正規輸入品
M2TECHのロックスターシリーズにはCROSBY(パワーアンプ)、YOUNG(DAC ※販売終了)、JOPLIN(ADC)、MARLEY(ヘッドホンアンプ)といったそうそうたるメンバーが揃っています。
NASH
イタリアのオーディオブランドM2TECHから新世代アナログフォノイコライザーの登場です。
カートリッジから最高のパフォーマンスを引き出す拘り
NASHは最も使用頻度の高いRIAAカーブのアナログフォノイコライザーです。MC用とMM用の2系統入力で何れもカートリッジの能力を最大限引き出せるようにデザインされています。
MCカートリッジは機種ごとに負荷抵抗も出力電圧も大幅に異なるため、リアパネルの2つのつまみ(上の写真左側の赤枠)で調整して最適化することができます。
※負荷抵抗:10〜1000Ω、ゲイン:3dB ~ 30dB
MM入力はカートリッジの特性に合わせて負荷抵抗と静電容量を最適化できるよう、リアパネルのディップスイッチ(上の写真右側の赤枠)が設けられています。
※負荷抵抗:15kΩまたは47KΩ、容量負荷(静電容量):0pF〜790pFまで計8段階
デジアナ使い分けに嬉しい高出力フォノイコライザー
NASHは非常に低ノイズなディスクリート・コンポーネント回路によりデジタル・ソースの出力値と同じ出力を備えています。ソースをデジタルからアナログ(またはその逆)に切り換えるたびにボリューム調整せずに済むので快適な音楽再生を楽しむことができます。
新世代のフォノイコライザー:スマホアプリによるコントロール、オートスタンバイ
NASHはスマホ(タブレット)アプリ(iOS/Android)によるリモートコントロールやオートスタンバイ機能など従来のフォノイコライザーとは一線を画する新世代のフォノイコライザーです。スマホとはBluetooth通信のためWi-Fi環境がなくてもリモート操作できます。
本体フロントパネルのスタンバイ設定画面
iPhone版、iPad版アプリ(App Store)
Androidアプリ(Google Playストア)
詳細情報
NASHはM2TECHの主力シリーズRockstarのフォノイコライザー(フォノアンプ)です。
好評を博したJoplin MKIIはフォノイコライザー機能にレーベルごとのEQカーブ切り替え機構を備えたことで、巷で珍重される初期海外盤の再生に大きな波紋を投げかけましたが、それはADデジタル32Bit領域で正確なカーブを生成しうるからこそなのです。M2TECHは世の中のレコードの大半を占めるRIAAカーブ(国内プレス、及び80年代以降の海外盤)をとことん極めるための、アナログ回路構成のフォノイコライザーはJoplinのようなデジタル機器とは別に存在させるべきとの考えからNashが生まれました。
特徴
●MMとMC、2つのフォノ入力とライン入力を持っています。同時に接続し、切り替えて使うことができます。
●MC入力でトータル95dBまで、MM入力でトータル65dBまでのゲイン設定は一般的なフォノイコライザーよりはるかに高く、一部の超ハイエンド機器でもかなわない数値です(一般的な設計ではMMで40dB、MCで60-65dB程度)。低ノイズ設計により、出力が低いとされているカートリッジであっても、現代のデジタル・ソースと同じ出力レベルを引き出すことができます。
●オールディスクリート構成、パッシブ型RIAAイコライザーを採用することにより、現代アナログ・オーディオ再生に求められる正確さと艶のある高音質さを兼ね備えています。
●機器をセットアップし、コントロールするためのリモコンが付属しています。
専用アプリ(iOS、Android)でBluetoothを介してセットアップやコントロールを行うこともできます。
●MC入力は負荷抵抗(10〜1000Ω)、およびゲイン(3dB ~ 30dB)の切り替えが可能。
●MM入力は負荷抵抗(15kΩまたは47KΩ)、および容量負荷(静電容量)(0pF〜790pFまで計8段階)の切り替えが可能(※以下別途詳細)
NASHはMCヘッドアンプを内蔵しているので、きわめて低出力のカートリッジでも十分に増幅することができます。さまざまなバリエーションがあるMCカートリッジから最高のパフォーマンスを引き出すために、負荷抵抗を適正に設定することがきわめて重要で、そのパラメーターも標準化されていないので、調節できることが重要です。NASHではバック・パネルのポットによって、入力抵抗を無段階で10Ω~ 1000Ωの間のどの数値にも設定することができます。
MCカートリッジは機種ごとに出力電圧も異なります。MCカートリッジには標準値というものがないため、MCプリアンプのゲインも調節可能な必要があります。NASHは、バック・パネルのポットでゲインを3dB ~ 30dB(つまり、1.5倍~ 31倍)の間で設定することができます。ゲインは、MCヘッドアンプからの出力電圧が約5mVになるように設定します。例:ご使用のMCカートリッジの出力電圧が0.48mVだとしたら、MCヘッドアンプのゲインはその10倍程度、つまり20dBに設定します。
また、NASHはMM入力の負荷抵抗を設定することができます。
MMカートリッジ、そしてまた1mV ~5mVの出力電圧を持つ高出力のMCカートリッジや他方式のカートリッジから最高のパフォーマンスを引き出すには、負荷抵抗と容量負荷を適正に設定することがきわめて重要です。MMカートリッジの大半は、47KΩの負荷抵抗を必要とします。これがMMカートリッジの大半の標準的な負荷抵抗値です。
MMカートリッジはまた、静電容量(負荷容量)にもきわめて敏感です。MMカートリッジの多くは、フォノ・プリアンプの入力がわずかに容量を持っている方が、動作は良好になります。NASHのMM入力の静電容量はごくわずかなので、バック・パネルのDIPスイッチで容量を追加することができます。静電容量の基本値は、100pF、220pF、470pFですが、ふたつ以上のスイッチを設定することで、320pF、570pF、 690pF、790pFに設定することも可能です。
仕様
MMゲイン | 55dB、60dB、65dB |
MCプリアンプゲイン | 3dB – 95dB |
MCトータルゲイン | 58dB – 95dB |
MM入力抵抗 | 15kΩまたは47KΩ |
MM入力静電容量 | 0、100、220、320、570、690、790(pF) |
MC入力抵抗 | 10Ω – 1000Ω |
出力レベル | 2.5Vrms(MM、5mVrms入力、55dBゲイン) |
SN比 | 90dBA(MM、5mVrms入力、55dBゲイン) 80dBA(MC、0.48Vrms入力、55dBゲイン) |
THD+N | 0.005% |
周波数レスポンス | RIAA+ / -0.5dB(20Hz – 20kHz) |
電源電圧 | 15VDC |
消費電力 | 5W |
入力 | 5.5/2.1mmバレルジャック(センタープラス) |
外部電源電圧 | +15V/-15V/+5V |
サイズ | 200x50x200mm (w x h x d) |
重量 | 2.0kg |
バーコード | 4589631463553 |
価格 | 200,000円(税別)/216,000円(税込) |
JOPLIN MkIII
Joplin MkIII概要
- 384KHz/32Bit ADC(アナロクからデジタルへのコンバーター)
- フォノ入力つき
デジタル時代のフォノイコライザーのカーブの扱いに革新をもたらしたイタリアM2TECHのADコンバーターJoplinがパワーアップしてモデルチェンジを果たします。
アナログレコード市場で人気を呼び高値で取引されるオリジナル盤、初期盤の真の実力を正確に引き出す画期的な製品として前作はセンセーションを巻き起こしました。これまでにもカーブ切り替え機構のある製品はいくつかありましたが、アナログ切り替えによるカーブ変更方式では100%正確な値を引き出せないと言われています。
M2TECHの主任エンジニアMarco Manuntaはその点に着目し、FPGA回路で32Bit精度によるカーブ補正を行うADコンバーターにフォノイコライザー機能を入れて製品化しました。高すぎない手頃な価格と、曖昧さを残さない徹底したフォノカーブ対応により、あらためてオリジナル盤、初期盤の真の再生のあり方を示した製品といっても過言ではありません。
JoplinをあえてAD機能のみとしたのは言うまでもなくDAコンバーターの選択肢を広げるためです。ただ、前モデルではS/PDIFやAESの仕様の制約により、USB出力PC経由のみでしか24Bit/192KHz以上のAD変換ができなかったわけですが、今回の新しいMkIIIではHDMIのアサインを用いたI2Sの採用によりPCM384KHz、768KHz、DSD256といった「超ハイレゾ」までスタンドアローンで対応することもできます。MkIIIとペアを組ませるための、I2S入力を採用したDAコンバーターはまだ市場には決して多くはありませんが、M2TECHではEvo DAC Two Plus、そしてXIAudioのSagraDACがI2S方式に対応しています。
また、電源アダプターは通常のDC電源アダプターに加え、バンドルとしてiFi iPower Plusを加えたセットも同時に発売します。
Joplin MKIIIはハイパフォーマンスのADCで、384kHzまでのサンプリング・レート、32ビットの解像度(USB出力)まで対応しています。より高いサンプリング・レートを実現することができるように開発されたhiFace Twoのテクノロジーに基づくハイスピードのアシンクロナスUSB入力を備えています。
精巧に作られたRCAフォノ入力兼アナログ入力と、幅広い対応が可能な出力端子(RCA端子によるS/PDIF出力、XLR端子によるAES/EBU出力、Toslink端子による光出力)によって、お好みにあったDACを組み合わせスタンドアローンな状態で一般的なフォノイコライザーのように使うことができます(24Bit/192KHzまで-S/PDIF、AES/EBU、Toslimkの上限)。また、RCA端子による補助S/PDIFデジタル入力によって、デジタル音源用にJoplinで使用されるデジタル接続を再使用することが可能なのに加えて、デジタル音源の出力をS/PDIF入力を備えていないコンピュータにUSBで送ることも可能です(32Bit/384KHz)。
多彩なイコライジング
Joplin MkIIIの大きな特徴としてイコライザーカーブの調整機能があります。
そもそも、なぜレコードにはイコライゼーションが必要なのでしょうか?
レコード制作のカッティング過程では、2つの問題に直面することになります。音の強弱の幅(これに応じて、溝の幅と深さが決まり、さらにはレコードの直径と厚さが決まります)と、サーフェスノイズです。周波数の低い音は、大きく深い溝にカットしなければならないので、レコード盤にカットされる音楽がどの程度周波数の低い音を含んでいるかによって、ダイナミックレンジの限界が決まることになります。一方、高い周波数の音は、一般に振幅が狭いので、サーフェスノイズに覆われてしまうことになります。
これらの問題を解決するために、信号にイコライゼーションを施してから、カッティング用の旋盤に送るということが行われます。低い周波数を弱めてダイナミックレンジを小さくし、高い周波数を増幅してサーフェスノイズよりも大きくするのです。
もちろん、カートリッジがレコード盤の情報を読み取って出てきた信号には、逆のイコライゼーションがかけられます。低い周波数が増幅され、高い周波数が弱められるのです(サーフェスノイズも一緒に弱められるので、聞こえにくくなります)。
現在は、すべてのレコードはRIAAカーブに準拠してカットされています。1954年に標準として提案された方式です。下図を見ると、低い周波数が増幅され、高い周波数が弱められているのが、はっきりとわかります。
このカーブは、3つのパラメーターを持っています。
1. ターンオーバー周波数: これより下の帯域では、低い周波数が録音時に弱められ、再生時に増幅される(RIAAでは500Hz)。
2. ロールオフ: 高い周波数は録音時に10kHzで増幅され、再生時に弱められるが、その際の数値(RIAAでは16dB)。
3. シェルビング周波数: 録音時に低い周波数が弱められ、再生時に高い周波数が増幅される際、一定の周波数より下の帯域ではその数値が固定されるが、その一定の周波数を示す数値(RIAAでは50Hz)。
RIAAの標準カーブが導入される前は、各レコード会社が独自の「秘密の」カーブを使っていました(Decca/London、HMV、Capitol、ColumbiaなどのFFRR)が、音楽愛好家の側から見れば、これは大問題でした。異なるイコライゼーション・カーブのすべてに対応できるイコライゼーション回路を備えたアンプなどないからです。そのため、すべてのアンプはトーンコントロールを装備することになりました。スピーカーのレスポンスを補正するためでもなければ、部屋の音響を補正するためでもなく、アンプに搭載されているただ1つのイコライゼーション・カーブを、様々なLPレコードのそれぞれ異なるカーブに適応させるための補正をするための機能だったのです。イコラーゼーションされたのは、LPレコードだけではありません。SPレコード用にも、様々なイコライゼーション・カーブが存在したのです。
良質なフォノイコライザーや、JOPLIN MkIIIのように直接フォノピックアップを接続できるADCでは、1954年以前にプレスされたLPレコードのそれぞれのカーブに応じた、正しいカーブを選ぶことができます(RIAAが導入されたのは公式には1954年ということになっていますが、多くのレコード会社が実際にRIAAカーブを採用したのは、もっとずっと後のことだということが知られています。東ヨーロッパのレーベルの中には、1975年頃になってやっとRIAAを採用したものもあるようです!)。
たいていのレコードコレクターは、どのレコードを聞く時もRIAAカーブを使いますが、その結果、マスターテープに録音されたものではないサウンドが出てくることがよくあります。図23を見れば、それがわかります。もっとも有名なカーブのいくつかが重ねて表示されています。
その違いは、「微妙」という程度ではないのです!
ターンオーバー周波数が異なると、低い周波数の増幅度が違ってきますし、ロールオフが異なると、高い周波数の弱まりかたが違ってくるのです。
さらに、HMVとCapitolのカーブにはシェルビング周波数が適用されていない点にも注目してください。実のところ、シェルビングは、フォノイコライザーがターンテーブルのランブル音(ゴロゴロいう音)を拾って飽和状態になるのを避けるために、比較的近年になって使われるようになったものなのです。もっと古いカーブは、低い周波数が比較的高い帯域(50~80Hz)に限られている再生システムや、低い周波数が貧弱な録音(ターンテーブルのランブル音が問題にならない装置)を前提に考案されていたのです。
レコードを再生する際に間違ったイコライゼーション・カーブを使用したらどうなるかを示したのが、下の図です。DECCAのFFRRレコードを、現代のアンプのRIAA準拠のフォノ入力に接続して音楽を再生した際の相対的周波数レベルが示されています。
異なったターンオーバー周波数(RIAAは50Hzなのに対して、FFRRは100Hz)によって、低い周波数が過度に高くなっており、その一方で高い周波数は、異なったロールオフ(RIAAは13.7dBなのに対して、FFRRは10.5dB)によって、必要以上に弱くなっているのがわかるでしょう。
この装置のサウンドは、レコーディング・エンジニアが意図したものよりずっと重く、ずっと暗くなっているでしょう。低域が強まり、高域が弱まっているからです。優れた録音がひどい録音に変わってしまうのです!
これでフォノ・イコライゼーション・カーブを多数取りそろえる必要性が明らかになりました。
JOPLIN MkIIIで利用可能なフォノ・イコライゼーション・カーブの一覧と、それらの使用法について
JOPLIN MkIIIは、LPレコード用に16のカーブ、SPレコード用に7つのカーブを備えています。インターネットで検索すれば、古いレコードレーベルは上記以外にも数多く存在し、また、同じレコードレーベルでも、年によって異なったカーブを用いていたことがわかります。他のレーベルと同じカーブを使っているレーベルもあります(たとえば、MercuryはCapitolと同じカーブを使っています)。JOPLIN MkIIIが備えているカーブ・セットは、1925年から1954年にレコードを製造していたほとんどすべてのレーベルをカバーしています。
1)RIAA(二種)
現代の標準カーブで、1954年からほとんどすべてのレコードレーベルで使われています。このカーブが使われているかどうかは、レコードのラベル上かジャケット上に表示されていることもありますし、表示されていないこともあります。実質的には、RCAの「New Orthophonic」と同じカーブなので、「New Orthophonic」を使用しているRCAのレコードにも使うことができます。
長い年月の間に、RIAAはカーブにいくらかの修正を施しました。いちばん重要な関連性があるのは、IECの指示によって、16Hzのハイパスを追加し、これによって反ったレコードや雑音の多いターンテーブルのランブル音に対処しようとした点です。すべてのカッティング工場がこの修正を採用したわけではなく、しかも表示は常に「RIAA」だけなので、実際にこの修正が適用されたレコードなのかどうかを判断するのはきわめて困難です。
JOPLIN MkIIIはこれ専用のRIAA/IECカーブは備えていませんが、RIAAを選択してハイパスを16Hzに設定することで、それを実現することができます。
2)AES
AES(Audio Engineering Society)がフォノ・イコライゼーション・カーブを提案したのは1951年でした。知られている限り、このカーブを採用していると明言しているレーベルはありませんが、耳の肥えたレコードコレクターはそれが感知できるかもしれません。JOPLIN MkIIIは、カーブを完備することを目指して、このカーブも備えています。
3)Angel(ANG)
Angelは、偉大な録音を生み出したEMIに合併されたレコードレーベルです。
4)Audiophile(AUDP)
Audiophileは、SPレコードとLPレコードの両方で偉大な録音を生み出したことで、レコードコレクターに知られています。
以前Acoustic SoundsがAudiophileの録音を重量LPレコードで再発売する企画を立てました。このレーベルは、主としてジャズとブルースを録音しています。
5)Capitol(CAP)
Capitolは、非常に優れたモノラル録音を数多く生み出しています。
6)Columbia(COL)
ColumbiaはLPレコードを発明した会社で、45回転盤を標準とする方向を支援していたRCAとのマーケット戦争に勝ち、成功を収めました。
7)HMV
HMV(His Master’s Voice; 蓄音機に聴き入るニッパーという名前の犬の絵に因んで名付けられました)は最古のレコードレーベルの1つで、以前はThe Gramophone Companyと称していました。後に、EMIがCapitolを買収した時に、HMVもその傘下に入り、RCAが株を所有していた時期もあります。1948年~1954年にかけて、ジャズ、ポップス、クラシックの録音を数多く行い、独自のイコライゼーション・カーブでLPをプレスしました。
8)Decca/London FFRR
イギリスのDeccaは、SPレコード用のイコライゼーション・カーブに基づいてLPレコード用のFFRRカーブ(SP用もLP用も同じ名称です)を開発しました。ステレオ時代(1954年以降)の偉大な録音の大半は、モノラルでも制作され、FFRRカーブを使ってモノラルLPのカッティングが行われていました。
9)MGM
有名なエンターテインメント会社であるMGMは、モノラル時代に、独自のカーブを用いてLPレコードを制作していました。
10)NAB
NAB(National Association of Broadcast)は、多様な活動を宣伝するために、商用ラジオ放送会社によって設立されました。その活動の中には、放送技術に関するものがありました。NABは、当時、特に放送用の録音(有名なアーティストたちのライブ録音や珍しい録音)で使うフォノカーブを提案しました。これらのレコードを所有しているレコードコレクターは、再生時にこのNABのカーブを用いるのがよいでしょう。
11)Oiseau-Lyre(OYLR)
Deccaに買収される前には、Oiseau-Lyreはクラシック音楽の偉大な録音を数多く制作していました。
12)Pacific Jazz(PACJ)
第二次世界大戦後は、ジャズはアメリカで大きなビジネスになりました。専門レーベルの中には、独自のイコライゼーション・カーブを開発して、LPをプレスすることを選んだものがあります。Pacific Jazzもその1つです。
13)Philips(PHIL)
Philipsは、言うまでもなく音楽関係のもっとも偉大なブランドの1つで、独自のイコライゼーション・カーブを開発しています。
14)RCA(RCA1、RCA2、RCA O)(三種)
RCAは数多くのイコライゼーション・カーブを開発しています。45回転盤用、そしてColumbiaとのフォーマット戦争に負けた後には、LP用のカーブを開発しているので、どのカーブがどのレコードに使われているかを特定するのは困難です。JOPLIN MKIIIは、レコードのカッティング年代に基づいて、3つの選択肢を用意しています。RCA1が最古で、RCA O(Orthophonic)が最新です。このRCA Oをもとに「New Orthophonic」が開発され、これがRIAAへとつながっていくのです。
15)Bartok
Bartok Recordsは、偉大な作曲家ベラ・バルトークの作品のプロモーション用に創設された昔のレコード・レーベルです。1949年から数多くのアルバムが販売されました。MkIIIから新規に追加されたカーブです。
16)Brunswick(BRUN)(SP用)
Brunswickは非常に古いレコード会社で、主としてSP盤を制作していました。JOPLIN MKIIIが提供するカーブは、SPレコード用に使われていたものです。
17)Columbia 1925、Columbia 1938、Columbia
England(CO25、CO38、 COLE)(SP用三種)
Columbiaは、LPレコードを導入する前には、非常に積極的にSPレコードのカッティングを行っていました。年代によって異なるカーブを用いていました。1925年~1938年のカーブと、1938年以降のカーブです。それだけでなく、イギリス支社のColumbia Englandは、イギリスで独自のSPレコード用カーブを開発しています。
18)Decca FFRR 78rpm(DEC)(SP用)
これはDeccaがSPレコード用に用いたイコライゼーション・カーブで、これをもとに、後にLP用のFFRRが開発されました。
19)MGM 78rpm(MGM7)(SP用)
LPレコードのカッティングを行う前に、MGMはSPレコードを制作していましたが、それらはMGM独自のSPレコード用カーブでカッティングされていました。
20)Victor 1938-47、Victor 1947-52(VIC3、VIC4)(SP用)
Victorは古い会社で、後に、1925年からSPレコードを制作していたRCAに買収されました。1925年~1938年に採用されていたカーブは、Columbiaの1925年のタイプ(9.2.16.をご参照ください)と同じで、それより後のカーブはそれぞれ選択できるようになっています。
オープンリールテープのイコライゼーション
テープレコーダーに使用されている録音/再生ヘッドは、まったくリニアではない、テープの磁束に強く依存した周波数レスポンスを持っています。さらに、周波数とともにテープヒスが増加します。そのため、テープもまたイコライゼーションがかけられているのです。標準的なイコライゼーションが2つ存在します。主としてアメリカと日本で使用されているNABと、主としてヨーロッパで使用されているCCIR(後にIECになりました)です。さらに事情を複雑にしているのが、どちらの方式も、テープスピードによってそれぞれ異なるカーブを持っているという事実です。磁束は、スピードによって変化するからです。
レコードとテープの主な違いは、フォノイコライザーやイコライザーを内蔵しているターンテーブルは少数派なのに、ほとんどすべてのオープンリール・テープレコーダーがこれを装備しているという点です。ということは、テープのイコライゼーションは無用だということになります。
ところが、必ずしもそうとは言えないのです。オープンリール・テープレコーダーを愛好する人は、1960年代~1980年代初頭にかけて製造されたマシンの大半は、一般にトランスポートとヘッドはすばらしいものの、電子系統が、貧弱とは言わないまでも、十分な性能をほとんど持っていないということを知っています。そのため、レコーダーの再生回路を飛ばして、再生ヘッドから直に信号を取り出し、それを外部のアンプやイコライザーに送るという改造を行っている人がいるのです。
JOPLIN MKIIIでも、これと同じことができます。テープレコーダーの再生ヘッドを(インピーダンス・アダプター経由で)アナログ入力端子に接続するのです。必要に応じてゲインを調節し、再生するテープに合わせて適切なイコライゼーション・カーブを選択します。信号を受け取り、デジタル領域でイコライゼーションをかけ、録音用のコンピューターやDAC、あるいはリアルタイムで聴くためのデジタルアンプに送ります。JOPLIN MKIIIの帯域は96kHz、192kHz、384kHzという豊富な幅に設定され、高い解像度を持っているので、テープレコーダーのパフォーマンスに対応するには十分以上です。
JOPLIN MKIIIは、テープ用に4つのカーブを備えています。NAB用に2つ、CCIR/IEC用に2つです。
21)9.5cm(3¾ips)用及び19cm/s(7½ips)用CCIR/IEC、38cm/s(15ips)用CCIR/IEC(IEC1、IEC3)
CCIR(Comité Consultatif International pour la Radio)は、NABと同様のヨーロッパの委員会です。彼らは、オープンリール・テープレコーダー用のイコライゼーションを提案し、ヨーロッパの大半のメーカーがこれを採用しています。CCIRのイコライゼーションはNABのものよりも良くできていると、数多くの人が言っていますが、どのカーブを選ぶかは、録音時に選択することになります。テープレコーダーによっては、両方のイコライゼーション・カーブを備えているものがあるからです。再生の際には、録音時のカーブを選ぶことになります。ついでながら、eBayや他のオークションサイトで売られている商用の録音済みテープは、NABを使って制作されています。
22)9.5cm/s(3¾ips)用NAB、19cm/s(7½ips)用NAB(NAB9、NAB1)
NABはテープ用に2つのイコライゼーション・カーブを提案しました。1つが3¾ips用(カーブB)で、もう1つが7½ips用(カーブA)です。これに加えて、15ipsの修正版も提案していますが、これはなるべく使わないように提案しています(7½ipsは、放送で使われるテープレコーダーで好まれたスピードです)。JOPLIN MKIIIは、カーブAとカーブBの両方を備えています。
フラット・イコライゼーション
23)FLAT
イコライジングする必要のないアナログ入力を接続する際には設定をフラットにします。使い方はアイディア次第です。例えばフォノ入力をフラットで入力し、ファイルとしてPCに取り込み、お気に入りのアナログフォノイコライザーを使って再生するといった使い方も考えられます。
イコライゼーションの習得
イコライゼーション・カーブが使用されていない場合には、クリッピング(つまり、入力信号が-1dBFSになる)直前に各VUメーターのバーの右端のLEDが点灯します。入力信号がさらに増大すると、ADCは飽和状態になり、「CLIP」の警告がディスプレイに表示されます。「CLIP」の警告が表示されることがないように、設定操作をする必要があります。
仕様
サンプリング周波数 | 44.1、48、88.2、96、176.4、192、352.8*、384*、705.6**、768kHz**、DSD64**、DSD128**、DSD256** * USB、I2Sのみ ** I2Sのみ. |
ビット深度 | 16 – 32 ビット*** ***32ビットはI2S、USBのみ |
USB規格 | USB2.0規格 (USB Audio Class 2.0準拠) |
クロック精度 | 2ppm(25℃時、代表値)、+/-10ppm(0 – 60℃時) |
アナログ入力感度 | 2.55Vrms (0dBFS, ゲイン 0dB時) 1.14mVrms (0dBFS, ゲイン 65dB時) |
アナログ入力インピーダンス | 10Ω – 50kΩ 調整ノブにより無段階可変 |
アナログ入力ゲイン | 0、 10-65dB (1dBステップ) |
イコライゼーションゲイン | 22dB (RIAA) |
S/PDIF入力感度 | 0.5Vpp +/-0.1V |
S/PDIF入力インピーダンス | 75 Ohms |
S/PDIF出力レベル | 0.5Vpp +/-0.1V |
S/PDIF出力インピーダンス | 75 Ohms |
AES/EBU出力レベル | 2Vpp +/- 0.5V |
AES/EBU出力インピーダンス | 110 Ohms |
THD+N | 0.0004% (1kHz @ 0dBFS, fs=192kHz, 0-20kHz) |
S/N比 | 122dB (A-weighted, fs=384kHz) |
電源電圧 | 15VDC |
消費電流 | 300mA |
サイズ | 200x55x210mm (w x h x d) |
重量 | 1.7kg |