オーディオのライトサイド

ルームイコライザーの種類と接続例

ルームイコライザーはスピーカー再生時に本来の音に復元するためのイコライザーです。部屋の音響特性に合わせたイコライジングカーブを適用してオーディオ機器のポテンシャルを発揮する事ができます。

ルームイコライザーは単体の専用機からPCを使ったものまで多用な形態があるので、様々なオーディオシステムに柔軟にフィットさせることができます。

目次

ルームイコライザーの種類

ルームイコライザーを利用するには主に次のような方法があります。

  • ルームイコライザー専用機
  • 汎用の単体イコライザー
  • イコライザーを搭載したオーディオインターフェイス
  • PC
  • ルームイコライザーを装備したアクティブスピーカー
  • ルームイコライザー機能を搭載したオーディオ機器 ※VolumioRoon

ルームイコライザー専用機

Trinnov NOVAはルームイコライザー専用機です。専用の測定用マイクを使ってイコライジングカーブを生成し、再生に摘要する点は専用機ならではのものです。通常はプリアンプとパワーアンプの間に接続します。

Trinnov NOVA

汎用の単体イコライザー

単体機のイコライザーはルームイコライザーとして利用することができます。接続はルームイコライザー専用機と同様にパワーアンプの直前です。

ART EQ355は31バンドのステレオグラフィックイコライザーです。

ART EQ355
EQ355

elysia museqは、チャンネルごとに3バンドのパラメトリックイコライザーとロー/ハイシェルビングフィルターを持つハイエンドのステレオアナログイコライザーです。

elysia museq
elysia museq

イコライザーを装備したオーディオインターフェイス

Universal Audio Apolloシリーズは、豊富な種類のイコライザーを選択できる柔軟な設計のオーディオインターフェイスです。

Apolloに搭載されているDSPには様々なシグナルプロセッサーをプラグインとして読み込ませることができるため、好みのイコライザーをチョイスできます。

Apolloに無償バンドルされるPrecision Channel Stripはルームイコライザーにも適したパラメトリックイコライザーです。

Precision Channel Strip

ライセンス購入で追加できるBrainworx bx_digital V3 EQ Collectionは数種類のパラメトリックイコライザーをバンドルしています。

PC

PCはルームイコライザーとして利用することができます。既にPCオーディオを利用しているなら使っているソフトやハードに適合するルームイコライザーをソフトウェアで構築することができます。

ルームイコライザー専用ソフト

ルームイコライザーの経験がなくても比較的容易に導入できるのがルームイコライザー専用ソフトです。

IK Multimedia ARC System 3はルームアコースティックのキャリブレーション用イコライジングカーブを作るための測定用マイクとソフトがパッケージになった製品です。イコライジングカーブが有効となる対象はVSTプラグインまたはAUプラグインに対応したソフトウェア(TuneBrowser、JRiver Media Center等)です。

ARC System 3

VST/AU(Audio Units)プラグイン

VSTプラグインまたはAUプラグインには数多くのイコライザ―がありルームアコースティックのキャリブレーションとして利用することができます。ARC System 3同様にVSTプラグインまたはAUプラグインに対応したソフトウェアが動作対象となります。市販楽曲の制作時に使用されるプラグインの種類は豊富で、老舗となるWAVESをはじめとするブランドはお墨付きの品質であると言えます。

左:IK Multimedia EQual、中:WAVES H-EQ、右:SSL Native X-EQ 2

前述のUniversal Audio Apolloで動作するプラグイン(UADプラグイン)はVST/AU(Audio Units)プラグインとして利用することもできます。

システムイコライザー

前述のVSTプラグインやAUプラグインのイコライザーの場合はプラグインに対応したソフトウェアがイコライジングカーブの適用対象であることに対して、システムイコライザーはPCのOSが受け持つサウンド全般が適用対象です。YouTube等のWebブラウザ動画の音声もSpotify等の音楽サブスクもイコライジングカーブの対象になります。

WindowsにはVoiceMeeterVoiceMeeter Banana、Equalizer APO等のシステムイコライザーがあります。

MacにはeqMac等のシステムイコライザーがあります。

コンボリューション(畳み込み)

コンボリューションはイコライジングカーブをデータとして持たせることで再生音にイコライジングカーブを適用することのできる仕組みです。音圧周波数特性のイコライジングカーブの他にも位相周波数特性のイコライジングカーブを持たせてリニアフェイズ化することもできます。roon、JRiver Media Center、Equalizer APO等がコンボリューションに対応しています。

ルームイコライザー搭載アクティブスピーカー

アクティブモニタースピーカーにはルームイコライザーを装備した機種があります。ルームイコライザーを装備したアクティブスピーカーを利用するメリットは、ルームイコライザーの存在を意識することなくソース本来の音に復元して再生してくれることです。イコライジングカーブをオンオフできるのは勿論のこと、イコライジングカーブを数パターン記憶して切り替えられる機種もあります。

あわせて次の記事をご覧ください。

ルームイコライザーの接続位置

前述のとおりにルームイコライザーは様々な方法で導入することができます。

ルームイコライザー専用機と単体イコライザーの接続位置

Trinnov NOVAART EQ355などの単体機の場合は、オーディオシステムの全てのソースに対して補正イコライジングしたいので、ルームイコライザーはパワーアンプの直前に接続します。

ルームイコライザー専用機と単体イコライザーの接続位置

プリメインアンプの場合はライン入力にルームイコライザーを接続しますが、ATOLLのプリメインアンプ(またはプリアンプ)はイコライザーを接続するための機構が備わっているため、プリメインアンプの全ての入力にイコライジングカーブを適用することができます。ルームイコライザーのために入力端子をふさぐこともありません。

ルームイコライザ―接続に対応したプリメインアンプ

ATOLLのプリメインアンプIN50 Signature/IN100 SignatureIN200 Signatureは、テープ入出力端子とテープモニターモードを使ってルームイコライザーを接続することができます。

イコライザ―接続対応のATOLLプリメインアンプ

PCオーディオのルームイコライザー

PCオーディオの場合は、オーディオインターフェイスにルームイコライザーを持たせるパターンとPCのソフトウェアにルームイコライザーを持たせるパターンがあります。

PCオーディオのルームイコライザー

上図のとおりにルームイコライザーを持たせることのできるオーディオインターフェイスは、ルームイコライザーとDACの役割を果たします。

デジタル出力対応のオーディオインターフェイスとDACの接続

オーディオインターフェイスはDAC機能が備わっているため別途DACは必要ありませんが、DACとしては別のアイテムを使いたい場合があります。例えば、DACを内蔵したプリメインアンプを使いたい場合は、オーディオインターフェイスからデジタルでプリメインアンプと接続する方法があります。

デジタル出力対応のオーディオインターフェイスとDACの接続

PCのソフトウェアにルームイコライザーを持たせる場合は、音楽再生ソフトにルームイコライザーを適用するパターンと、PCのシステム全体にルームイコライザーを適用するパターンがあります。

音楽再生ソフトにルームイコライザーを適用するパターンの場合は、それ以外のソフト(YouTube、Spotify等)はルームイコライザーは適用されません。

音楽再生ソフトにルームイコライザーを適用

PCのシステム全体にルームイコライザーを適用するパターンの場合は、あらゆるソフト(YouTube、Spotify等)がルームイコライザーの適用対象になります。

PCのシステム全体にルームイコライザーを適用

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