USBインターフェースは、オーディオに使用する場合は本質的に「ノイジー」です。iFiの新製品iSilencer+(アイサイレンサー・プラス)とiDefender+(アイディフェンダー・プラス)は、オーディオ信号に歪みを与える電気ノイズを除去し、接続された装置のサウンドのポテンシャルを引き出します。
近年、ますます多くの音楽愛好家が主要なオーディオ・ソースとしてコンピューターを使うようになっています。多くの場合、コンピューターはUSBを介してオーディオ・ギアに接続されます。USBは、デジタル・データをひとつのハードウェアから他のハードウェアに受け渡すことを可能にする、ユニバーサル・インターフェースです。
これには賛否両論があります。USBインターフェースは、ハイレゾ・オーディオ・データを最大限の解像度で伝送し、しかもエイシンクロナス伝送によって、オリジナル・ソースのデータをビットパーフェクトで伝送することを可能にします。が、これは、机上の理論です。実際にはUSBは、電力とデータの両方を伝送するために設計された、複雑な、多用途を想定した(つまり、オーディオ専用に作られたのではない)コンピューター・インターフェースなのです。電気ノイズ、とりわけコンピューターの電源からの電気ノイズの影響を受けやすく、これが音質に不利な影響を与えることがあるのです。
iFiは、USBオーディオの品質を向上させるデバイスをいくつか作っています。その中でもいちばん人気の高い2つが、iSilencerとiDefenderです。これらは親指サイズの「スティック」で、コンピューターのUSBソケットに差し込んで、コンピューターとDAC(単体製品であろうとアンプ内蔵のものであろうと)間のリンクとして動作します。これらのデバイスはUSBオーディオを苦しめる様々な問題に対処するように設計されていますが、現在のバージョンであるiSilencer3.0とiDefender3.0に代わって、新しい改良モデルが発売になりました。「iSilencer+」と「iDefender+」です。
iSilencer+
「USB Audio Class」のデバイスは、USBハードウェアとソフトウェアに対して、たとえばプリンターやハードドライブといった周辺機器に使用されている「バルク/バースト・モード」よりも大きな要求をします。エラーチェッキングは使用していますが、「サイクリック・リダンダンシー・チェック(CRC)」(巡回冗長検査)エラーのイベント中の再伝送は行いません。USB信号の電気ノイズはCRCエラーの原因となり、その結果データ・ロスが生じ、信号の純度も低下します。これらのことが、オーディオ信号の歪み、様々なノイズ(クリック音やポップ音)、レイテンシーといった症状を生み出すのです。つまりこれらはすべて、コンピューター・ベースのオーディオ・システムのパフォーマンスに影響を与える可能性があるということです。iSilencer+は、ソースの電気ノイズ(EMI/RFI〔電磁干渉/無線周波数干渉〕を含む)を除去することによってこの問題を解決し、DACへのオーディオ・データのビットパーフェクト伝送を可能にするのです。
ユニークなのは、パッシブ・フィルターとiFiのANCII(Active Noise Cancellation II)回路を組み合わせて、これを実現している点です。軍用レーダー・テクノロジーから開発されたANCIIは、アクティブ・ノイズ・キャンセリング・ヘッドフォンと同様の方法で機能します。入ってくる電気ノイズとまったく同じ信号を、正反対の位相で発生させて、アクティブにノイズを打ち消すのです。
これは、低域と中域のノイズを除去するのにきわめて有効です。一方、パッシブ・インシュレータリング・フィルターの方は、もっと高い周波数帯域で動作します。この組み合わせは、パッシブ・フィルタリングだけに依存するデバイスよりも、USB信号を損なうノイズを根絶するにあたって、かなり高い効果を生み出します。
ノイズを除去するとともに、iSilencer+はジッターの発生も低減します。ジッターは、データの「パケット・エラー」の原因となって、その結果、冷たくきついサウンドを生じさせるデジタル歪です。
iSilencer+はまた、iFiのREBalanceテクノロジーを使用して信号を「再バランス化」し、どのようなオーディオ・フォーマットでも、DACが受け取るデジタル信号がオリジナル・ソースのものとまったく同一になることを確保します。
新しいiSilencer+は、これまでのiSilencer3.0と比較して、いくつかの点を贅沢に強化しています。入出力フィルタリング用にlow-ESR(Equivalent Series Resistance 等価直列抵抗)のタンタル・キャパシターを使用することでフィルタリング容量が10倍になり、これによってノイズ撃退機能を高めています。USBの様々なタイプに対応しています。iSilencer3.0はUSB-Aコネクター仕様のみでしたが、iSilencer+は、新しいUSB-Cコネクターも含めて、3つのバージョンを用意しています。
- USB-A – USB-A(AA)※USB-A端子オス – USB-A端子メス
- USB-C – USB-A(CA)※USB-C端子オス – USB-A端子メス
- USB-C – USB-C(CC)※USB-C端子オス – USB-C端子メス
どのバージョンも、「スーパースピード」のUSB3.0規格に準拠しています。もちろん、下位のUSB2.0互換です。高品質な金メッキ・コネクターを装備し、最適な信号伝送を実現します。
iSilence+は、コンピューターとDACの間のアクティブなUSB出力に差し込みますが、iSilencer+の「スティック」を複数個、空いたUSBポートに差し込んで、さらにEMIの放射を低減させることができます。スティックの数が増えれば(つまりANC回路の数が増えるということです)、ノイズの低減能力も倍増していくのです。外付けハードドライブとミュージック・サーバーとの間にiSilencer+を使うこともできます。
正確には、iSilencer+が音質に与える効果は、システムによって異なりますが、典型的な効果としては、明瞭度の向上、ダイナミックレンジの拡大、エッジの鮮明度の向上を期待することができ、これによって音楽がより生き生きとオープンに響くのです。
iSilencer+仕様
- スーパースピードUSB3.0(USB2.0下位互換)
- USB3.0金メッキコネクター
- AA、CA、CCの三種類のバリエーション (AA)※USB-A端子オス – USB-A端子メス、(CA)※USB-C端子オス – USB-A端子メス、(CC)※USB-C端子オス – USB-C端子メス
- サイズ:50mm(長さ)×20mm(幅)×9mm(高さ)
- 重量:7g(0.25オンス)
- 発売日:2020年4月20日
- 保証:12ヶ月
- 価格:AA、CA、CC 各11,000円(税込)
- バーコード:5060738780327(AA)、5060738780310(CA)、5060738780020(CC)
※上記仕様は予告なしに変更になることがあります。
iDefender+
iDefender+は、さらに専門的なUSBオーディオ・デバイスで、コンピューター・ベースのシステムに関係する問題(スピーカーから苛々するようなバズ音やハム音が生じるのが典型です)の原因となるグラウンド(あるいはアース)・ループに対処するために設計されています。
iDefender+は、ソース・デバイスのUSBソケットに差し込むと、グラウンド・ループ(アースが複数あるのが原因で、これによってノイズが増加する)があるかどうかを検知します。そして、コンピューターのアース接続を「賢く」遮断して、システムのノイズ・フロアを劣化させる原因となるグラウンド・ループ・ハムを根絶し、解像度とダイナミックレンジを改善します。
家庭用のコンセントや内蔵バッテリーではなく、コンピューターのUSB電源に依存するDAC(バスパワー駆動の製品など)と一緒に使用すると、iDefender+はさらに効果を増します。外付け電源をスティック側面のUSB-Cソケットに接続すると、コンピューターからの電力供給をブロックして、外付け電源からDACに電力を供給します。iFiのiPowerのような、高品質な低ノイズの電源アダプターを使用すれば、USB DACのパフォーマンスが著しく改善するでしょう。
iSilencer3.0の場合と同様に、現行のiDefender3.0に入出力フィルタリング用のlow-ESRタンタル・キャパシターを加えて、iDefender+にアップグレードしました。これもまた、接続する装置に合わせて、以下の3つのバージョンを用意しています。iSilencerと同様USB3.0とUSB2.0の規格に準拠しており、コネクターは金メッキ仕様になっています。
- USB-A – USB-A(AA)※USB-A端子オス – USB-A端子メス
- USB-C – USB-A(CA)※USB-C端子オス – USB-A端子メス
- USB-C – USB-C(CC)※USB-C端子オス – USB-C端子メス
iDefender+仕様
- スーパースピードUSB3.0(USB2.0下位互換)
- USB3.0金メッキコネクター
- サイズ:50mm(長さ)×20mm(幅)×9mm(高さ)
- 重量:6.6g(0.23オンス)
- 2020年4月20日
- 保証:12ヶ月
- 価格:AA、CA、CC 各11,000円(税込)
- バーコード:5060738780303(AA)、5060738780297(CA)、5060738780037(CC)
※仕様は予告なしに変更になることがあります。
USBバスパワーで動作するDACは小型で、電源もPCなどからUSBケーブル経由で供給できるのでシンプルに接続できて屋外持ち出し用に大変便利なアイテムです。
便利なUSBバスパワータイプのDACですが、音質面では専用電源タイプと比べると不利である点は否めません。
iFi audioのiDefender3.0とiPower(5V用)を追加することで、バスパワータイプのDACの電源供給をUSBに頼らずコンセントから確保できるようになります。
iPower(5V用) は変換ケーブルが付属しているのでiDefender3.0に接続するとUSB DACにクリーンな電源を供給できるようになります。
iDefenderのUSB端子はオスをPCに、メスをUSB DACに繋ぐケーブルに接続します。
モバイルではバスパワーを、家庭ではiDefender3.0とiPowerから電源供給といった使い分けもよいですね。