Cue Sheetとは
Cue Sheet(キューシート)は、一つの音声ファイルの再生開始位置を複数個所書き込んでトラックとして扱えるようにするファイル(拡張子.cue)または音声ファイルに含まれる情報です。前者を外部キューシート、後者を内部(または埋め込み)キューシートなどと呼びます。
Cue Sheetには開始時間の他に曲名、アーティストなどの楽曲情報も保存できます。
Cue Sheetに対応したプレーヤー
PCなら様々なソフトでCue Sheet形式を再生可能
Cue Sheet対応の音楽再生ソフト
- Windows / Mac
- Audirvana
- JRiver Media Center
- foobar2000
- Windows
- TuneBrowser
- MusicBee
※Audirvanaは、Mac版で外部キューシートに対応していることを確認(内部キューシートは非対応)
上記以外にも多数のCue Sheet対応ソフトが存在します。
関連記事:Win PCの音楽再生ソフト事情
Cue Sheet対応のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)
ホームオーディオでCue Sheetに対応した機器はあまり見かけたことがありません。LotooのPAW 5000MKIIの対応フォーマット一覧には”cue”がリストアップされています。
CUE Ripperが生成するCUE Sheet
今回、Cue Sheetについて理解を深めるためにThird WorldのアルバムThe Story’s been ToldをFLAC形式で改めてリッピングしました。
CUE Ripperで1ディスク1ファイル形式(image)にリッピングすると自動的に外部キューシートと内部キューシートが生成されます。
以下は外部キューシート(Third World – The Story’s Been Told.cue)の内容です。※.cueファイルはメモ帳などのテキストエディタで開くことができます。
外部キューシート
REM DISCID 5808D707
PERFORMER "Third World"
TITLE "The Story's Been Told"
CATALOG 0731452453020
REM DATE 1979
REM GENRE "Reggae"
REM COMMENT "YEAR: 1979"
FILE "Third World - The Story's Been Told.flac" WAVE
TRACK 01 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Talk To Me"
ISRC GBAPA7900001
INDEX 01 00:00:00
TRACK 02 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Irie Ites"
ISRC GBAPA7900002
INDEX 00 08:18:65
INDEX 01 08:20:70
TRACK 03 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Always Around"
ISRC GBAPA7900003
INDEX 00 12:51:35
INDEX 01 12:54:60
TRACK 04 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Tonight For Me"
ISRC GBAAN7900022
INDEX 00 17:30:42
INDEX 01 17:32:20
TRACK 05 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Come Together"
ISRC GBAAN7900023
INDEX 00 22:22:45
INDEX 01 22:24:67
TRACK 06 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "Having a Party"
ISRC GBAAN7900024
INDEX 01 25:27:55
TRACK 07 AUDIO
PERFORMER "Third World"
TITLE "The Story's Been Told"
ISRC GBAAN7900025
INDEX 00 30:31:35
INDEX 01 30:34:55
以下は、 埋め込み(内部)キューシート の内容です。埋め込みキューシートはfoobar2000で開くことができます。※使い方はCue Sheet形式のタグ編集をご覧ください。
埋め込みキューシート
REM GENRE Reggae
REM DATE 1979
REM DISCID 5808D707
REM COMMENT YEAR: 1979
CATALOG 0731452453020
PERFORMER "Third World"
TITLE "The Story's Been Told"
FILE "Third World - The Story's Been Told.flac" WAVE
TRACK 01 AUDIO
TITLE "Talk To Me"
ISRC GBAPA7900001
INDEX 01 00:00:00
TRACK 02 AUDIO
TITLE "Irie Ites"
ISRC GBAPA7900002
INDEX 00 08:18:65
INDEX 01 08:20:70
TRACK 03 AUDIO
TITLE "Always Around"
ISRC GBAPA7900003
INDEX 00 12:51:35
INDEX 01 12:54:60
TRACK 04 AUDIO
TITLE "Tonight For Me"
ISRC GBAAN7900022
INDEX 00 17:30:42
INDEX 01 17:32:20
TRACK 05 AUDIO
TITLE "Come Together"
ISRC GBAAN7900023
INDEX 00 22:22:45
INDEX 01 22:24:67
TRACK 06 AUDIO
TITLE "Having a Party"
ISRC GBAAN7900024
INDEX 01 25:27:55
TRACK 07 AUDIO
TITLE "The Story's Been Told"
ISRC GBAAN7900025
INDEX 00 30:31:35
INDEX 01 30:34:55
外部キューシートと内部キューシートに相違
外部キューシートと内部キューシートを見比べると僅かな差異が見られます。
8行目(TRACK 01 AUDIOの前)までは、書かれている内容は同じですが表記順が異なります。
TRACK 01 AUDIO以下の各トラック情報では、外部キューシートにはPERFORMER “Third World”と書かれていますが、内部キューシートにはありません。
ISRCとは
外部キューシートにも内部キューシートにもトラック単位で”ISRC”という項目があります。このISRCについて日本レコード協会が次のように説明しています。
「International Standard Recording Code」の略称で、日本語で「国際標準レコーディングコード」といいます。
https://isrc.jmd.ne.jp/about/
レコーディング(オーディオレコーディング及び音楽ビデオレコーディング)の識別に利用される唯一の国際標準コードです。・・・
TuneBrowserでのCue Sheetの扱い
以下、TuneBrowserヘルプの抜粋です。
タグの登録/更新
CUESHEETが存在している場合, タグ情報は (ジャケット画像を除いて) CUESHEETに記載されているものを使用します. 同様に, 更新時はCUESHEETを書き換えます.
CUESHEETのタグ情報で, TuneBrowserが読み込みに対応している書式は以下の通りです.・REM TAG VALUE
TAGをタグ名として, それ以降の文字列VALUEを値として格納します.・PERFORMER
ARTISTに変換して読み込みます.・TITLE
トラック記述に入っていない場合はALBUM, トラック記述に入っている場合はトラックのTITLE.・TRACK
この識別子があると, それ以降はトラック記述に入ります.・INDEX
タグ情報としては使用しませんが, そのトラックの開始フレームとして使用します. TuneBrowserは INDEX 01 のみ使用します.・上記以外の TAG VALUE
TAGをタグ名として, それ以降の文字列VALUEを値として格納します.書き込みに対応している書式は以下の通りです (設定で「すべてのタグを書く」としている場合はこの限りではありません).
・PERFORMER
ARTISTから変換して書き込みます.・ALBUM
TITLEから変換して書き込みます.・GENRE/DATE/DISCID/COMMENT
冒頭にREM を付与して書き込みます.・TITLE
トラックのタイトルとして書き込みます.
上記以外で, もともとCUESHEETに書かれていた情報も書き戻します.
JRiver:内部キューシート形式の一部のFLACで”不明なアーティスト”や”不明なアルバム”が発覚
現在、PCを新環境に移行しているですが、JRiverでいくつかのアルバムが”不明なアーティスト”や”不明なアルバム”になっていることに気づきました。
画像はアーティストのみ不明となっていますが、他にアーティストもアルバムも不明なものもあります。
これらのほとんどは内部キューシート形式FLACのはずなので、JRiverがアーティストやアルバムのタグを上手く読み込めていない可能性があります。※TuneBrowserでは正しく表示されています。
(調べてみて後日に結果をアップする予定2019/11/16)
内部キューシートのトラック単位のアーティスト情報が必要
その後の更新情報です。(2019/11/21)
アーティスト名が認識されているアルバムと認識されていないアルバムのキューシートを比較すると、認識されているアルバムはトラックごとに「PERFORMER “(アーティスト名)”」があるのに対して認識されていない(つまり”不明なアーティスト”に分類される)アルバムはトラックごとの「PERFORMER “(アーティスト名)”」がありませんでした。
※トラック情報より前に記述されている(つまりアルバム全体に対する)PERFORMERは正しく記述されていました。
※内部キューシートがどのように記述されているかは、上記の例を参考にしてください。
※内部キューシートはfoobar2000のEmbedded Cue Sheet Editorで確認することができます。
トラック単位のアーティスト情報を追加すれば解決しそうなので、TuneBrowserで内部キューシートを更新してみたところ成功しました。
大まかな手順は以下の通りです。
- TuneBrowserで編集対象のプロパティを開いてArtistを更新します。※TuneBrowserはタグを更新するとキューシートも更新されます。
- JRiver Media Centerで対象アルバムの全トラックを選択した状態で、右クリックメニューから「ライブラリツール > ライブラリをアップデート(タグから)」を選択します。
JRiver Media Centerの楽曲リストやタグ編集エリアでアーティスト名が記述されていることが確認できます。
わざわざTuneBrowserを使わなくても、JRiver Media Centerでタグ編集することで内部キューシートに反映できそうなものですが、JRiver Media Centerでタグ編集しても内部キューシートを更新することはできないようです。
トラック単位でアーティスト情報があるものとないものが混在している理由はまだ理解していませんので引き続きの課題です。
内部キューシートから外部キューシート(*.cue)を作るには
内部キューシートのみで外部キューシートが存在していない場合は、Windows版foobar2000を使って外部キューシートを作ることができます。
Audirvanaでキューシート形式の音楽ファイルを再生したいが外部キューシートが存在しない場合などに有効です。
手順
- 内部キューシート形式のFLACをドラッグ&ドロップするなどしてWindows版foobar2000で読み込む
- Embedded Cue Sheet Editorを開く
foobar2000で埋め込みCue Sheetを確認を参照してください - 内容をコピーしてメモ帳などに張り付ける
- 音楽ファイルと同名の.cueファイルとして保存する
- 保存したキューシートファイル(.cue)を音楽ファイルと同じフォルダーに置く
以上で、Audirvanaがキューシートを認識してくれます。
キューシートファイルを置いてもトラック単位で表示されない場合は、テキストエディタでキューシートファイルを開いて参照ファイル名が実際の音楽ファイル名と一致しているか確認して下さい。異なる場合はテキストエディタで修正します。