音楽サブスクの魅力は未知の音楽との出会いだけではありません。所有しているCDが古いリリースの版であれば、音楽サブスクの方が音が良い場合も多々あります。
音楽サブスクのアルバムや楽曲のタイトルに”リマスター”と書かれたものはオリジナルとのマスタリングの違いが明らかなことが通常で、好ましい傾向にリマスタリングされている場合が多いように思います。
補足)リマスターの中には「何故こんな風にリマスターしたの?」と思わせるものも存在します。
Down by the River / Neil Young
今回、Neil YoungのDown by the Riverを3種類比較してみたので紹介します。音そのものは掲載するわけにはいかないのでスペアナ(Spectralissime)で一曲を通した周波数分布をご覧ください。
- オリジナルアルバム Everybody Knows This Is Nowhere:CDからのリッピング
- ベストアルバム Greatest Hits:CDからのリッピング
- 2009 Remaster:Spotify
Down by the River の2009リマスターはSpotifyで聴くことができます。
アルバムEverybody Knows This Is Nowhereは1969リリースですから初版はレコードです。1. のCDは結構古いのでCDとして再版された初期の頃の版かもしれません。スペアナで見るだけでも他と比べて音圧レベルが低いことがわかります。ただし、10kHz以上では逆にレベルが高くなっている点が興味深いですね。
後にリリースされたベストアルバム(2.)の中の曲は全般的に音圧レベルが上がっているだけでなく、帯域バランスも中域が持ち上がっています。
2009リマスター(3.)は、帯域バランスはほぼベストアルバム(2.)のまま更にレベルが上がっています。3. のソースはSpotifyですが圧縮音源でも320Kbps程度であれば周波数レンジが見劣りすこともないことがわかります。リマスターによる影響と思いますが低域はCDよりもむしろ下まで伸びています。
結果、Spotifyの2009リマスターが音質的に最も好ましく、今後 Down by the RiverはSpotifyメインで聴くことになりそうです。
補足)オーディナリーサウンドでは、ネットでよく見かける美辞麗句を並べた感覚的な表現(結局何も伝わらない)は極力避けています。
Smooth Operator / Sade
シャーディーのおそらく最も有名な曲 Smooth Operatorは長らくオリジナルアルバムDiamond LifeのCD版で聴いていましたが、リマスターのアルバムThe Ultimate CollectionをSpotifyで聴いて以降はもっぱらリマスターを聴くようになりました。
Diamond LifeとThe Ultimate Collectionに収録されているSmooth Operatorは一聴すれば歴然とした差ですが、スペアナを見るだけでもかなりの相違があることがわかります。
まず、音圧レベルが上がったことでプレイリストの中でも音量差が気にならなくなりました。古いマスターは割と低域と高域が下がったカマボコ型ですがリマスターは低域も高域もワイドです。周波数特性だけでなくクリアでダイナミックさが増したいわゆる良い音に仕上がって好感が持てます。