アナログとデジタル(CD/音楽ファイル)のモノラル盤の違い
1950~1960年代のアルバムを中心に音楽CDからもインターネット配信音源からも”モノラル盤”がリリースされています。オリジナルがリリースされた当時からモノラル盤とステレオ盤の両方がリリースされているアルバムもありますが、モノラル盤のほうが高音質であるともいわれます。※レコードの場合はモノラルカートリッジが望ましいようですね
初回リリース当時のメディアはレコードですからモノラル盤は1チャンネルぶんの音楽情報が記録されているのは当然のこととして、CDの規格は16bit44.1kHz2チャンネルなので同じ音楽情報が両チャンネルに記録されているといわれます。インターネット配信の場合は音楽ファイルですからCDのような規格上の縛りはないので1チャンネルの音楽ファイルにすれば良さそうなものですが、オーディナリーサウンドの知っている限りではモノラル盤でもCDと同じ2チャンネルの音楽ファイルになっているようです。※それ程多くを調べたわけではありません
CDのモノラル盤は本当に両チャンネル同じなのか?
モノラル盤CDをリッピングして音楽ファイル化すれば同じかどうか確認することができます。
確認方法1:波形編集ソフトを使う
CDリッピングによる(またはダウンロード配信で入手した)モノラル盤の音楽ファイルは、AudacityやSound Forgeなどの波形編集ソフトに読み込ませることで両チャンネルが同じかどうかを正確に知ることができます。
確認に使った音源はモノラルトラックを含む以下のCD3枚(全22トラック)
At the Opera House / Ella Fitzgeraldのトラック10~18
Buffalo Springfield / Buffalo Springfieldのトラック1~12
Past Masters Vol.2 / The Beatlesのトラック15
波形編集ソフトSound Forgeで音楽ファイルを開くと波形として表示されます。
画像はAt the Opera House / Ella Fitzgeraldのトラック12.「Bewitched, Bothered and Bewildered」をSound Forgeで開いた様子です。
一見すると左右(上と下の波形)チャンネルが同じように見えます。
因みに下は同じ曲のステレオバージョンのトラックです。左右チャンネル(上下の波形)が明らかに異なっています。
一見同じに見えるモノラルバージョンの左右チャンネルの差分を取れば、左右が同じであるかどうかがわかります。左右が完全に同じであれば差分はゼロになります。
ここでは差分を取った結果だけを掲載します。
モノラルバージョンの左右チャンネルの差分は下の画像のとおりで波形は現れていません。つまり差分はゼロで左右同一であるように見えます。しかし…
縦軸を拡大していくと下の画像のように曲の全体に渡って差分が生じています。つまり、モノラルバージョンと言っても左右チャンネルは全く同じではないということです。
事例として1曲を取り上げましたが、上記モノラルの曲全て(22曲)で確認した結果は同様で差分ゼロにはなりませんでした。
補足)
リッピングで補間が発生した場合にも完全一致せずに差分が発生する可能性がありすが、今回の確認用にリッピングした音楽ファイルは全てPureReadのパーフェクトモードを使った補間なしの音楽ファイルです。
1台のスピーカーでモノラル盤を高音質再生
音源がモノラルでも再生装置は小型の簡易的なものでない限り通常はステレオです。ステレオの再生装置は左右チャンネル均等な性能のシステムですからモノラル音源でも左右チャンネル同じ内容を再生するだけのことで特に問題ないように考えがちですが本当にそうでしょうか?
フォーカスの合った音ってどんな音?で書いたようにルームアコースティック対策をしていない部屋でスピーカーで聴く場合は左右のスピーカーから出る音は全く異なる特性として耳元に届いてしまいます。※これを防ぐためにイコライザーやアコースティックパネルを使います。
ルームアコースティック対策をしていないと、ステレオ音源の場合は定位感を大きく損ねてしまいますが、モノラル音源は本来あるはずのない定位が生じてしまいます。右チャンネルの低域が強ければ低音楽器は右側に寄ってしまいます。
モノラルスピーカーシステムであれば部屋の影響による定位の問題は避けられます。※モノラルスピーカーシステムの場合も、ルームチューニングしない限りは部屋の影響による周波数特性の乱れは避けられません。
高音質アクティブスピーカーはモノラル再生にも適したスピーカー
上記のようにモノラル音源をスピーカーで聴く場合はスピーカーもモノラルで聴くことが望ましいのですが、かといってモノラル再生用のシステムを別途組むのも悩ましいところです。
アクティブスピーカーはエンクロージャー(筐体)内にアンプを内蔵しているため、プレーヤーからのモノラル1チャンネルぶんを入力してリスニングポジションのセンターに配置することで容易にステレオ2チャンネルのシステムと共存させることができます。
50~60年代の録音は周波数レンジがそれ程広くないものも多いので、聴くソースによっては小型のスピーカーで十分かもしれません。ステレオと異なり1台で済むのでハイグレードな機種にも手を伸ばしやすくなるのもモノラルシステムのメリットです。
ペア販売が基本ですが、1台単位でお届けします。
センターに1台のスピーカーとなると、横置きタイプのアクティブスピーカーも良い選択肢です。低域を犠牲にすることなくサイズ的には小型スピーカーの高さで収まります。
横置きバーチカルツインのスピーカーは定位の向上としてもメリットがあります。iLoud MTMは横置き利用も前提にしたスピーカーです。
オーディオ&ビジュアルシステムの場合も、横置きタイプが設置のし易さで適しています。