デスクトップオーディオとは
机に向き合って音楽を聴くスタイルがデスクトップオーディオです。オーディオルームで音楽鑑賞するのとは異なり日常で音楽や動画を楽しむ生活に溶け込んだ視聴スタイルであると言えます。デスクトップオーディオはニアフィールドリスニングの代表的な事例でもあります。
プレーヤーはPC、スマホ、ミュージックストリーマーなど使っているもので構いません。スピーカーを疎かにしないことが大切です。何故ならPC、スマホは高級スピーカーを使うに十分な価値を持った音質の持ち主だからです。
デスクトップオーディオは、本格的なシステムを凌駕するメインシステムにも成り得る大変リーズナブルな音楽の聴き方です。
デスクトップオーディオに使うアイテム
デスクトップオーディオだからと言って特別なものは何も必要ありません。一般的なオーディオシステム同様にプレーヤー→アンプ→スピーカーがあれば音楽は再生できます。ただし、デスクトップの限られたスペースに機器を設置することになるため、コンパクトなアイテムで構成されたシステムが求められます。
- 音楽プレーヤー
- アンプ
- スピーカー
音楽プレーヤー
PC
既にPCを使って音楽や動画を楽しんでいる場合は、まずは現状のままで利用して構いません。スピーカーをグレードアップすることで見違えるような音質に変身します。
省スペースで音楽、動画再生にも適した手のひらサイズのミニPCなら、スピーカーの設置スペースを確保するにも有利です。
スマホ/DAP
PCがなくてもデスクトップオーディオは楽しめます。スマホやDAPで音楽を聴いているならプレーヤーアプリはそのままに高音質なスピーカーで再生します。ワイヤレスまたはケーブルで接続します。
ミュージックストリーマー
PC、スマホでなくてもデスクトップで気軽に高音質再生できるミュージックストリーマーがあります。高音質なスピーカーに接続すればデスクトップオーディオシステムの出来上がりです。
スピーカー
PC、スマホで再生する音楽サブスクやYouTubeは十分に高音質ですからスピーカーのグレードに伴って音質は向上します。使い勝手や更に音質をグレードアップするにはUSB DAC等をPC、スマホとスピーカーの間に接続します。
スピーカーにはパッシブスピーカーとアクティブスピーカーがありますから用途や好みに応じて選びます。
パッシブスピーカーは部屋にあわせた色やデザインなどの選択肢が広いスピーカーです。PC・スマホとスピーカーの間にアンプ(プリメインアンプまたはパワーアンプ)を使います。
アクティブスピーカーはパッシブスピーカーに必要なパワーアンプを内蔵しているため省スペース化に有利です。また、デスクトップオーディオはニアフィールドリスニングであることから、ニアフィールド モニタースピーカーはデスクトップオーディオに相応しいスピーカーとして使えます。
PCスピーカーでは力不足
デスクトップオーディオの場合、PCをプレーヤーとして利用することも多いことでしょう。となるとスピーカーとしてすぐに思い浮ぶのがPCスピーカー等と呼ばれている簡易アクティブスピーカーです。
ところがPCスピーカーで音質的に褒められるものは限られ、mp3やYouTubeでさえ満足な音質で聴くことはできません。デスクトップオーディオも他のリスニングスタイル同様に音質的に最も重要なアイテムはスピーカーです。
”所詮プレーヤーはPCなんだからスピーカーも程々に”
などと考えてはいけません。PCは使いようで高級オーディオプレーヤーを凌駕します。
パソコンなんて持ってない?スマホやタブレット、iPodなどのポータブルプレーヤーでも十分です。
デスクトップのレイアウト
デスクトップオーディオはアイテムのグレードと同等にレイアウトも見逃せないポイントになります。
次の画像は標準的な机のサイズ(1200mm x 700mm)にPCとスピーカー、DAC、アンプを設置したイメージです。
- DAC&アンプ:SoundWarrior SWD-UA1
- PC:インテル NUC 12 Pro キット
- スピーカー:amphion Argon0
- スピーカー:ADAM Audio A4V
- スピーカー:amphion Argon3S
スピーカーの音質(特に低音域)は大きいサイズのスピーカーが有利ですが、デスクトップの場合はスピーカーのサイズに制約があります。
フィンランドのamphionは生活の中の音楽再生を強く意識したスピーカーで、小型スピーカーとは思えない低音再生能力が魅力です。モニタースピーカー分野においても絶大な信頼を得ている高音質ぶりはホームオーディオスピーカーにも着実に反映されています。デスクトップスピーカーとしておすすめは小型(幅132mm)のArgon0とHelium410で、洗練されたデザインとハイエンドクラスの音質を堪能できます。
スイスのスピーカーPIEGAは小型スピーカーの低域再生能力の問題をアルミ製キャビネットにより解決しています。通常、スピーカーキャビネットに使用される木に比べて強度を保ったままでキャビネットの厚みを薄くできるので小型で高音質なスピーカーを実現しています。PIEGA ACE 30は幅140mmと小型でデスクトップにも置きやすいスタイリッシュなスピーカーです。
デスクトップに小型スピーカーを設置すると、ウーファーがデスクトップに近い位置になるために低音が反射しやすくなり音質に悪影響を与える場合があります。イギリス(スコットランド)のFyne Audioは名門タンノイの伝統を継承し発展させた同軸スピーカーが特徴の1つとなるスピーカーです。通常のマルチウェイ(2ウェイ/3ウェイなど)スピーカーは一般的にウーファーが低い位置にレイアウトされますが、同軸スピーカーはウーファーとツイーターを同軸上にレイアウトできるためキャビネットの上方にウーファーが取り付けられていて低域のデスクトップによる反射を防ぐことができます。
下の2つの写真はFyne AudioのF500(同軸2ウェイ)とF301(2ウェイ)でサイズもほぼ同じですが、見てのとあり同軸のF500はF301よりもスピーカーユニットが高い位置にレイアウトになっています。
この他にもF500シリーズ以上のFyne Audioは、スピーカーベースと一体になったユニークなバスレフポートによる反射音の軽減などデスクトップオーディオに適したスピーカーです。
SoundWarrior SWD-UA1(幅146mm)とハーフサイズのNmode X-PM3 FT(幅210mm)、パワーアンプのATOLL MA100(幅320mm)
「高音質ならパッシブスピーカーをアンプで鳴らすに限る」と言った偏見がまだまだなくなりませんが、「アクティブスピーカーをおすすめする5つの理由」で説明しているようにアクティブスピーカーはパッシブスピーカーを凌駕する音質の持ち主で費用対効果も高いと言えます。省スペースの観点からもアンプを内蔵したアクティブスピーカーが有利です。
モニタースピーカーとしてもハイエンドクラスのHEDD Type 20 MK2(左)とADAM S2V(右)は、デスクトップ用アクティブスピーカーとして上限と言える程のサイズです。
音質を犠牲にすることなく小さい机にも設置可能な幅160mm以下のパッシブスピーカーとアクティブスピーカーの紹介です。
左上の最も小型なスピーカーはiLoud Micro Monitorで幅90mm、右下が幅160mmのArgon1です。机の広さに合ったスピーカー選びはデスクトップオーディオの大切な要素の1つとなります。
左上から順に、
高音質に聴く為に重要なスピーカーの3つの要素
これはデスクトップオーディオに限らずオーディオ全般に言える事ですが、大切なポイントは3つです。
- 高性能(高音質)なスピーカーを使う
- セッティングを疎かにしない
- ルームアコースティック対策をする
前述のとおりにデスクトップオーディオはメインシステムを凌駕しうる可能性を持っているので、良いスピーカーを使いましょう。おすすめのアクティブスピーカーとパッシブスピーカー、プリメインアンプ、パワーアンプを参考にしてください。デスクトップスピーカーのおすすめは、デスクトップスピーカー おすすめ9選をご覧ください。
デスクトップオーディオのセッティングは一般のオーディオシステムのレイアウト以上にセッティングが重要になってきます。詳しくは「スピーカーを正しく設置(セッティング)して高音質化する方法」を参照してください。
部屋の反射音の影響を受けにくいニアフィールドリスニングですがそれでもルームアコースティック対策をするとしないとでは音質面で格段の開きがあります。「スピーカーリスニングの音質向上に最も効果的なたった一つの方法」を参照して実践してください。
ルームアコースティックにあわせたイコライジングをしなければ高級スピーカーをデスクトップオーディオに使っても極上の音にはなりません。ツイーターの高さを上手く合わせられない場合にもこれをカバーするためにイコライジングはとても有効な手段です。
スピーカーをデスクトップに置けない・置きたくない場合は、望ましい高さに調整できるスピーカースタンドを使いましょう。Gravity GSP3202VTのようなスピーカースタンドであれば高さを90cm~150cm程度まで調整可能ですからデスクトップオーディオにも最適です。
机の高さは約70cm。スピーカーを机よりも高い位置に置けるスピーカースタンドを選びたい。
関連情報
デスクトップオーディオに利用できるおすすめパッシブスピーカーです。