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スピーカーや部屋の音響特性を測定できることは知っていても、具体的に何を使ってどのようにすれば良いのかあまり知られていないのではないでしょうか。自分で測定できるようになると現状が可視化され問題点が具体化されるので、聴感のみに頼って試行錯誤するよりも短時間で最大の音質改善に取り組むことができます。無駄な時間を省いて音楽を存分に楽しみましょう。
音質を向上するための方法については「スピーカーの音質向上に最も効果的なたった一つの方法」をご覧ください。
この記事では、パソコンとオーディオインターフェイス、測定用マイクを使った方法を書いています。もっと手軽に試してみたい方は、スマホの無料アプリとスマホ内蔵マイクを使った方法をご覧ください。
スピーカーで聴く音楽の音質向上を目的とした測定は主に2種類あり測定方法も異なります。
1つは部屋の音響特性も含めたオーディオシステム全体の測定で、リスナーがどのような特性で聴いているのか(伝送周波数特性)を知るために用います。リスニングポジションにマイクを立てて部屋の反射音も含めて測定します。
もう1つは部屋とは無関係にスピーカーそのもの(あるいはスピーカーを含めたオーディオシステム)の特性を知るための測定で、主に自作スピーカーを調整するために使います。この場合は、部屋の影響を極力受けないようにする必要があるため無響室での測定が理想的ですが、通常の部屋で測定する場合はマイクをスピーカーに近づけて反射音をなるべく測定用マイクが拾わないようにするなどの工夫が必要です。
一般的には市販スピーカーを使った音質向上が目的ですから、前者の部屋を含めた音響特性を測定する方法を用います。
測定の大まかな流れは次のようなものです。
測定に使うツールは音楽再生には縁遠いものばかりです。PCオーディオなど音楽再生にPCを使っている場合は測定ソフトをインストールして利用できます。
揃えるものリスト
WindowsまたはMac ※後述のオーディオインターフェイスがサポートしていればLinuxでも構わないかもしれません(試したことはありません)
PCのかわりにスマホやタブレットを使って測定することは可能です。しかし、PCに比べると信頼面・機能面で見劣りします。簡易的な位置づけで利用するのもよいでしょう。
各OSに対応した製品が有償・無償で提供されています。Room EQ Wizard(REW)は高機能にもかかわらず無償でWindows、Macに対応しているおすすめの測定ソフトです。
詳細は音響測定ソフトREW(Room EQ Wizard)の使い方をご覧ください。
前述の「測定の概要」の図にあるDAコンバーター、マイクアンプ、ADコンバーターは、これらの機能をすべて包含したオーディオインターフェイスを利用することで1台で済ますことができるのでおすすめです。※オーディオインターフェイスについては、オーディオインターフェイスをリスニング用途におすすめする2つの理由(DAC/ADC)をご覧ください。
※上記のような比較的安価なオーディオインターフェイスでも構いません
KORG Nu Iのようなマイクアンプを内蔵していないオーディオインターフェイスの場合は、そのオーディオインターフェイスに接続可能なマイクアンプを別途用意します。
マイクアンプを持たないオーディオインターフェイスの場合
レコードプレーヤーの音を飛躍的に音質向上してくれるオーディオインターフェイスKORG Nu Iはライン入力にアナログ出力可能なマイクアンプを接続することで測定に使うことができます。
高音質な1chマイクプリアンプ
KORG Nu Iについては、KORG Nu I、アナログ資産をDSDで残すための一押しオーディオインターフェイスをご覧ください。
既に所有しているDACにマイクアンプとADCを追加することも可能ですが、測定ソフトや補正ソフトによってはDACとADCに異なるデバイスを指定できないものもあるため確認しておく必要があります。
マイクアンプを内蔵したADCは無いことはありませんが、選択肢が極端に狭くほぼプロ用途の製品になります。
測定を目的としたマイクは無指向性で、一般的な指向性を持つマイクと特性が異なります。測定用途ですからレコーディングに使われるマイクと比べて周波数特性も極めてフラットで正しい測定結果を得ることができます。
リンク記事を読めば一般的なマイクを測定用マイクの代用にしてはいけない理由がわかります。また、個人で入手可能な価格のおすすめの測定用マイクも参考にしてください。
マイクスタンドは狙った位置にマイクを固定設置するために使います。※カメラ三脚とネジ変換アダプターで代用することも可能ですが、マイクスタンドは数千円から入手できるので安定設置の面からも出来れば揃えましょう。
マイクスタンドがなくても手持ちで測定できなくはありませんが、どうしても手振れが起こるのでその意味でもマイクスタンドは揃えたいところです。カメラの三脚と同じ役割です。
Gravity G4222B
マイクとオーディオインターフェイスは以下のイメージで接続します。
室内音響測定は思ったよりも手軽にできて、しかも信頼に値する測定結果を得られることがわかります。
測定は今の再生環境の状態を具体的に示してくれますから、測定結果に基づいて音質向上を目指せば、無駄な時間をかけずに的確な対策を施すことができます。
音質向上の方法は様々ですから具体的にはスピーカーリスニングの音質向上に最も効果的なたった一つの方法をご覧ください。何れの方法を取った場合でも、測定結果に基づく対策と測定せずに聴感に頼った対策では結果に大きな差がでます。
以下に、測定ソフトとフリーのPCソフトウェア・イコライザーを使った簡易的な測定と補正をご紹介します。更に補正した結果を再び測定してどのように補正されたかについてもご紹介します。
使用アイテム
ルームアコースティックの改善にはリスニングポジション(実際に聴いている位置)で測定する必要があります。
普段リスニングしている位置の耳の高さにマイクをセットして、Room EQ Wizardの「Start Measuring」ボタンをクリックするだけです。
※測定用マイクの種類によってマイクの向き(垂直、水平)は異なります。
スピーカーからスイープ音が再生され、正しく測定できるとRoom EQ Wizardのメイン画面にグラフが描かれます。
※左チャンネルと右チャンネルを別々に測定します。
グラフは左右両チャンネルを測定した結果です。Room EQ Wizardの「All SPL」で左右チャンネルを重ねて表示しています。
グラフからわかるように、左右チャンネル共に120Hzに最大ピークが現れています。
無料で入手できるClassic Equalizerで120Hzのピークを補正します。
Classic EqualizerをJRiver Media Centerにアタッチして補正のための設定をおこないます。
今回は簡易的な補正として左右共通で最も影響の出ている120Hz付近を補正します。
上のClassic Equalizerの画面を見てください。
※各つまみは数字の部分をクリックして数値入力することもできます。
JRiver Media CenterのDSPスタジオでClassic Equalizer(リストで”TRS Classic EQ”の箇所)にチェックを入れて有効にすると補正値が適用されます。
【Tips】 ・補正のためのイコライジングの基本はピークを抑え込むためのカット操作です。※ディップ(谷)をブーストしてもあまり好結果にはつながらないばかりか、0クリップの原因にもなるので注意が必要です。 ・グラフィックイコライザー(略してグライコ)のほうが直感的に操作できますが、ルームチューニングには目的の周波数帯に的確にたどり着けるパラメトリックイコライザー(略してパライコ)が適しています。 ・パライコの使いこなしはQの設定につきます。Qはイコライジングの帯域幅(適用範囲)のことで、値が小さいと広い範囲になり大きいと狭い範囲(ピンポイント)になります。※ここで取り上げているClassic EqualizerのLOW MIDとHI MIDの各右下にある小さなノブがQです。 ・Qの値は必ずしも絶対値ではなく、イコライザーによってまちまちです。 |
Classic Equalizerで補正するとどのような結果になるかをグラフで視覚的に確認するために、Classic Equalizerを適用した状態で再度測定してみます。操作手順にかわりはありません。
下がClassic Equalizer適用前後の周波数特性を重ねて表示したグラフです。
左右チャンネル共にイコライザー補正によりルームアコースティックの影響による最大ピークを改善することに成功しています。
補正後の左右チャンネルを重ねてみました。
位相周波数特性についても掲載しておきます。
Classic Equalizerを適用しても位相を乱していません。
「イコライザーは位相を乱すから使わない」との意見がありますが、これなら問題ありませんね。
無料の測定ソフトRoom EQ WizardとソフトウェアのイコライザーClassic Equalizerを使った簡易補正だけでもルームアコースティック対策として大きな改善が見られます。
Classic Equalizerのパラメトリックイコライザーは2バンドですから補正は2箇所に限られます。より良い結果を得るには少々物足りないのでより柔軟に補正できるイコライザー・プラグインを使うと良いでしょう。Track-SやUAD-2のプラグインは実に様々な種類のイコライザーが用意されています。
関連記事:PCとオーディオインターフェイスが叶えるビンテージ・プレミアム・サウンド
オーディオインターフェイスやマイクは音楽リスニングには無縁のもののように思われがちですが、実は高音質再生(本来の音の再現)の最大の難関であるルームアコースティック対策に役立つ強力なアイテムですから是非トライしてみてください。
ルームアコースティックを知るには何を揃えたら良いのかわかったにしても意外に全部がいっぺんに揃うところはほとんどありません。通常のオーディオショップだとほぼ何も手に入らないはずです。
音楽リスナーの方々は通常はマイク、マイクアンプ、マイクスタンドなどは持っていませんので、測定ソフト(無償でダウンロード可)を除くセットもご用意しています。
もっと手軽に測定&補正したい場合は、IK MultimediaのARC Systemを選ぶ方法もあります。ARC SystemはWin/Macのソフトウェアと測定マイクが1パッケージになったルームチューニングの入門にも適した製品です。
昨今の世界情勢でオーディオ機器も供給不足の状況です。下記のセットが揃わない場合も代替手段を用意していますからお気軽にお問い合わせください。
できるだけ多くの方々に使っていただけるように極力コストを抑えたベーシックなセットです。手持ちのDACを従来どおり使うことも、セットに含まれるオーディオインターフェイスをDACとして使うこともできます。
Aセットのマイクをグレードアップした内容となります。このマイクは内容からすると安価な誰にでもすすめられる測定用マイクです。元々が大変高精度なマイクですが、一台ごとに性能測定したデータが付属のUSBメモリーに入っていて測定ソフト(Room EQ Wizard)に読み込ませれば完璧です。
セットに含まれるアイテムは上記のA/Bセットに限った話ではありません。
測定用マイクの選択肢はかなり限られますが、オーディオインターフェイスの種類は豊富でその多くは測定用マイクがつながるマイクアンプを内蔵しているので用途やシステムのグレードにあったものをチョイスできます。
例えばオーディオインターフェイスのADC(アナログデジタルコンバーター)はマイク測定以外にもレコードやテープのデジタル化にも使えるので、1チャンネル入力のかわりに2チャンネル以上の入力を持つオーディオインターフェイスに変更することで用途が広がります。MDプレーヤーとデジタル入力対応のオーディオインターフェイスをデジタル接続して音楽ファイルに変換することも可能です。
関連記事:リスニング用途にオーディオインターフェイス(DAC/ADC)をすすめる2つの理由
自室の再生音を2本のマイクでステレオ録音してネットで聴いてもらうのも良いですね。流石にスマホ内蔵マイクでは高音質録音は期待できませんからマイナスイメージにしかなりません。
ハイグレードなオーディオインターフェイスはホームオーディオ用のハイエンドDACに勝るとも劣らないほどの音質ですから、いっそのことDACをオーディオインターフェイスに置き換えてシステムをシンプルに使いやすくすることもできます。ほとんどのオーディオインターフェイスは出力ボリュームを持っているので、デジタル/アナログの入力数の豊富なオーディオインターフェースを使えばプリアンプ(コントロールアンプ)を不要にすることもできます。
オーディオインターフェイスやADC製品の中にはモダンなデザインのフォノイコライザーを持った機種まであります。レコードプレーヤーに直結して高音質フォノイコライザーとしてレコード再生することも、レコードプレーヤーからダイレクトに高音質デジタル録音することさえ可能です。
この記事ではルームアコースティックの測定についての話をしていますが、その先には測定結果に基づくルームアコースティックの補正改善があります。補正するための手軽で堅実な手段としてイコライザーを使う場合は、高性能なイコライザー機能を持ったオーディオインターフェイスをはじめから選択するのもよいでしょう。イコライザー機能を持たないオーディオインターフェイスの場合でも、PCソフトウェアによるイコライザーで処理することができます。
ハイエンドオーディオの世界には種類は少ないながらも一台でルームアコースティックの測定から補正までをこなすルームイコライザーが存在します。ハイエンドオーディオのルームイコライザーを使うと、大衆車でスポーツカーを追い抜くためには非常に高額な高速料金(100万円オーバー)を払わなければならず現実的ではありません。
このルームイコライザーの代わりにPCを使うことによって、同等以上の成果をあげることができます。そればかりか部屋の変化にフレキシブルに対応できる先進性を備えたシステムが僅かなコストで手に入ります。
その他にもきりがないほどのシステムアップが考えられますが、オーディオインターフェイスは実にモダンなオーディオのコントロールセンターの役割を果たすことがわかります。
ルームアコースティックやオーディオインターフェイスなどについては、お気軽にお問い合わせください。
音響測定は”案ずるよりも産むが易し”です。また”習うより慣れろ”です。
とは言っても最初はわからないことだらけかもしれませんから、お気軽にお問い合わせください。
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