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スピーカーとアンプの基礎知識

スピーカーで音楽を聴くにはアンプの使用が不可欠です。スピーカーにもアンプにも様々な種類があるので、スピーカーで音楽を聴くための基本的な知識を身につけてスピーカー選びに役立ててください。

パッシブスピーカー、アクティブスピーカー、その他のスピーカーについて理解を深めることもできます。

目次

スピーカーの基礎知識

スピーカーとはスピーカーシステムのこと

”スピーカー”は”スピーカーシステム”とも呼ばれ、スピーカーユニットとエンクロージャー、その他のパーツで構成されています。

左右:スピーカーユニット、中央:エンクロージャー

スピーカーユニットは、音声信号を空気振動に変換して音として聴けるようにするための装置で、スピーカーとしての中心的な役割を担います。

エンクロージャーは、スピーカーユニットを取り付けるキャビネットですが、単にスピーカーユニットを取り付けるだけの箱ではなく音質的にも重要な要素です。このためキャビネットや筐体とは呼ばずにエンクロージャーと呼ぶのが一般的です。

その他のパーツは、パッシブスピーカーやアクティブスピーカーなどスピーカーの種類によって内容が大幅に異なります。

上の画像は、2つのスピーカーユニットがエンクロージャーに組み込まれるスピーカーシステムです。エンクロージャーの下部の丸いポートは空洞でこのポートからも音が出ます。エンクロージャーにはポートのあるバスレフ型とポートの無い密閉型があります。

ドイツHEDDのMK2シリーズは、バスレフ型としても密閉型としても使える極めてユニークなスピーカーです。

スピーカーユニットの数と役割

スピーカーは機種によってスピーカーユニットの数が1つだったり複数だったりで様々です。スピーカーユニットが1つのものをフルレンジ、2つ以上のものをマルチウェイと呼びます。

画像は左から順にフルレンジスピーカー、2ウェイスピーカー、3ウェイスピーカーです。

スピーカーユニットの役割としては、フルレンジは入力された音声信号すべてが1つのスピーカーユニットに送られるのに対して、マルチウェイは音声信号を音の高さで分割してそれぞれのスピーカーユニットに送るという違いがあります。

2ウェイスピーカーは低音域と高音域に2分割し、3ウェイスピーカーは低音域・中音域・高音域に3分割します。更に細かく分割する4ウェイスピーカーや5ウェイスピーカーなどもあります。

3ユニットだから3ウェイとは限らない(4ユニットで3ウェイ、7ユニットで4ウェイのスピーカーも)

スピーカーユニットが3つだから3ウェイスピーカーであるとは限りません。

次の画像は左が3ユニット2ウェイスピーカーで、中央が4ユニット3ウェイスピーカー、右が7ユニット4ウェイスピーカーです。

左のスピーカーの場合、上下の大きなスピーカーユニットの働きが同じで、低音域・高音域に分割される2ウェイスピーカーです。中央のスピーカーは、左右の大きなスピーカーユニットの働きが同じで、低音域・中音域・高音域に分割する3ウェイスピーカーです。右のスピーカーも同様で、中央に1つある小さいスピーカーユニットを除いて上下または左右に3ペアのスピーカーユニットが配置される4ウェイスピーカです。

エンクロージャーの2つの方式

前述のとおりスピーカーシステムのキャビネットに相当するエンクロージャーには様々な方式があり、その代表的なものがバスレフ型と密閉型です。

外観からはバスレフポートがあるかないかでバスレフ型と密閉型を見分けることができます。バスレフポートは前面に限らず背面その他に付いている場合があるので、前面だけでバスレフか密閉かを判断することはできません。

バスレフ型/密閉型切り換え可能なHEDD MK2シリーズ

HEDD audioのMK2シリーズは極めてユニークなスピーカーで、バスレフ型としても密閉型としても利用することができます。これはDSPを搭載したアクティブスピーカーならではの芸当で、リアパネルでバスレフ時と密閉時の最適設定を簡単に切り替えることができるようになっています。

バスレフと密閉に両対応したHEDD TYPE 05 MK2とHEDD TYPE 07 MK2のバスレフモードと密閉モードの具体的な違いを測定した記事です。

スピーカーとアンプの関係

ヘッドホンリスニングの場合はスマホなどのプレーヤーまたはヘッドホンアンプにヘッドホンやイヤホンを接続すれば音楽を聴くことができますが、スピーカーリスニングの場合はスピーカーの種類によって接続する機器が異なるため基本的な知識を身につけておきたいものです。間違って接続すると最悪の場合、スピーカーやアンプを破損してしまいます。

スピーカーにはパワーアンプが不可欠

音楽プレーヤーが出力する音声信号はスピーカーにとっては微弱な信号のため、音楽プレーヤーをスピーカーに直接つないで聴くことはできません。

このため、音楽プレーヤーの出力する音声信号を増幅してスピーカーを駆動できるようにするのがパワーアンプの役割です。プリメインアンプはパワーアンプが内蔵されているため、パワーアンプ同様にスピーカーを駆動することができます。

どんなスピーカーでもパワーアンプが必要なわけではないので注意が必要です。パワーアンプに接続するスピーカーは後述するパッシブスピーカーです。パワーアンプを内蔵したアクティブスピーカー(またはセミアクティブスピーカー)に外付けのパワーアンプは必要ありません。

これを知らずに外付けパワーアンプのスピーカー出力端子とアクティブスピーカーの入力端子をつなぐと破損の原因にもなるためくれぐれも注意してください。

※パワーアンプやプリメインアンプにライン出力端子がある場合は、ライン出力端子をアクティブスピーカーの入力端子に接続して利用することができます。

パワーアンプ非搭載スピーカーと搭載スピーカー

前述のとおりスピーカーにはパワーアンプが必要ですが、スピーカーの種類によってこのパワーアンプを別途用意しなければならないパワーアンプ非搭載タイプと、パワーアンプ搭載タイプがあります。

パワーアンプ搭載タイプは更に、スピーカーごとにアンプを搭載したタイプと、2台のスピーカーの片方だけにアンプを搭載しもう片方はアンプ非搭載のペアで使用するタイプがあります。

スピーカーの種別として、パワーアンプ非搭載タイプをパッシブスピーカー、パワーアンプ搭載タイプをアクティブスピーカーと呼ぶ分類方法がありますが、上記の説明のように実はパッシブスピーカーとアクティブスピーカーがペアセットになったスピーカーも存在します。オーディナリーサウンドではこのパッシブ・アクティブ混成タイプをセミアクティブスピーカーとして区別しています。広く一般的に紹介されているアクティブスピーカーの多くはこのパッシブとアクティブ混成のセミアクティブスピーカーです。

2台共にアンプ非搭載パッシブスピーカー
1台のみにアンプ搭載セミアクティブスピーカー
2台共にアンプ搭載アクティブスピーカー
スピーカーの種別(2台1組のステレオの場合)

パッシブスピーカーは電源不要ですがアンプを内蔵するアクティブスピーカーは電源が必要ですから、外観から容易に区別することができます。

アンプを内蔵したスピーカーをアクティブスピーカーと説明しているのに、そこで紹介されているスピーカーはパッシブスピーカーとアクティブスピーカーの混成ペアである記事には違和感を覚えます。アンプ不要のスピーカーと言いかえれば説明はつくのですが、メーカー自体がアクティブスピーカーと説明していたりで。。。

Bluetoothスピーカーでバッテリーを搭載しているタイプの機種によっては電源端子を容易に判別し辛いものがあるかもしれませんが、Bluetoothスピーカーはアンプを内蔵したアクティブスピーカーです。

パッシブスピーカーに使うアンプ

パッシブスピーカーはパワーアンプを内蔵していないため、単体のパワーアンプを一緒に揃える必要があります。

パワーアンプ(またはプリメインアンプ)にはスピーカー出力端子が装備されていてスピーカーケーブルでスピーカーと接続します。

パッシブスピーカーは外付けのパワーアンプが必要です

プリメインアンプはパワーアンプを内蔵しているのでパワーアンプ代わりに使うこともできます。

プリメインアンプはスピーカーの音量を調整するためのボリュームが付いていますが、パワーアンプにはプリメインアンプのボリュームに相当する機能を持たないものもあります。従来であれば、パワーアンプと対で使うコントロールアンプ(プリアンプ)で音量調整しますが、必ずしもコントロールアンプは必要なく、代わりにボリュームコントローラーやミキサーを使っても一向に構いません。

一般的には、”手軽なプリメインアンプ”、”本格的なパワーアンプ”という位置づけになります。※音質的にどちらが上ということは特にありませんから好みに応じて選べば良いでしょう。

アクティブスピーカーに使うアンプ

アクティブスピーカーやセミアクティブスピーカーはパワーアンプを内蔵しているため、他にパワーアンプは必要ありません。

アクティブスピーカーにはプリメインアンプのように音量調整ができるタイプとできないタイプがあるため、音量調整できないタイプのアクティブスピーカーの場合は何かしらの音量調整するものが必要です。コントロールアンプ、ボリュームコントローラー、ミキサーなどがこれに相当しますが、DACやオーディオインターフェイスで音量調整できる場合は不要となります。

このようにアクティブスピーカーは、機種や接続形態によってはアンプを使う必要はありません。

パッシブスピーカーのユニット数とアンプ数

パッシブスピーカーの場合は、フルレンジでも2ウェイでも3ウェイでも1チャンネルぶんのアンプで1台のスピーカーを駆動します。

マルチウェイのパッシブスピーカーの内部には前述の”その他のパーツ”としてパッシブクロスオーバーネットワークが入っていて、ここを通過することでアンプから来た音声信号は低音域、中音域(3ウェイの場合)、高音域に分割され各スピーカーユニットに送られます。

次の画像は自作スピーカー用に販売されている2ウェイ用のパッシブクロスオーバーネットワークです。アナログ回路(コイル、コンデンサー)により低音域と高音域に分割され各スピーカーユニットに送られます。

出典:https://www.daytonaudio.com/product/593/xo2w-2-5k-2-way-crossover-2-500-hz

一般的にパワーアンプやプリメインアンプはステレオ再生を前提に2チャンネルぶんのアンプが1つの筐体に収まっているので、1台のアンプで左右2台のスピーカーを駆動することができます。

アクティブスピーカーのユニット数とアンプ数

パワーアンプを内蔵したアクティブスピーカーの場合、パッシブスピーカーのように1つのパターンで説明することはできません。というのもアクティブスピーカーには、パッシブスピーカーに単純にステレオアンプを内蔵したシンプルな構造のタイプと、音質劣化の原因となりやすいパッシブクロスオーバーネットワークを排除してスピーカーユニットごとにアンプを持たせた高度な構造のタイプの2種類があるからです。

PCスピーカーの多くは前者のタイプ(セミアクティブスピーカー)で、アンプを内蔵したモニタースピーカーの多く(安価なものを除く大半)は後者のタイプになります。後者のタイプが音質的で有利であることは言うまでもありません。

アクティブスピーカーについて単に”アンプを内蔵したスピーカー”とだけ説明されている記事が多く、本来のアクティブスピーカーの音質面のメリットが伝えられていないのが現状です。

アクティブスピーカーをパッシブスピーカーの下位に位置付けるステレオタイプな考えを排除すれば本来求めているスピーカーに辿り着くことができるようになります。結果的にパッシブスピーカーに辿り着く場合もあれば、アクティブスピーカーに辿り着く場合もあります。

PCスピーカー(セミアクティブスピーカー)の場合

一般的なPCスピーカーの内部構成は、下図のように”アンプ”と書かれた部分を除いてパッシブスピーカーと同じです。

2チャンネルぶんのアンプが片方のスピーカーに内蔵されていてプレーヤーと接続します。1チャンネルぶんのアンプはそのスピーカーのパッシブクロスオーバーネットワークに内部接続されています。もう1チャンネルぶんのアンプはもう片方のスピーカーに接続する必要があるためスピーカー出力端子に内部接続され、スピーカーケーブル(赤線)でもう片方のスピーカーに接続します。

前者はアンプを内蔵している点ではアクティブスピーカーと言うことができ、後者はパッシブスピーカーということになります。また、パッシブクロスオーバーネットワークを使っている点ではどちらのスピーカーもパッシブスピーカーと変わりはありません。(単にアンプが入っているだけです)

このように、一般的なPCスピーカーはアクティブスピーカーと説明されてはいるものの、実際には1台がアンプ内蔵スピーカーでもう1台がパッシブスピーカーのペアセット(セミアクティブスピーカー)です。通常、ペアのスピーカーを接続するためのスピーカーケーブルが付属されています。

モニタースピーカーの場合

アンプを内蔵したマルチウェイのモニタースピーカーのほとんどは、分割された帯域ごとにアンプが内蔵されていて、”バイアンプ”や”トライアンプ”などと呼ばれています。2ウェイスピーカーの場合がバイアンプで、3ウェイスピーカーの場合がトライアンプです。

PCスピーカーとの主な違いは以下の点になります。

  • パッシブクロスオーバーネットワークが排除され、分割帯域ごとにアンプを内蔵している。
  • PCスピーカーのようなアクティブとパッシブのセットではなく、1台ずつが完全に独立したアクティブスピーカーである。(なので、5.1chのようなサラウンド再生用にも利用できる)

マルチアンプシステム

究極のオーディオとしてマルチアンプシステムがあります。パッシブスピーカーで問題視されるパッシブクロスオーバーネットワークを排除して分割帯域ごとにパワーアンプで駆動するシステムです。下図のようにアンプの前段にチャンネルデバイダーと呼ばれる音域を分割する機器を用いることで、分割された音域(2ウェイなら低音域と高音域)ごとに異なるアンプに音声信号を送り出します。

音質向上として理に適ったシステムですが、このような形で販売されている製品は通常は存在しないので自力で構築することになります。デメリットはシステムの構成要素が多くなってしまうためコスト的にも設置スペース的にも不利な大掛かりなシステムになることです。

アンプ内蔵のモニタースピーカーは、マルチアンプをビルドインした究極のオーディオシステム

前述のアンプを内蔵したモニタースピーカーは、このマルチアンプシステムをスピーカーのエンクロージャー内に全てビルドインした理想的なスピーカーシステムです。マルチアンプシステムのような配線コスト(ケーブル代)と配線の手間を大幅に軽減できる点もメリットの1つです。メンテナンスも遥かに容易になります。

アンプの種類・用途(付録)

この記事ではスピーカーにとってのアンプを対象にしていますが、スピーカー用途以外のアンプの種類も多数あります。

用途別アンプの種類
ヘッドホンヘッドホンアンプ
パッシブスピーカープリメインアンプ、パワーアンプ
アクティブスピーカー(不要※アンプ内蔵)
マイクマイクアンプ
レコードフォノアンプ
ギターギターアンプ
※多くの場合、ギターアンプはスピーカーキャビネットにアンプがビルドインされています。スピーカーなしのアンプはギターアンプヘッドと呼ばれます。
入力セレクター、音量調整コントロールアンプ(プリアンプ)

上記アンプの多くは機能として何らかの機器に内蔵されていることもあるので、別途揃える必要があるとは限りません。

  • パソコン使いにとってモニターはモニターディスプレイを指し、DTM使いにとってモニターはモニタースピーカーを指します。
  • アンプとだけ言うと話がかみ合わなくなることが多々あります。

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