミ→ソ」の演奏は左→中央→右と移動して聴こえることになります。

和音演奏

次にドミソを同時に弾く(和音)と音は左からも右からも中央からも届くため定位(位置感)は単音で弾いたときよりも曖昧になります。

単音の場合でも早いパッセージの演奏になると音の高さによって聴こえる位置が移動するというよりも和音の演奏と同様に位置感がぼやけて聴こえます。

とてもシンプルな話ですね。

ソロ演奏の場合でさえこのように位置感が不明瞭になるのでバンド演奏の場合はこれに輪を掛けた状況に陥ってしまい、その結果、演奏全体の定位(位置感)が不鮮明になります。正に”ピンボケ”な音です。どれだけ高価な高性能なスピーカーとて同じことです。

CDに入っている音が鮮明でも

ジャストフォーカス

聴いているのはピンボケな音です

ピンボケ

先にベースが動きながら演奏していた話をしましたが、正にこのような状態が顕著に現れた結果だったと思われます。これは極端な例ですが、訪問先で多かれ少なかれ同様の現象が起きていたことは幾度となく経験しています。

ピンボケ(あまい音像定位)は位相の乱れでも起こりますが、左右チャンネルの周波数特性を揃えることが先決です。

優れた位相周波数特性の高音質スピーカー:HEDD Audio

まとめ
  • 実際に再生している音楽は、測定信号(スイープ信号等)で検証するよりも部屋の悪影響が顕著となる
  • 部屋の悪影響をクリアせずに高音質再生を実現することは不可能
  • 聴感だけに頼っていては課題(高音質化のために成すべきこと)は見えてこない

歪みを取り去ると本来の音が復活→音質向上

このように反射音は周波数特性が乱れてフラットでなくなるといった表面的なデメリットだけに留まりません。

妙なアクセント・音色変化や情報量・解像度の低下、定位の低下、空気感の低下など音源が本来持っている音楽の表現を変え魅力をスポイルする大きなマイナス要因になっています。

このような問題を取り除いて音楽ファイル、CD、レコードなどの音源本来の音を再現することで聴感上は音質が向上した(高音質になった)と感じるようになります。正確には高音質になったわけではなく、オーディオシステムの本来の能力を引き出してそのオーディオシステムで出来得る音源の再現性が最大化されるということです。

こんなに効果絶大なオーディオアクセサリーは他にはないでしょう。

平らな道は車本来の性能を発揮
悪路走行を目的とした車でない限りは高級車であろうとも、平らな舗装道路を走ってこそ本来の性能を発揮することができます。
音楽再生に使うオーディオ機器も同じことです。

音がこもる原因を取り去る現実的な方法

ではデメリットばかりの反射音による歪みを無くして音質向上するにはどうしたらよいのでしょうか?

解決手段はいくつかありますが、誰にでも確実に実践できてその後の調整にも柔軟に対応できるイコライザーをはじめとするオーディオプロセッサーの利用が万人向けでおすすめです。

可能であれば後述するイコライザー以外の方法との組み合わせも有効な手段です。ただし、イコライザー以外の方法は条件を満たす場合に限り実践できる方法です。

以下にそれぞれの手段について説明します。

万人向けではない既存の手段

古くから存在する手段は音響建築学等に基づく部屋の反射音による悪影響を対策する室内施工です。ほとんどの場合、専門業者に依頼して工事してもらいます。これとは別に、より手軽に実践できる手段として音響パネルなどのアイテムを設置する方法等も利用されています。

ところが、室内施工の場合の多くは多額の費用と工期を伴うので万人向けの方法とはなりませんし、そもそもが専用のリスニングルームを持っていることが前提条件となることでしょう。賃貸住宅の場合は室内施工は絶望的ですし、持ち家であっても単身赴任など家を空ける機会が多い場合はやる意味が薄れてしまいます。

音響パネル類の場合は施工に比べると現実的な手段ですが、問題を解決するには本人による試行錯誤が必要でしかも解決できる範囲も限定的と考えた方が無難でしょう。

※測定用マイクで計測しながら音響パネルのセッティングをつめていくことで、より良いセッティングを短時間で見つけることが期待できます。聴感だけに頼ったセッティングではなかなかゴールに近づくことはできません。

高品質なイコライザーを使った補正

それではどんな手段を取ればよいのか?誰にでも簡単に反射音による歪みを取り去る方法があります。

答えは明快です。イコライザーを使って歪んでいる特定の高さの音(均等にならない強調されてしまう音程)のレベルを下げて再生すればよいのです。

昔のホームオーディオ製品のイコライザーの中にはあまり褒めらないクォリティのものもあったようですが、今日のまっとうなイコライザーであればクォリティに起因する劣化は全く気にする必要のないレベルに到達しています。

※そもそも昔からイコライザーはほとんどの音源に使われています。レコードの場合は100%イコライザーで処理された音です。

イコライザーと一口で言っても実に様々な形で提供されていますから、目的に合ったものを選択することができます。

ハードウェア単体機のイコライザー

イコライザーと言えば真っ先に思い浮かべるのは単体のハードウェアでしょう。

レコーディング等で用いられる業務用のイコライザーであれば相当昔の時代のアナログイコライザーであってもハイクォリティなイコライザーは多々存在しますし、現在のアナログイコライザーも好まれて使われています。

PCソフトウェアのイコライザー

音楽リスニングにPCを使っているのであれば、CPUや専用DSPで動作するソフトウェアの上質なイコライザーが数多く存在するのでこれを使わない手はありません。

レコードしか聴かない、ネットワークオーディオをやっているなどPCをオーディオに使っていない場合でも、PCをスピーカーで聴く時の音響補正プロセッサーとして既存システムに追加導入する手段もあります。

イコライザー処理を含む補正最適化を自動処理してくれるPCソフトウェアも存在します。

中でもIK MultimediaのARC System 3はこの分野で歴史と実績のある代表的なソフトです。測定用マイクが同梱されているので容易に導入することができることもメリットです。

関連記事:音響補正システムARC System 3:高価なルーム・トリートメントなしに部屋の問題を解析、解消

補正のためのイコライザーを搭載したスピーカー

スタジオモニタースピーカーの中には、部屋の引き起こす問題を解決するための機能を内蔵した機種も存在します。パッシブスピーカーでは仕組み上実現不可能ですからアンプを内蔵したアクティブスピーカーです。

ADAM Audio Sシリーズ

先に紹介したADAM Audio S2Vを含むADAM AudioのフラッグシップとなるSシリーズは、DSPを内蔵し現在のバージョンでは6バンドのパラメトリックイコライザーを中心とした補正が可能です。※ファームウェアのバージョンアップにより将来機能アップが可能な仕組みが備わっています

イコライジングを容易にするためのPCソフトが同梱されます。

IK Multimedia iLoud MTM

IK MultimediaのiLoud MTMは上記のARC Systemのテクノロジーを内蔵し、測定用マイクも同梱されています。

補正も驚くほど簡単で、マイクを立てて本体のボタンを1回押すだけの先進機能です。

IK Multimedia iLoud MTM:測定用マイクのMEMS Microphoneが同梱

※ADAM Audio S2VもIK Multimedia iLoud MTMもスタジオモニタースピーカーですが、家庭での音楽鑑賞にも適したサイズと突出した音質のスピーカーです

ホームオーディオ製品にもイコライザーによるルーム補正を目的とした製品(ルームイコライザー、ルームオプティマイザーなどと呼ばれる)が僅かに存在しますが、ここで紹介しているものよりも遥かに高額(100万円前後)ですから万人向けとは言い難い製品です。興味のある方はお問い合わせください。

まとめ

スピーカーで音楽を聴く時は、部屋が音(音楽)に及ぼす影響を避けては通れませんからイコライザーを使って問題解決しましょう。

イコライザーは、プレーヤー、アンプ、スピーカーと並ぶ第4のオーディオ機器です。部屋の及ぼす悪影響を取り除いてはじめてスピーカーを使ったオーディオシステムの本領が発揮されるのです。

イコライザー以外にも反射音を解決する方法はありますが、万人が利用できる手軽で現実的な手段はイコライザーの利用です。

イコライザーなら、部屋のレイアウト変更やリフォーム、引っ越しなど環境の変化にも追加コストなしに柔軟に対応できるという点も他の方法に無いメリットです。

より良い音で聴くためにスピーカーその他のオーディオ機器をグレードアップしたり、スピーカーケーブルやインシュレーターなどのアクセサリー類をグレードアップしたりしがちです。しかし、部屋の対策に手をつけない、もしくはなんとなく適当に音響アクセサリーなどで対策すると、グレードアップの費用対効果は激減します。少しでも改善できればまだ救われますが、グレードアップしても思ったように改善されずに負のスパイラルに陥ってしまい最悪の場合は音質向上を諦めてしまうことさえあります。これは「オーディオ地獄」などと呼ばれます。

測定用マイクや測定ソフトをはじめとする音響測定ツールは、オーディオアクセサリーと比べて遥かに費用対効果が高く音質向上に役立ちます。昔なら個人で入手できる音響測定ツールは皆無に等しかったでしょうが、現代のオーディオでは下手なオーディオアクセサリーよりも遥かに安価に入手できるので使わない手はありません。

オーディナリーサウンドは通常のオーディオショップと異なり音響測定ツールも取り揃えていますのでお気軽にお問い合わせください。

イコライザーで補正する場合に、測定結果に基いて補正するか、聴感にのみ頼って補正するかでは結果に大きな差が生じます。聴感のみに頼ると前述のグレードアップの話と同様に負のスパイラルに陥って諦めてしまいがちです。

テレビやカメラなどビジュアル系の製品は誰もが比較的簡単に高画質を手に入れられるようになりましたが、オーディオの中でも特にスピーカーで聴く場合は良い製品を使えば高音質が手に入るといった状況にはまだまだ行きついていませんし誤った情報も氾濫しているように思います。イコライザーは他のオーディオ機器と同等以上に重要な役割を果たす存在です。

最後に、プライベートスタジオで音楽制作しているビギナーのクリエイターの方々も、できるだけスピーカーを使いイコライザーによる部屋の対策をした上で作品をリリースされることを望んでいます。

記事や商品に関する質問その他がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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