WindowsでCDリッピングソフトといえば筆頭に挙がるのがEAC(Exact Audio Copy)でしょう。
オーディナリーサウンドでのCDリッピングはPureReadドライブとCueRipperのコンビで定着しているのですが、トラックを指定してリッピングできるEACを久しぶりに試してみることにしました。
私がCDリッピングソフトに求める条件は”PureReadのパーフェクトモードが正常動作すること”ですから、EACでパーフェクトモードが機能するかを試した次第です。
確認環境
- ソフト:Exact Audio Copy V1.6
- ドライブ:Pioneer BDR-XD005W2
- ソース(CD):Torio/Dolly Parton, Linda Ronstadt & Emmylou Harris
- ファイル保存形式:WAV+Cue
目的はパーフェクトモードでリッピングが中止されることの確認ですから、過去に実績のある上記のCDを使っています。※CueRipperはリッピングを中止します(11トラック中の10トラック目)
EACの取り込みモードはバーストモードとセキュアモードを使いました。※事前に「読み込み能力の検出」を実施済み
保存形式はWAV+Cueにしました。後にWaveCompareを使ってファイルの差異を比較することを想定してのことです。
バーストモードでリッピングした結果
CDで問題のある箇所(トラック10)で読み取り速度が落ちますが、最後までリッピングしてファイルが出来上がります。
EACはCueRipper同様にリッピングのログを見ることができるので保存して確認しました。以下はログファイルの内容です。
EACのログ(クリックしてオープン)
Exact Audio Copy V1.6 from 23. October 2020
EAC 取り込みログファイル 日付 : 25. 6月 2021, 23:53
Dolly Parton, Linda Ronstadt & Emmylou Harris / Trio
使用ドライブ : PIONEER BD-RW BDR-XD05 Adapter: 1 ID: 0
読み込みモード : バースト
読み込みサンプルオフセット訂正値 : 667
リードイン・リードアウトをオーバーリードする : はい
欠落したオフセットサンプルを無音で補完する : はい
曲の先頭と末端の無音領域を削除する : いいえ
CRC計算で無音のサンプルを使用するか : はい
使用インターフェース : XP/Vista/Win 7のWin32標準インターフェイス
使用出力モード : 内蔵WAV出力ルーチン
サンプルフォーマット : 44.100 Hz; 16 Bit; ステレオ
TOC情報を抜き出します
トラック | スタート | 長さ | 始めのセクター | 最終セクター
-----------------------------------------------
1 | 0:00.00 | 2:34.60 | 0 | 11609
2 | 2:34.60 | 3:38.57 | 11610 | 28016
3 | 6:13.42 | 3:50.33 | 28017 | 45299
4 | 10:04.00 | 3:18.70 | 45300 | 60219
5 | 13:22.70 | 3:35.72 | 60220 | 76416
6 | 16:58.67 | 4:25.53 | 76417 | 96344
7 | 21:24.45 | 2:57.17 | 96345 | 109636
8 | 24:21.62 | 4:01.05 | 109637 | 127716
9 | 28:22.67 | 3:32.28 | 127717 | 143644
10 | 31:55.20 | 3:01.52 | 143645 | 157271
11 | 34:56.72 | 4:08.33 | 157272 | 175904
範囲取り込みステータス & エラー
選択された範囲
ファイル名 C:\Users\sameshima\Desktop\test\Dolly Parton, Linda Ronstadt & Emmylou Harris - Trio.wav
時間的問題 0:00:00
疑いのある位置 0:33:10
ピークレベル 95.9 %
取り込みスピード 14.2 X
コピーCRC 18259BBC
コピー完了
エラーは発生しませんでした
AccurateRipの概要
トラック 1 確実に正確にコピーしました 45) [C28301D7] (AR v2)
トラック 2 確実に正確にコピーしました 45) [3563E0BE] (AR v2)
トラック 3 確実に正確にコピーしました 45) [08A46983] (AR v2)
トラック 4 確実に正確にコピーしました 45) [A378E524] (AR v2)
トラック 5 確実に正確にコピーしました 46) [CE413F9F] (AR v2)
トラック 6 確実に正確にコピーしました 46) [0E965680] (AR v2)
トラック 7 確実に正確にコピーしました 45) [41EC9671] (AR v2)
トラック 8 確実に正確にコピーしました 44) [3AE0A71E] (AR v2)
トラック 9 確実に正確にコピーしました 43) [96DDDB6C] (AR v2)
トラック 10 正確であるか確認できませんでした (正確に 43) [792BC035]、AccurateRipを終了します [1061A110] (AR v2)
トラック 11 確実に正確にコピーしました 44) [49ECC82B] (AR v2)
10 トラックが、正確にコピーされました
1 トラックは、正確にコピーされたか確認できませんでした
いくつかのトラックは正確であるか確認できませんでした
ステータス報告完了
—- CUETools DB Plugin V2.1.6
[CTDB TOCID: bGF.ptNElL4Qxj.MYNRz5G.E8_w-] found
Submit result: insufficient quality
Track | CTDB Status
1 | (196/200) Accurately ripped
2 | (199/200) Accurately ripped
3 | (198/200) Accurately ripped
4 | (199/200) Accurately ripped
5 | (199/200) Accurately ripped
6 | (195/200) Accurately ripped
7 | (199/200) Accurately ripped
8 | (194/200) Accurately ripped
9 | (198/200) Accurately ripped
10 | (183/200) Differs in 6359 samples @01:14:74-01:15:04
11 | (194/200) Accurately ripped
If you are sure that your rip contains errors, you can use CUETools to repair it.
以上のことから2つの矛盾が生じます。
- PureReadのパーフェクトモードの動作からは、中断することなくリッピングを完了したので正確にリッピングできたと判断できる
- EACのログ(AccurateRipとCUETools DB)からは、トラック10は正確にリッピングできなかったと判断できる
つまりEACでリッピングすると、正確にリッピング出来なかったにもかかわらず、パーフェクトモードは機能しなかった(リッピングを中止しなかった)ことになります。
セキュアモードでリッピングした結果
問題のトラック10にさしかかると、速度を落として読み取りを何度もリトライします。それでも読み取れないと更に速度を落としてリトライします。これを繰り返しますがいつまでたっても埒が明かないので、リッピングをあきらめてキャンセルしました。
まとめ
今回リッピングに使ったCDの場合、EACではPureReadのパーフェクトモードが動作しませんでした。
- PureReadをパーフェクトモードにしてリッピングしたが、中断することなくリッピングを完了した
- AccurateRipとCUETools DBによると、CDの一部分(トラック10)は正確なリッピングではない(=読み取りエラーを補間)
1枚のCDだけで結論付けることは避けるべきかと思いますが、少なくともPureReadを使うからにはCueRipperに分があると言えます。※CueRipperは2021/5/1のver.2.1.9で正常動作しています