PCオーディオ初級編
PCで音楽再生できることは知っていても方法がわからない!音質は良いの?といった方も少なからずいらっしゃいます。これとは別に、既に音楽再生にPCを使っていも、構築は人まかせだったために最小限の操作はできているけど・・・といった方も少なからずいらっしゃいます。(PCはCD/レコードプレーヤーのように繋いだだけでは思うように操作できないこともままあります)
PCで音楽を快適に再生するには、(スマホやIT関連の使いこなしがそうであるように)求められることを自ら習得しなければ思ったように優れた道具にはなってくれません。PCで音楽再生する際に知っておきたい基本的なことはしっかり身につけておきましょう。
PCオーディオで揃えるものと優先度
ベーシックアイテム
次のものさえ揃えればPCオーディオはすぐにでも始められます。
※CDを取り込んで音楽ファイルを作るにはパソコン周辺機器の光学ドライブが必要です。(関連記事:CD取り込みに必要なツール)
- パソコン(Windows/Mac)
※LinuxもPCですが今のところ取り上げる予定はありません。 - 音楽再生ソフト
- イヤホン・ヘッドホンまたはスピーカー(パッシブスピーカー・アクティブスピーカー)
※パッシブスピーカーの場合は別途パワーアンプ・プリメインアンプが必要です。
パソコン
音楽を聴くために特別なパソコンは必要ありませんから、既に持っているパソコンを使ってみてください。
パソコンを持っていない、あるいは使っているパソコンを音楽用に割り当てられない場合は新調しましょう。最新鋭のパソコンである必要はないので、ファンの音はうるさくないか・スピーカーを邪魔せずに設置可能かなどを考慮に入れて選ぶと良いでしょう。次の画像は手のひらサイズの高性能ミニPCです。
OS(Windows)をプリインストールした一般的なパソコンならMINISFORUM、ストレージやCPUをチョイスするならベアボーンキットのASRockのDeskMeetやIntelのNUC等がおすすめです。
音楽再生ソフト
WindowsやMacには標準で音楽再生ソフトがインストールされていますから別途インストールしなくても音楽を聴くことができます。OS標準のソフトで満足できなくなったら、有料無料の音楽再生ソフトが豊富に揃っていますから目的に応じたソフトを選びましょう。SpotifyやAmazon Musicなどの音楽サブスクは無料の専用ソフトをインストールして再生します。
イヤホン・ヘッドホン
通勤通学で使うイヤホン・ヘッドホンでも構いませんが、屋外と屋内では周囲の騒音レベルが違うなど使用環境が異なるため屋内使用に適した高音質で疲れにくいイヤホン・ヘッドホンを選びましょう。ほとんどのパソコンはBluetoothで音声をワイヤレス伝送できるので、Bluetoothイヤホン・ヘッドホンも利用できます。
スピーカー
PCオーディオの音質はスピーカー次第と言っても過言ではありませんから、可能な限り高音質なスピーカーを使いましょう。
パッシブスピーカー
パッシブスピーカーにPCを追加する場合は、プリメインアンプ(またはプリアンプ)の入力端子にパソコンの音声出力を接続します。
新たにアンプ(プリメイン/プリ+パワー)とパッシブスピーカーを揃える場合は、以下のリンクページを参考にしてください。
アクティブスピーカー
高音質なアクティブスピーカーは、費用対効果が高く省スペースであることもPCオーディオに使うスピーカーとしておすすめします。
オプションアイテム
ストレージ(HDD / SSD / SDカード / USBメモリー / NAS等)
ストレージは元々PCに入っていますが曲数が増えてくると容量不足になるため、大容量ストレージを追加することになります。音楽ストリーミング配信サービスだけを利用するなら大容量ストレージは必要ありません。但しオフライン再生のために楽曲をダウンロードするとなると大容量ストレージが必要になります。
様々なストレージの種類の中でどれを選べば良いでしょうか。高速で省スペース・回転メカニズムを持たないので静音性が高いといった点でSSDが最有力候補になります。容量単価を重視するならHDDを選択します。ノートPCでストレージ容量を内部増設できない場合は、SDカードやUSBメモリーを使います。ネットワークで音源(音楽ファイル)を複数のパソコンやオーディオ機器で共有したければNASを使います。
DAC
PC本体のオーディオ出力の音質が物足りなければDACを追加接続します。音楽サブスクやYouTubeその他の動画を再生する場合は、PC接続に対応した豊富なDACの種類から好みの機種を選びます。DSDやMQAの音源が再生対象に含まれる場合はDSDやMQAに対応したDACを選びます。
USB DACよりもスピーカー
PCオーディオといえば、”はじめにUSB DACありき”のように語られることがほとんどですが、良い音で音楽を聴くための最も重要な要素はスピーカーです。USB DACに割り当てる予算をスピーカーに割り当てた方が費用対効果が高いので、USB DACは後から検討しても構わないでしょう。
オーディオインターフェイス
通常、PCオーディオと言うと真っ先に紹介されるのがUSB DACですが、ヘッドホンリスニングなら高音質なヘッドホンやイヤホンを、スピーカーリスニングなら高音質なスピーカーを優先することが良い音で聴く結果につながります。特にスピーカーリスニングを高音質で聴く場合はDACよりも先に以下に紹介するオーディオインターフェイスの導入をおすすめします。
PCを音楽再生のプレーヤーとして利用するだけならDACを利用すればよいですが、PCのメリットを活かして最初からオーディオインターフェイスを利用することも検討の価値が十分にあります。オーディオインターフェイスは基本的にDSDやMQAに対応しませんから、DSDやMQA対応DACと併用することもできます。
PCで録音したりルームアコースティックの最適化に役立てるには音楽再生ソフト以外のソフトや機器が必要になります(録音するには録音ソフト等)。用途に応じて必要なものは個別の記事を参照してください。
PCオーディオの接続方法
ノートPC等スピーカーを内蔵したパソコンならそれ自身で音楽を聴くことはできますし、PCのヘッドホンジャックにヘッドホンやイヤホンを接続して聴くこともできます。しかし、パソコン内蔵のスピーカーで満足な音質を得ることはありませんから、音楽再生に相応しいオーディオ機器を接続しましょう。
PCで再生 | 音楽を聴くだけ(音を出すだけ) | 本来の良い音で音楽を聴く |
---|---|---|
イヤホン/ヘッドホン | イヤホン/ヘッドホンを差し込むだけ | ヘッドホンアンプを追加する イヤホン/ヘッドホンをグレードアップする |
スピーカー | 内蔵スピーカーで聴く 内蔵スピーカーがなければPCスピーカーを追加する | 高音質なスピーカーを追加する 場合によってはDACも追加する |
PCとオーディオ機器の4とおりの接続方法
- ヘッドホン端子
- Bluetooth
- USBその他のデータI/Oポート(Thunderbolt、PCI Express等)
- ネットワーク(有線/無線)
ヘッドホン端子
ヘッドホン端子を装備したPCは、ヘッドホンを接続する以外にもプリメインアンプやアンバランス入力に対応したアクティブスピーカーを接続することができます。※場合によっては高音の周波数特性が変わる可能性もあります。
PCとオーディオシステムを接続するにはPCのヘッドホン端子(通常は3.5mmアンバランスステレオ)とプリメインアンプ等のアンバランス入力(通常はRCA)やアクティブスピーカーのアンバランス入力(3.5mmステレオ等)を接続するためのケーブルを使います。
Bluetooth接続
多くのPCはBluettothを搭載しているためBluetoothを搭載したオーディオ機器とケーブルで接続せずにワイヤレスで簡単に接続できます。Bluetooth対応のイヤホン/ヘッドホン/スピーカーは勿論のことBluetoothを搭載したプリアンプやプリメインアンプ等もあります。イヤホン/ヘッドホン/スピーカーがBluetoothを搭載していない場合は、Bluetoothレシーバーを使います。
パソコンとパッシブスピーカーをワイヤレス接続するBluetoothレシーバー
手持ちのオーディオシステムにPCを追加する場合にもワイヤレス接続が簡単で便利です。オーディオシステムがBluetoothに対応していない場合は、プリメインアンプなどの外部入力端子にBluetoothレシーバーを接続することでPCの音声をワイヤレス伝送できるようになります。
音質に拘るならZEN Blue等の高音質Bluetoothレシーバーを選びましょう。
※手持ちのオーディオシステムとバランス接続またはデジタル接続するならZEN Blue、アンバランス接続(RCA)ならZEN Air Blueです。
USBその他のデータI/O(Thunderbolt、PCI Express等)
PCのデータI/O(USB、Thunderbolt、PCI Express等)はデジタル音声を出力することができます。PCと接続可能なDACの多くがUSBで接続するタイプのため”USB DAC”と呼ばれ「PCオーディオ=USB DAC」と思われていますが、接続ポートは特にUSBに限られるわけではありません。MacはUSBよりも高速で安定性の高いThunderboltを標準で搭載しているためThunderbolt経由でDA変換することも可能です。PCI ExpressもUSBよりも高速で安定性の高いI/Oですが、ノートPCが主流になったためか対応デバイスが少なくなってきました。
DACを使ったPCとオーディオ機器の接続については、今さら聞けないDACの使い方、選び方をご覧ください。
PCからネットワーク経由でオーディオ機器に接続
PCの音声データをPCから直接出力(USB DACやBluetoothを含む)せずにネットワーク経由でオーディオ機器に出力することができます。
DLNAレンダラーへのプッシュ送信は現在最も汎用性の高い接続方法で、PCの音楽再生ソフトで出力先をDLNA機器に指定するといったものです。例えばTuneBrowserの場合は、出力先リストの中にUSB DACに並んでDLNAレンダラーデバイスが表示されて出力先として指定することができます。
サブスクの音楽再生ソフトRoonは独自のネットワーク伝送規格でRoon Ready対応のオーディオ機器に音声データを出力します。
ネットワーク経由のオーディオ伝送(Audio over IP)は他にも様々な規格があり、プロオーディオではRAVENNAやDante等の規格が古くから使われています。RAVENNAもDanteもASIOドライバーが提供されているため音楽再生ソフトをソースとして利用することができます。ホームオーディオのDirettaもRAVENNAやDanteと同様にASIOドライバーを利用したネットワーク伝送を実現しています。
ネットワーク経由でPCの音声を出力する方法は、USBを使った音声出力に懸念がある場合に有効な選択肢となります。インターネットでルーターやWi-Fiルーターを既に利用している場合は、そのままで機器を接続して利用することができます。
- PCオーディオとはパソコンを音楽再生に取り入れたオーディオのスタイル。
- はじめの一歩は音楽プレーヤーとしてのパソコン利用。
- パソコンはCDプレーヤー等と同様にプレーヤーとしてオーディオ機器に接続可能。
- 様々な接続方法。
- ヘッドホンジャック
- USBその他のローカルデバイスI/O
- Bluetooth
- ネットワーク
- スピーカーやヘッドホン・イヤホンが音質の鍵(他のオーディオシステムと同じ)。
- 機能や音質にあわせてUSB DACを選ぶ。
PCオーディオ用にオーディオシステムを新たに揃える場合は、一般的なホームオーディオ製品のシステムを使うよりもアンプを内蔵したアクティブスピーカーが手軽でおすすめです。(関連記事:アクティブスピーカーを音楽鑑賞におすすめする5つの理由)
パソコンとアクティブスピーカーをワイヤレス接続
ほとんどのPCはBluetoothにより音声をワイヤレス伝送できるためBluetooth対応スピーカーならケーブル接続の煩雑さから解放されます。特に持ち出す機会の多いノートPCには重宝します。
パソコンと手軽に接続できるおすすめ高音質スピーカー
PCオーディオの手始めとしておすすめする高音質アクティブスピーカーはイギリスruarkaudioのMR1 mk2とイタリアIK MultimediaのiLoud Micro Monitorです。
ruarkaudio MR1 mk2
IK MultimediaのiLoud Micro Monitor
おすすめポイント
PCと簡単・シンプルに接続できてしかも高音質なスピーカーとなると実はあまり選択肢はありません。簡単・シンプルにPCとスピーカーを接続するにはアンプを内蔵したスピーカー(アクティブスピーカー)が適していますが、スピーカー側で音量調整できるPCスピーカーでは音質的に満足できません。かといって音質的に満足できる本格的なアクティブスピーカー(モニタースピーカーなど)はスピーカー側で音量調整しないため、PCとスピーカーの間にボリュームコントローラーが必要となりシンプル接続になりません。
先にあげた2機種は高音質でありながらスピーカー側で音量調整できるPCと相性の良いスピーカーです。
パソコンとケーブルで接続する方法
パソコンのヘッドホンジャックと左右のスピーカーをケーブルで接続するだけです。
より本格的なワイヤレススピーカー
Wharfedale Proの高音質アクティブスピーカーDiamond studio BTシリーズはBluetoothでパソコンの音楽をワイヤレス再生することができます。(本格的なバランスケーブル接続にも対応)
一般的な左右セパレートのBluetoothスピーカーの場合は左右スピーカーをケーブルで接続する必要がありますが、Diamond studio BTシリーズは左右スピーカーもワイヤレスです。(トゥルーワイヤレス)
一般的なPCオーディオは汎用OSであるWindowsやMacに音楽アプリをインストールするため、パソコンの一機能としてオーディオを利用する形態を取ります。汎用OS上で動作する音楽アプリは再生中も音楽再生とは無縁の処理がバックグラウンドで動作するためこれを嫌ってオーディオにPCを使わないとの考え方があります。
一方でオーディオに特化したPCを実現するOSが存在します。Volumio OSは様々なハードウェアプラットフォームに対応するOSでWindowsが動作するPCにも対応しています(無料/有料プランあり)。また、一般的なRoonはPCやNASの汎用OS上で動作するアプリですが、これをOSレベルで実現しているのがRoon OSです。Roon OSもWindowsが動作するPCに組み込むことができます(Volumioよりも高いハードウェアスペックが要求されます)。Roonのサービスそのものは有料ですがRoon OSはRoon Optimized Core Kit(ROCK)として無料で提供されています。
Volumio OS、Roon OS共にVolumioとRoonの隠れた目玉機能とも言える畳み込み(コンボリューション)が使える点も見逃せません。
PCオーディオを極める
PCオーディオ上級編
PCはプレーヤーとして利用する以外にも音楽再生環境全般に渡って多くの恩恵をもたらします。
音楽プレーヤーとしてだけにPCを利用するのは実に勿体ない話ですから、PCオーディオの真骨頂を堪能しましょう。
これからのPCオーディオ=従来のPCオーディオを含めた音楽再生のトータル環境
現在語られている“PCオーディオ”は従来のプレーヤー(CDやレコード)の置き換えに過ぎません。しかしパソコンが音楽再生に役立つのは音楽プレーヤーに限ったことではありません。
パソコンで高音質化と言えば、多くはパソコン自体あるいはUSB DACを含むプレーヤーとしての高音質化の説明です。しかし、パソコンはオーディオシステム全体のウィークポイントを発見し改善することのできる従来のオーディオには存在しない第4のオーディオ機器としても利用可能です。
上の図は、グレーの部分が既存のPCオーディオを現しています。ご存じのとおり、PCの音楽再生ソフトの出力音声をDACでアナログ変換してヘッドホン/イヤホンやスピーカーで聴くことができます。
青い部分が再生以外にもPCを活用できる部分です。DACと逆動作のADC(アナログデジタルコンバーター)と音声編集ソフトはレコードなどから音楽ファイルを作ります。マイクとADC、測定ソフトは部屋を含む総合的な音響特性を見える化します。オーディオプラグイン(ソフトまたはハード)は、音響特性の問題を改善したり真空管等のサウンドキャラクターを付与します。
プレーヤー以外でPCが音楽再生にもたらす主なメリットは以下の3点です。
- オーディオレコーダーとしてアナログ資産を継承する
- ルームアコースティックを”見える化”してこれを元に改善する
- プレミアム・ヴィンテージな名機のサウンドキャラクターを再現する
- 信号経路の自由なパッチング(ルーティング)
オーディオレコーダーとしてアナログ資産を受け継ぐ
昔ならカセットやオープンリールなどのテープレコーダーやそのデジタル版であるDATがありましたが、現在はこれに置き換わるレコーダーは皆無に等しい状況です。音楽CDならリッピングすることでレコーダー要らずですが、レコードやテープ、MDの音源を音楽ファイル化するにはデジタル音声で録音する必要があります。
アナログ音声信号をデジタルに変換してPCに送り出すADC(アナログデジタルコンバーター)機能を搭載したオーディオインターフェイスと音声編集ソフトを使えばPCは高性能なデジタルオーディオレコーダーとして利用できます。MDなどデジタル音源の場合はアナログデジタル変換せずにデジタル信号のままで録音することも可能です。
実時間を要する録音作業はCDの取り込みに比べると少々手間ですが、貴重な音源を所有している場合はPCに取り込む価値は大いにあります。また、アナログ音源のバックアップとしても有効な手段です。カセットテープレコーダーとは比べ物にならない忠実度の高い高音質な録音ができます。
アナログ音源から音楽ファイルを作る録音ソフトは豊富な有償無償ソフトから選ぶことができます。ハードウェアのレコーダーに比べて同等以上の機能・性能ながらもローコストで入手できる点も魅力です。
関連記事:
- アナログ資産の残し方-今どきのレコーダー事情
- Audacityの使い方 ※Audacityは録音・編集ソフトです
ルームアコースティックを把握して改善する
音楽鑑賞にスピーカーを使う場合は、スピーカーから出力される音に部屋が与える悪影響を如何にして軽減するかが、音楽を本来の高音質で聴くためのキーポイントです。このことを知ってはいてもなかなか実践できていないのが実情です。
測定用マイクをオーディオインターフェイスを介してPCにつなぐと、部屋がどれほど再生音に悪い影響を与えているかがグラフや数値として具体的に見えてくるので、誤ったルームアコースティック対策を回避するのに役立ちます。
更に、PCのオーディオプラグイン(ソフトまたはハード)を使うことでルームアコースティックが引き起こす問題を補正して回避することも可能になります。その結果、オーディオ機器をグレードアップする以上の効果を得ることができます。
ルームアコースティックとは無縁のヘッドホンオーディオとてヘッドホン自体の最適化と個々のリスナーへの最適化が高音質化につながります。ヘッドホンは左右の特性に個体差が見られることがあるため、マイク測定による補正で音質改善することがあります。
このように、パソコンは部屋を含めた再生環境全体を最適化し高音質化する最強のオーディオ機器となります。
関連記事:ルームアコースティック記事一覧
プレミアム・ヴィンテージな名機のサウンドキャラクターを手に入れる
オーディオの高級機やヴィンテージ機は、その機器でなければ出せないサウンドキャラクターがあり重宝されています。真空管による色付けもその一つです。
高級機やヴィンテージ機を入手することは容易ではありませんが、PCのソフトウェアやハードウェア(周辺機器)を使うとそれらのサウンドキャラクターを簡単に再現することができます。(エミュレーション機能)
音源によっては何も足さず何も引かないピュアな状態よりも真空管などを通して色付けしたほうが魅力の増す音源も少なからず存在しますが、PCを利用することでこの効果を得ることができます。躍動感をあまり感じない(元気のない)音源を魅力的な音楽として蘇らせるためにも有効な手段です。
パソコンはソフトやハードのプラグインにより多様なオーディオプロセッサーの役割を担います。TuneBrowser、JRiver Media Center、VoiceMeeter Banana等のソフトでこのプラグインを利用します。
音源がマスタリングされた環境や時代背景にあわせてオーディオシステムを最適化することで本来の音源のクォリティを再現できる場合があります。
再生環境がマスタリング時のモニターシステムやルームアコースティックと異なると、本来の音の再現とはほど遠いものになってしまいます。トランジスタアンプ登場以前のマスタリング環境で使われた真空管アンプは音を着色するため、再生環境においても真空管のサウンドキャラクターを付加することが好結果につながる場合があります。
音声信号経路の自由なパッチング
PCオーディオならではの魅力の1つは潤沢なソフトウェアです。音楽再生ソフトの他にも信号経路を柔軟につなぎかえる仮想オーディオデバイスやイコライザー等のサウンドプロセッサーがあります。
音楽再生ソフトとUSB DACだけではPCオーディオのほんの入り口に過ぎませんから、PCならではの音楽再生の魅力を堪能しましょう。
YouTubeや音楽サブスクアプリをASIO出力
Windowsの場合、Webブラウザを使ったYouTubeやNetflix等の動画・Amazon MusicやSpotify等の再生アプリはASIOで出力することができないためLAN DACを使うことができないなどと言ったことが起こります。仮想オーディオデバイスを搭載したVoiceMeeterはこの問題を解決してくれます。
YouTubeや音楽再生ソフトをイコライジング
Webブラウザや音楽再生ソフトはイコライザーを搭載していない、または搭載していてもおまけ程度といったものがほとんどです。
一部の音楽再生ソフトはサウンドプロセッサー機能を追加するための共通規格となるVSTというプラグインに対応しているので、イコライザーをはじめとする豊富なラインナップから機能追加してイコライジングできるようになります。
VSTプラグインに対応していない音楽再生ソフトやWebブラウザはシステムワイドイコライザー(OS全般に摘要可)を利用することができます。