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マルチアンプとバイアンプの真実:アクティブ/パッシブネットワーク

SC-48 FIR

マルチアンプシステムは周波数帯域別に分割された音声信号を個別にパワーアンプに送って各々のスピーカーユニットを駆動するシステムです。通常のマルチウェイパッシブスピーカーのように音質面でボトルネックになりがちなパッシブクロスオーバーネットワークを排除できるハイエンドシステムです。
バイアンプシステムはマルチアンプシステムの一種で2ウェイスピーカーの低域(ウーファー)と高域(ツイーター)にそれぞれのパワーアンプが使われます。3ウェイスピーカーの場合はトライアンプシステムとなります。

マルチアンプシステム

ネット等で”バイアンプ”を検索すると「バイアンプはパワーアンプとスピーカーの間にパッシブネットワークが介在するため音質的にマルチアンプに劣る」との説明が大半ですが、これは市販のパッシブスピーカーをバイアンプ接続した場合の話に限ります。パッシブネットワークが介在しないバイアンプシステムは2ウェイのマルチアンプシステムですからバイアンプがマルチアンプに劣ることにはなりません。

このようにバイアンプは誤って解釈されることが多い為、クロスオーバーネットワークの視点でスピーカー(それとパワーアンプ)の構成要素を以下にまとめています。

パッシブスピーカーとアクティブスピーカーの違いはアンプ非搭載/搭載だけで済されることが多いのですが、一歩掘り下げてみると音質的にも大きく影響する様々な違いがあることがわかります。

目次

マルチウェイスピーカーで使われるクロスオーバーネットワーク

低音域から高音域までを複数のスピーカーユニットに役割分担させるマルチウェイスピーカーは、クロスオーバーネットワーク(回路)を使って元の音声信号を音の高さで分割してスピーカーユニットに送り出しています。パッシブスピーカーでもアクティブスピーカーでも同じです。

※フルレンジスピーカーにクロスオーバーネットワークは使いません。これもパッシブ/アクティブスピーカー共通です。

3ウェイスピーカーの場合

上の図には、スピーカーに必要なパワーアンプが書かれていません。それはパッシブスピーカー/簡易アクティブスピーカーとトゥルーアクティブスピーカーでは、パワーアンプとクロスオーバーネットワークの接続順が異なるからです。

パッシブスピーカーのクロスオーバーネットワーク

マルチウェイのパッシブスピーカーは、パワーアンプで増幅した音声信号をスピーカー内部のクロスオーバーネットワークで帯域分割して各スピーカーユニットに送り出します。

クロスオーバーネットワークはアナログのパッシブ回路(コイルやコンデンサー)です。パワーアンプで増幅された音声信号を帯域分割しますが、パッシブクロスオーバーネットワークで精度の高い分割は限界がありパーツのクォリティがスピーカーの音質に大きく影響します。高品質のアナログパーツは高価なためでしょうか、ハイエンドと呼ばれるパッシブスピーカーは信じ難い価格のものも存在します。

アクティブスピーカーのクロスオーバーネットワーク

マルチウェイのアクティブスピーカーの場合は機種によってパッシブクロスオーバーネットワークのタイプとアクティブクロスオーバーネットワークのタイプに別れるため注意が必要です。因みにデジタル方式のアクティブクロスオーバーネットワークは高精度な音域分割性能を低価格で実現することができます。※高級スピーカーの中にはPSI Audioのようなアナログ方式のアクティブクロスオーバーネットワークを採用したスピーカーも存在します。

クロスオーバーネットワークによるアクティブスピーカーの違いが語られること自体がほとんどないため2つを明確に区別する用語も特に存在しませんが、オーディナリーサウンドでは”トゥルーアクティブスピーカー”と”簡易アクティブスピーカー”として呼び分けています。

※記事によって”セミアクティブスピーカー”と書いているものは”簡易アクティブスピーカー”です。

トゥルーアクティブスピーカー

トゥルーアクティブスピーカーはクロスオーバーネットワークで分割した音域ごとに音声信号をパワーアンプに出力します。各々のパワーアンプは直結でスピーカーユニットに出力しています。これをマルチアンプ駆動と呼び一般的には2ウェイの場合をバイアンプ、3ウェイの場合をトライアンプと呼びます。

ほとんどのアクティブモニタースピーカーが、アクティブクロスオーバーネットワークとマルチアンプを搭載したトゥルーアクティブスピーカーです。トゥルーアクティブスピーカーは単体でマルチアンプシステムを完成したスマートなスピーカーです。

ブロック図でわかるアクティブスピーカーのクロスオーバー

トゥルーアクティブスピーカーがパッシブクロスオーバーではなくアクティブクロスオーバーであることがわかる例として、ADAM Audioの新しいAシリーズのブロック図を掲載します。

図のグレーの部分を見ると、入力信号はデジタル変換後に様々な処理を行い最終的にクロスオーバーの後段で各帯域ごとにアナログ変換されアンプに出力されていることがわかります。各アンプの出力はダイレクトに各スピーカーユニットに接続されています。また、精度の高いデジタルクロスオーバーであることもわかります。

ADAM Audio同様に多くのアクティブクロスオーバーネットワークがデジタル方式であるのに対して、スイスのPSI Audioはアナログ方式のアクティブクロスオーバーネットワークを採用しています。

デジタル/アナログ何れの方式であってもアクティブクロスオーバーネットワークとマルチアンプの採用に変わりわなく、究極のマルチアンプシステムがスピーカーシステム内部にビルドインされています。パッシブクロスオーバーネットワークを使うパッシブスピーカーのマルチアンプ化とは別物です。

簡易アクティブスピーカー


簡易アクティブスピーカーはクロスオーバーネットワークとパワーアンプの接続順が逆になります。パワーアンプが出力する音声信号をクロスオーバーネットワークで帯域分割します。これは前述のマルチウェイパッシブスピーカーと何ら変わらない方法です。多くのPCスピーカーがこの簡易アクティブスピーカーです。

知っておきたいバイアンプ対応のパッシブスピーカー


パッシブスピーカーの中にはバイワイヤリングに対応した機種があります。通常、パッシブスピーカーは1組のスピーカーケーブルで接続しますが、バイワイヤリングではウーファー用とツイーター用に2組のスピーカーケーブルを使います。

バイワイヤリングの場合は1台のパワーアンプを使いますが、バイアンプ接続は2台のアンプをウーファー用とツイーター用に割り当てて接続します。前述のトゥルーアクティブスピーカーで説明したバイアンプと比較すると、アンプを2台使う点では同じですがクロスオーバーネットワークの種類と接続位置が異なります。

このようにパッシブスピーカーをバイアンプ化してもアンプ出力の後でアナログクロスオーバーネットワークを使う事に変わりはないため、トゥルーアクティブスピーカーに肩を並べるほどの改善効果は期待できません。

パッシブクロスオーバーネットワークをバイパスできるパッシブスピーカー

対応機種はかなり限定されるようですが、スピーカーに内蔵されるパッシブクロスオーバーネットワークをバイパスできるパッシブスピーカーはマルチアンプ(バイアンプ、トライアンプ等)接続にグレードアップする価値が十分にあります。

JBL Project Everest DD67000
画像出典:Project Everest DD67000 | 380mm×2 3ウェイ フロア型スピーカー

シグナルプロセッサーを使うことで帯域分割した音声信号を各マルチアンプに出力することができます。シグナルプロセッサーはデジタルクロスオーバーネットワーク機能で音域を2~4分割できる機種を使います。

SC48 FIR
シグナルプロセッサー:SC-48 FIR、ステレオパワーアンプx2:M15、パッシブスピーカー:Project Everest DD67000

一般的なパワーアンプはステレオ(またはモノラル)のタイプが多いですが、4~8チャンネルのパワーアンプを使うことで設置スペースとコストの問題を解消することが可能です。※2ウェイなら4チャンネルアンプ、3~4ウェイなら8チャンネルアンプ1台で済みます。

更にデジタルクロスオーバーネットワーク機能を内蔵したマルチチャンネルパワーアンプもあり、これまで困難とされていたシンプルな機器構成を実現することが可能になります。

Alcons AudioのALC Sentinelは、ローパス/ハイパスを含むFIRフィルターを内蔵した4チャンネルパワーアンプです。

チャンネルデバイダーとシグナルプロセッサー

チャンネルデバイダーと呼ばれる機器があります。クロスオーバーネットワークの機能を単体の機器にしたもので以前はアナログでしたが現在はほとんどがデジタルに置き替わっています。

チャンネルデバイダーは機種の選択肢が狭く、チャンネルデバイダー機能を含んだシグナルプロセッサーが性能的にも価格的にも有利と言えます。※シグナルプロセッサーの機能名称としてもチャンネルデバイダーではなくクロスオーバーが使われます。


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