音響補正システムARC System 3:高価なルーム・トリートメントなしに部屋の問題を解析、解消

ARC System 3はレコーディングスタジオにおいて正しいミックスをおこなうためにスピーカーをキャリブレーションするPCソフトウェアベースのシステムです。

音楽愛好家にこそメリットの大きなシステム

それではARC System 3は音楽愛好家には無縁のシステムでしょうか?

スピーカーで再生する際のルームアコースティック問題はレコーディングスタジオでも一般家庭でも起こりますが、その影響度は一般家庭のほうが遥かに大きいのでレコーディングスタジオよりもむしろ音楽リスナーのほうがARC Systemの恩恵を受ける度合いは遥かに大きいといえます。

オーディオ機器だけをグレードアップしても無駄 音楽や映画を高音質で楽しみたいからといって、高性能・高額なオーディオ機器(プレーヤー、...

ルーム補正はREWなどの測定アプリとイコライザーがあれば実現しますが、ARC System 3は付属のマイクによる測定から補正までをなかば自動的に行うパッケージですから、簡単にルーム補正の恩恵を受けることのできるシステムです。

デジタル技術の発達した今日ではスピーカーから再生した音をマイクで測定することで、音楽再生の音質を向上するためのヒントを手軽に得ることができ...

ARC System 3の製品情報はこちらをご覧ください。

どんな音源にでも使える柔軟性

ARC System 3はPC(Win/Mac)のソフトウェアです。VSTやAudio Unitsのオーディオプラグインに対応したホストアプリケーションで利用することができます。音楽鑑賞用のアプリでVSTやAudio Unitsに対応しているのは、JRiver Media CenterやAudirvana(共にWin/Mac対応)です。FLACやWAVなどリニアPCM系の音楽ファイルに対してARC System 3を適用することができます。※DSDはデジタルプロセッシング不可の音声フォーマットですからARC System 3を利用できませんが、後述の方法であらゆるフォーマットの音源でARC System 3を利用できるようになります。

DSD音源やアナログ音源でARC System 3を利用するには

ARC System 3はデジタル音声を部屋ごとに最適化して再生するためにデジタルプロセッシングするシステムです。一方、DSDはデジタルプロセッシングすることができないフォーマットですから一旦アナログに変換することでARC System 3の恩恵を受けられるようになります。

PCのオーディオデバイスであるオーディオインターフェイスにはデジタルアナログ変換(DAC)と共にアナログデジタル変換(ADC)機能を持っているため、アナログ変換されたDSD音源をオーディオインターフェイスのアナログ入力に接続することでARC System 3によるデジタルプロセッシングの恩恵を受けられます。

同様に、レコードなどのアナログ音源もオーディオインターフェイスを利用することでARC System 3を利用できます。

DSDやレコードプレーヤーを使う場合

ARC System 3とオーディオインターフェイスは市販品のルームイコライザー相当の役割を担います。

市販品のルームイコライザーに比べて高性能で使いやすいにもかかわらず遥かにローコストで済むといったメリットがあります。

ホームオーディオ製品のルームイコライザーは限られた高級店で扱われており概ね100万円前後の価格です。

解析時に必要なもの

ARC System 3を使って測定~解析する際に基本的に必要なものは、測定マイクを入力するためのオーディオインターフェイス、XLRケーブル(マイク用)、マイクスタンドです。

解析時に使うオーディオインターフェイスに前述のおすすめのオーディオインターフェイスを利用できるのは勿論の事ですが、音楽再生にはお気に入りのDACを使いたい場合などは解析時専用のオーディオインターフェイスを揃えてもよいでしょう。WindowsでARC SYSTEMを使う場合は、ASIO対応のオーディオインターフェイスが必要です。

ARC System 3の導入

ARC System 3をWindows 10(64bit)にインストールしたので、今後実際に使ってみる予定です。随時このページに書き加えていきます。

体験版のダウンロード

ARC System 3は10日間利用できる体験版が用意されています。

インストール

ダウンロードして解凍したインストーラーからインストールします。特に難しいことはありません。

補足)Windows版のインストールの途中で「Microsoft Visual C++ 2015 Redistributable (x64) – 14.0.23026」をインストールする画面が表示されましたが、これより新しいバージョンが既にPCに入っていたため「閉じる」を押してインストールしませんでした。

その後に次のような画面が表示されます。これは、IK Multimediaのソフトウェアを購入した時に与えられるライセンスキーを入力するためのアプリなのですが、こちらも既にインストール済みなのでキャンセルしています。

ARC System 3 Analysis

ARC System 3 Analysisは測定のためのスタンドアローンアプリです。測定を完了することで、JRiver Media Centerなどの再生にルーム補正を適用するためのプラグインが使えるようになります。

起動

インストールに成功するとスタートメニューに「ARC System 3 Analysis」が追加されるので、ここから起動します。

ARC System 3 Analysisのライセンスキーを入力していない状態ですから、起動すると次のようなメッセージが表示されます。「キャンセル」をクリックすることで次に進みます。ARC System 2.5と同様にウィザード形式で測定できるようになっています。

ARC System 3 Analysisの使い方

Welcome to ARC System

「NEXT」をクリックします。

「WATCH TUTORIAL」ボタンでチュートリアル動画を見ることができます。

Microphone selection

測定に使うマイクを選択します。

ARC System 2.5以降に同梱されている(または別売の)MEMS Microphoneを使う場合は「ARC MEMS Mic Model」を選択します。

ARC System 3では新たに純正MEMSマイク以外の測定用マイクにも対応しています。

純正以外を使う場合は「Generic Measurement Mic」を選択します。iSEMcon EMX-7150にはキャリブレーションデータが付いてくるので「Lead Mic Calibration File」で読み込ませると更に精度の高い測定ができるようになります。

Audio Setup
AXE I/O (IK Multimedia)を選択した例

オーディオインターフェイスの入出力を設定します。

Select your typical listenig area

リスニング環境を次の中から選択します。

  1. Project Studio
  2. Studio – Mnitor Spot
  3. Studio – Wide Area
  4. Studio – Back Area
  5. Movie Studio / Home Theater

デスクトップオーディオなど近距離でスピーカー再生する場合は、1. のProject Studioでよいでしょう。

Position the microphone

マイクセッティングの説明です。

「Microphone selection」で選択したマイクに応じて、マイクを水平に立てるのか垂直に立てるのかイラストで示してくれて親切です。

Playback Level / Mic preamp level
analysis

マイクがオンで適正レベルの時は「Mic preamp level」下のメーターが振れます。

マイクとオーディオインターフェイスはこのように接続します

「PLAY TEST」をクリックするとテスト信号がスピーカーから再生され、適正レベルの場合はレベルメーターの部分が「DONE」の表示に代わります。

Room analysis

この画面から先が、ARC System 3で大きく変わった箇所になります。ARC System 2.5以前や他の測定アプリの場合はリスニング時の耳の高さでマイク測定しますが、ARC System 3は耳の高さを基準に上下15cmの高さの計3つの高さで測定します。

画面ではその説明が書かれており、3つの高さをLayer 1 / Layer 2 / Layer 3と呼んでいます。

Room analysis – Layer 1

Room analysis – Layer 1の画面では基準よりも15cm低い位置にマイクを立てます。

画面の図のようにリスニングポジションを中心に7か所で測定します。

Room analysis – Layer 2~Room analysis – Layer 3

以降、レイヤーごとに15cmずつマイクの高さを変えて同じく7か所で測定します。

Save

Layer 3まで測定し終わると、測定結果を保存する画面になります。

プロファイル名の入力と任意のスピーカーアイコンを選んで保存します。

※代表的なスピーカーのアイコンが用意されています。IK MultimediaのスピーカーをはじめADAM Audioamphionのスピーカーのアイコンもあります。

補正プラグイン

ホストアプリケーションへの適用

ARC System 3 Analysisで測定~保存したデータは、VSTまたはAudio Unitsのプラグインとしてホストアプリケーションに適用することができます。

操作方法は、オーディオプラグインの使い方を参照してください。

ここではWindows版のJRiver Media Center 26で確認した例を紹介します。

ARC System 3

ARC System 3で測定~保存したプロファイルを選ぶと、測定時の左右チャンネルの特性(グリーン系のグラフ)と解析に基づいて演算した左右チャンネルの特性(オレンジ系のグラフ)が表示されます。

Analysisで保存したプロファイルはどこに保存されるか?

C:\Users\(ユーザー名)\Documents\IK Multimedia\ARC System 3\AnaylsisResults

測定時の特性を非表示にしたものを下に掲載します。※ライトグレーのグラフはARC System 3を通る前のオリジナルソースのRTA(リアルタイムアナライザー)で非表示にすることもできます。

結果はREWで測定しイコライザーで補正した結果と概ね同じです。大きな相違は、ディップ(谷)が持ち上がっていることです。ディップが持ち上がったことによりマニュアル補正に比べて広いレンジでフラットになっています。

ARC System 3の目新しい点の1つに「EDIT」のモードがあります。「EDIT」にすると、補正を適用する周波数帯域を選択したり、好みの周波数カーブを作ることができます。

ARC System 2.5新規購入で無償アップグレードも

ARC System 3のパッケージは2020年7月発売予定ですが、既に販売されているARC System 2.5を購入することで無償でARC System 3をダウンロードできるようになっています。7月まで待たなくても早速ARC System 3を利用できます。

ARC System 3にご興味の方はお気軽にお問い合わせください。

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