CDリッピングとは?
CDリッピングとは音楽CDに入っている音声データを読み取って音楽ファイルに変換することです。CD取り込みとも言います。
劣化することなく音楽ファイルに変換することができます。
CDリッピングは、中身はそのままで容器を移し替える行為です。CDリッピングソフトの役割はこの容器の移し替え作業ですが、オプションとして同時にMP3やFLAC等にコンバートする作業もやってくれます。
CDとは比較にならない大容量のHDDやSSD、SDカード、USBメモリーなどのストレージに保存することで、1つのストレージに膨大な数の音楽を保存することができます。
CDの山が…
1つの小さなストレージに収まります
CDリッピングして音楽ファイルに変換することで、音楽ファイルを再生できる様々な機器(パソコンやスマホ、その他)でCDに入っていた曲を再生できるようになります。
CDプレーヤーがなくても…
PC、スマホや…
様々なオーディオ機器で再生できる
どのような形式でリッピングするかについては、リッピング時のファイル形式を参照してください。
CDリッピングとCD録音の違い
CDのリッピングと録音は時に混同されがちですが、方法の異なる記録手段です。
CDリッピングはCDから音声データを読み取って別のメディア(ハードディスクやSSDなど)にコピーすることです。ファイルをコピーするのと同じ(正確には異なります)なので、読み取り速度によって結果が異なることは基本的にありません。※低速でリッピングしても高音質にはならない
CD録音とは、CDプレーヤーでCDを再生してアナログまたはデジタルの出力音声をレコーダーで記録することを指します。※パソコンの光学ドライブをCDプレーヤーとして動作させることも可
定速で伝送される生の音声信号を記録するのが録音であるのに対し、リッピングは再生速度の概念に無関係にデータを読み取って記録します。録音の場合は、伝送速度の精度や伝送経路の品質によってオリジナルとは異なる記録結果となる可能性がありますが、リッピングで正確に読み取れた場合はオリジナルと完全一致する記録結果になります(ビットパーフェクト)。※ファイルコピーでは読み取り不能データがあるとコピーできませんが、CDリッピングでは補間機能を使うことにより正しいとは言えないコピーを作ることができます。(通常は補間機能が働きますがビットパーフェクトにはなりません)
補足)たまにレコードリッピングという言葉を目にします。CDをパソコンに取り込むことがCDリッピングなのでレコードも同様にリッピングと呼んでいるのかもしれませんが、レコードは再生しないと記録できないのでリッピングではなく録音(ダビング)やキャプチャーが相応しい呼びかたです。
音楽サブスク時代にCDリッピングは必要なのか?
音楽を聴くスタイルがCDから音楽サブスクに移行している最中、わざわざCDリッピングする必要がはたしてあるのでしょうか?
おそらく、大抵の人は所有CDの大半を音楽サブスクでも聴くことができるのではないかと思います。
これまでの音楽サブスクの多くは非可逆圧縮音源だったので少なくともスペック上ではCDにアドバンテージがありましたが、ロスレス配信の音楽サブスクともなるとCDのアドバンテージも失われ「もはやCDは不要」と考えがちです。
しかし、音楽サブスクは定期購入利用が前提ですから契約解除したとたんに聴けなくなる事は当然として、契約中でもこれまで聴いていた愛聴盤がある日突然消えて聴けなくなるといったこともままあります。一旦消えた楽曲がいつしか復活することもあればしないこともあります。
結局のところ、愛聴盤は配信サービスではなく手元に所有しておかなければ、これからも聴き続けることができる保証はどこにもありません。
少なくとも、今後も聴き続けたい愛聴盤はCDリッピングして手元に保管しておきたいものです。
CDリッピングしなければならない2つの理由
なぜリッピングしなければならないのか?
音楽CDメディアの2つの問題点
意外に脆いCDメディア
音楽CDはデジタル化された音声データが盤面に記録されていて、一見すると永久保存版のメディアであるかのように錯覚してしまいます。
しかし記録面全体が保護される事なく露出していて汚れやキズが付きやすい構造になっています。
軽微な汚れやキズであればエラー訂正により記録された音声データを正しく読み取ることが可能ですが、記録された音声データを読み取れない程の汚れやキズがあるとその個所は類推され作り出された補間データが使われます。※盤面が更に酷い状態の場合は再生が止まります。 つまり、CDはちょっとした汚れの付着で、ピュアオーディオでもビットパーフェクトでもなくなるということです。
汚れやキズ以外にも経年劣化により盤面が剥離して再生できなくなってしまうこともあります。※保存状態次第でしょうが、想定耐用年数よりも実際は短いようです。
「音楽CDは強力なエラー訂正機能を持っているから気にしなくても大丈夫」とも言われますが、PureReadを使ってCDを読み取ってみると目視ではわからない盤面の汚れでさえも補間なしには再生できない状態になる場合があることに気づかされます。
CDプレーヤーは作られなくなった
インターネットの普及により音楽の配信手段がCDメディアからインターネット配信に移行しています。世界はもとよりCD消費大国の日本でも既にインターネット配信がCDを追い越したといわれています。
このような状況でCDプレーヤーは徐々に生産されなくなってきています。新製品が無いこともないのですが、数十万円から数百万円の高級品ばかりが目につきます。※某大手価格比較サイトを見ればよくわかります。
CDプレーヤーが壊れた時に同等の代替品を入手しづらくなっています。
メイド イン ジャパンSoundWarriorのSWL-CA1は普及価格帯の新製品として貴重な存在です。
リッピングすれば解決できる
CDは状態の良いうちにリッピングしておきたい
保全性の弱いCDですから、できるだけ早い時期にリッピングして音楽ファイルにメディア変換しておきましょう。
音楽ファイルに変換したからと言って音質劣化することはありません。それどころか盤面の汚れによる読み取りエラーが起こらないので音質面でも有利です。PCをはじめ様々なプレーヤーで再生できる点も有利です。
ダメになったCDは二度と入手できないかも
CDは配信されなくなりつつあるメディアなので、ダメになったCDはまた買えばよいという考えは捨てた方が無難です。
リッピングせずにダウンロード配信で買い直す手段も考えられますが、持っているCDと同じ楽曲がダウンロードで入手できるとは限りません。ダウンロード配信している楽曲はまだまだ数が足りないからです。
これらのことから所有しているCDは余程メジャーな楽曲を除いては二度と再入手できないかもしれないと思ったほうが良さそうです。
何故かどんなメディアでも再版されないThird Worldの名盤The Story’s benn Told
これに限らず数えきれない数のCDが入手困難な状況です
ストリーミング配信は音楽CDの替わりにはならない
世界最大手のSpotifyをはじめ日本でも音楽ストリーミング配信サービスが幾分は利用されるようになりました。数千万曲の配信曲数を誇り、所有しているCDの多くはストリーミング配信でカバーされているのではないでしょうか。
だからと言って、もうCD(やその他の音楽メディア)を所有する時代は終わったとは言い切れません。
ストリーミング配信サービスはサブスクリプションですから解約したら聴けなくなるのは当然として、配信楽曲の内容は日々更新されているので昨日まで聴いていた曲が突然配信されなくなって聴けなくなることは決してレアケースではありません。オーディナリーサウンドもこのような状況に何度も出くわしています(一度配信されなくなった楽曲が復活したこともあります)。
更には配信サービスそのものが廃止になることさえあります。利用していたSonyのMusic Unlimitedは2015年に終了してしまいました。
「Music Unlimited」サービス終了のお知らせ
https://www.sony.jp/music-unlimited/
このように現状のストリーミング配信サービスは、例え音楽CDと同じ音源が配信されていたとしても代替手段としては頼りきれません。
もはやCDはレガシーなオーディオ
こんな訳で音楽CDはリッピングしておくことを強くおすすめします。リッピングしておけば、CDメディアがダメになってもCDプレーヤーがダメになってもパソコンその他様々な方法で再生できますから。
音楽メディアがCDからインターネット配信への移行が加速している状況で、CD再生は既にレガシーオーディオと呼ぶことができます。レコードプレーヤーが辿ったのと同様に、CDプレーヤーも高級化(高額化)が進み一部の愛好家のものになりつつあります。
音楽CDをリッピングすることによってメディア変換し、PCその他を利用したモダンなオーディオに移行しましょう。折角リッピングするならCDに収められた情報を出来る限り忠実に取り込みたいものです。なぜなら、再生はもっぱらCDプレーヤーを使っているにしても、音楽CDやCDプレーヤーがダメになった時にはリッピングした音楽ファイルで従来と遜色なく再生してもらわなくてはなりませんから。
リッピングに必要なツール
音楽CDは様々な機器を使ってリッピングできますが、信頼性と柔軟性の観点からPC(Win/Mac)を使うことをおすすめします。
最近のPCには音楽CDを扱える光学ドライブ(Blu-rayドライブなど)が付いていない機種が一般的ですから、この場合は光学ドライブを別途用意します。
またソフトウェアとしてリッピングソフト(リッパー)も必要です。iTunes等の音楽再生ソフトでリッピングすることも可能ですが、リッピング専用ソフトを使うことをおすすめします。
CDリッピングしていくとストレージの空き容量がすぐに不足してくるので、ノートPCの場合は外付けのHDDやSSDを追加したほうがよいでしょう。
CDリッパー
(ソフト)
おすすめCDリッピングツール
- CDリッピングソフト
- Windows:CueRipper(CueTools), Exact Audio Copy
- Mac:XLD(X Lossless Decoder)
- リッピング用の光学ドライブ
- PioneerのPureRead機能を搭載したドライブ
- リッピング先(ストレージ)
- 高速:SSD ※どんなストレージを使ってもリッピングの処理速度は変わりません。高速ストレージは短時間でバックアップできます。
- 低コスト:ハードディスク
- コンパクト:microSD / USBメモリー
PCを使わずにCDリッピングするための有力な選択肢にaurender ACS100/ACS10/A30があります。CDリッピング用ドライブを内蔵しており、内蔵ストレージ(HDD or SSD)に保存されます。
リッピングやダウンロード購入で蓄積した音楽ファイルはaurender自身が再生するため、PC・NAS・ネットワークプレーヤーの置き換えとなるハイエンドなオーディオプレーヤーです。
CDリッピングのメリット・デメリット
メリット
リッピングして音楽ファイルに変換する主なメリットは4つです。
- CDプレーヤー以外の様々な機器で音楽CDに入っている曲を再生できる。
- HDDやSSDに沢山の音楽CDの曲を保管できる。(一元管理、省スペース)
- 曲単位で曲名・アルバム名・アーティスト名・アルバムアート(ジャケ写)・その他様々な情報を保存して利用できる。
- 音楽ファイルは、音楽CDのバックアップになる。
※リッピングせずに音楽CDをバックアップする手段は、同じCDを複数枚所有する事ですが、コストもスペースもかさみます
デメリット
デメリットを敢えてあげるとリッピングする手間です。
注)手間を省くために知らない他人にリッピングしてもらうのは違法です。
FAQ
- エラーが表示されCDを取り込めない
-
フォルダー名に使うアーティスト名やアルバム名の最後がスペースになっていると「パスの一部が見つかりませんでした」といったエラーメッセージが表示されます。文字列最後のスペースを削除してみてください。
- CDリッピングは違法ですか?
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音楽CDは「私的使用のための複製(コピー)」が許可されています。具体的な例は一般社団法人 日本レコード協会のWebサイトに記載されています。
例)
- レンタル店から借りたCDを自分で聞くためにコピーすることは、「私的使用のための複製」に該当するのでコピーできます。違法ではありません。
- 「私的使用のための複製」としてコピーできるのは、「使う人」自身がコピーする場合です。