スピーカーは無造作に使っただけでは、本来の数分の一しかポテンシャルは発揮されません。
- 音質の良し悪しはスピーカーで決まります。出来るだけ高音質なスピーカーを選びましょう。
- DACやアンプはスピーカーのグレードにあったものを使いましょう。
スピーカーは音楽や動画音声をリスナーに届ける最終ステージですから、オーディオ機器の中でも最重要アイテムです。ヘッドホンやイヤホンでは体験することのない音の空間に触れてこそ、音楽や動画の本質が伝わってきます。スピーカーには出来るだけコストを掛けて良いものを選びましょう。
はじめに:スピーカーを使うための基礎知識(初心者向き)
イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くには、音楽プレーヤー(スマホやパソコン、CDプレーヤー等)のヘッドホン端子にイヤホンやヘッドホンを接続するかBluetoothでワイヤレス接続すればよいわけですが、スピーカーの場合はどうすればよいのでしょうか。
スマホやパソコンの音楽をスピーカーで聴きたいがどうしたらいいのかわからない、スピーカーのつなぎ方や他に必要な物を知りたい方は、「スピーカーとアンプの基礎知識」と「スピーカーケーブルのつなぎ方:初心者向き」を最初にご覧ください。
スピーカーで高音質に音楽を聴くために実践する優先順
音楽をスピーカーで高音質に聴くためのハードルは今やそれ程高くない
生演奏の聴き方でわかるように音楽は空気を介して聴くのが本来の姿です。ヘッドホンやイヤホンは手軽に音楽を聴く手段を与えてくれますが、スピーカーで聴くことが極自然なスタイルであるといえます。
「スピーカーで高音質再生なんて高嶺の花でとてもじゃないが手が出せない」と考えられていたのはもはや過去のことです。これまでは高価な高音質スピーカー(とアンプ)に加えて特別な部屋を用意しなければならないという高いハードルがありました。
今日では現実的に入手可能な価格帯の高音質なスピーカーが多数存在します。更に音楽再生のための特別な部屋を持たなくても、普段使っている部屋でスピーカーの能力を最大限に引き出すことのできるソリューションが、スピーカーと同様に現実的な価格帯で入手できます。
それでは、何をどのような手順で導入したら音楽を高音質に聴くことができるでしょうか。順を追って説明します。
はじめに高音質スピーカーありき
何より初めに高音質なスピーカーを使ってください。パッシブスピーカーでもアクティブスピーカーでも好みで構いません。アンプ不要で高コスパで更に省スペースを望むならアクティブスピーカーです。
プレーヤーはCDプレーヤーでもパソコンでもスマホでも既に使っているもので構いません。良いスピーカーにするだけで音質は見違えりますから音楽を存分に楽しんでください。
既に高音質スピーカーを持っているなら次のステップへ進んでください。
スピーカーはセッティング次第
スピーカーは置き方によって聴こえ方が大きく変わりますからセッティングにチャレンジしてみてください。スピーカーには上質なスピーカースタンドの使用をおすすめします。
スマホで手軽にサウンドチェック
スピーカーをアップグレードするだけでも音楽を高音質に聴けるようになりますが、決してこの時点で満足しないでください。スピーカーの能力は半分も発揮されていません。
スピーカーの能力が半分も発揮されていないことについては、「スピーカーで聴いている音は歪みだらけ」をご覧いただければわかります。
スマホやタブレットを持っているならフリーのアプリを使ってスピーカーで聴いている音の状態をチェックすることができるので試してみてください。コンテンツ本来の音とは大きくかけ離れていることに気付かされます。
※スマホ・タブレットが無くてもパソコンをお使いなら同等以上のことができます。
イコライザーで最適化
プレーヤーやスピーカーにイコライザーが付いているなら調整してみてください。先程お話ししたスマホアプリを使えば、イコライザーを使うことで音の状態が変化していることがわかるのでイコライザー調整の目安になります。
イコライザーがない場合は新たに追加してください。パソコンなら無償・有償でソフトのイコライザーが手に入ります。スマホでも同様にソフトのイコライザーを使える場合があります。CDプレーヤー、レコードプレーヤーの場合はハードのイコライザー等を新たに用意します。これを機にPCオーディオを導入するのもよいでしょう。
パソコンで音の最適化をレベルアップ
スマホアプリとイコライザーで音質向上したら、更にイコライザーを駆使して磨きのかかった音質に仕上げましょう。準備する主なものは、測定用マイクとパソコンとオーディオインターフェイスです。
プレーヤーとしてパソコンを使っているならそのパソコンを使います。プレーヤーとしてパソコン以外を使っている場合は、測定用マイクやオーディオインターフェイスを使うためのパソコンを準備します。特別なパソコンは要りません。
※ここまででパソコンやCDプレーヤーのためのDACが登場しなかった理由は、オーディオインターフェイスがDACとしても利用できるからです。既にDACを使っている場合でも、DACはオーディオインターフェイスの代用にはなりませんからオーディオインターフェイスを準備してください。
パソコンを使うとスピーカーがその部屋でどのような音を出しているのかがスマホアプリよりも更にわかるようになります(精度と情報量が高まります)。ですから音響のプロでなくてもイコライザーを使った音の最適化が誰でも簡単にできるようになります。
WindowsやMacで動作する音響測定用のソフトが無償・有償で入手できるのでこれを使います。測定用マイクとパソコンソフトはスマホアプリを使うよりも高い信頼性で音のチェックができますから、イコライザーによる最適化の精度も格段に高まります。※オーディオインターフェイスは測定用マイクで拾った音をパソコンに取り込むために使います。
従来であれば音響パネルなどで部屋の音を最適化する方法が取られてきましたが、聴感による試行錯誤では最適化にも限界がありますしセッティングの再現性も低くなります。イコライザーが完全に音響パネルの置き換えになるわけではなく音響パネルならではの役割がありますから、理想的にはイコライザーと音響パネルを併用することです。確実でリーズナブルに効果を出せるのはイコライザーですから、イコライザーから着手してください。
※オーディオインターフェイスは音響測定ソフトを使う時には必須アイテムですが、普段、音楽を聴く時には特に必要なわけではありません。音楽を聴く時にオーディオインターフェイスをDACとして使うことも、好みのDACを使うことも自由です。
また、オーディオインターフェイスとパソコンはイコライザーとしてCDプレーヤー等で使うこともできます。アイディア次第で様々な使い方ができる事がPCオーディオの魅力です。
※この記事では、ソフトや単体ハードのイコライザーの話をしてきましたが、アクティブスピーカーの中には部屋にあわせて最適化するためのイコライザーを内蔵した先進的な機種もあります。