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Apple MusicとAmazon Musicの再生品質を比較検証

ハイレゾ・ロスレスのストリーミング配信に対応したApple MusicアプリとAmazon Musicアプリの出力品質を確認してみました。結論から言うと、Apple MusicよりもAmazon Musicのほうがちゃんと出力できているようです。

目次

出力品質をどうやって確認するか

音楽ソースがファイルであればプレーヤーの再生出力音声を録音して元のファイルと比較することでプレーヤーによる劣化の有無を確認することができます。

音楽ストリーミング配信サービスではこのような方法が取れませんが、Apple MusicアプリとAmazon Musicアプリは配信サービスの音楽ストリーミングを再生することに加えてローカルファイルの再生にも対応しているため、ローカルファイルと録音ファイルを比較することでプレーヤーの出力品質を確認することができます。

今回の検証方法

  1. 検証用のローカルファイルとして前後1秒の無音を含む10秒のサイン波を作成し、Mac版Apple MusicアプリとMac版Amazon Musicアプリから再生できるように設置。
  2. Apple MusicアプリとAmazon Musicアプリからの再生出力音声をAcoustica 7(オーディオエディタ)で各々録音して保存。
  3. 再生に使ったソースファイルと録音保存したファイルを比較。

音楽ファイルを比較する方法

パソコンを使うと2つの音楽ファイルを比較して完全一致しているか(ビットパーフェクト)、一致しない場合はどのような違いがあるかを確認することができます。音楽ファイルを波形表示するオーディオエディタや音楽ファイル比較に特化したツールがあります。

波形を表示して目視する方法

最も手軽な確認方法は、オーディオエディタでファイルを波形表示する方法です。

サイン波のファイルをオーディオエディタで表示

目視による比較ですから微妙な違いの確認には向いていません。

位相反転する方法

比較対象の音楽ファイルのどちらか片方を位相反転して2つのファイルを合成する方法です。2つのファイルが完全一致すると完全に無音になります。完全な無音にならなければ2つのファイルの差分が現れます。

音楽ファイル比較に特化したツールを使う方法

Windowsの場合はWaveCompareで容易に2つのファイルを比較することができます。WAV形式専用なのでFLACなどはいったんWAVに変換する必要があります。

結果:Apple Musicの出力は怪しい

目視による波形の比較

次の波形は左からソース、Amazon Musicアプリの再生出力、Apple Musicアプリの再生出力です。

オーディオエディタで波形を全体表示していると違いはわかりませんが、サンプル単位に拡大表示するとApple Musicの再生出力は他の2つと明らかな違いがあることがわかります。Amazon Musicは目視する限りソースとの違いはわかりませんが、Apple Musicは無音からサイン波に変化する直前で振幅が上下動して無音にはなっていません。

位相反転による比較

波形の目視による確認ではAmazon Musicの再生出力はソースとの違いがわかりませんでした。そこで次に位相反転したソースと合成して確認します。

上のスクリーンショットの1は位相反転したソース、2はAmazon Musicアプリの再生出力、3は1と2の合成(ミックス)した結果です。合成すると無音なっていることは右上のダイアログからも確認することができます。最大サンプル値も最小サンプル値も0で完全無音です。

Apple Musicアプリは波形の目視段階でソースと違いがあることがわかっているので位相反転で確認するまでもありません。

WaveCompareによる比較

位相反転による確認でAmazon Musicアプリの音声出力はソースに一致していることは既に確認できていますが、別ツールでも同じ結果になるかを確認するためにWaveCompareを使います。

ソースファイルとAmazon Musicアプリの音声出力(を録音保存したファイル)を比較すると完全一致していることがわかります。

Apple Musicアプリの場合は、全サンプル(441000)中345782サンプルに相違があるようです。割合にすると78.4%もの相違があることになります。

結論

前述のとおりに結果は歴然で、再生品質の観点ではAmazon Musicアプリに軍配が上がります。Amazon Musicアプリがビットパーフェクト出力しているのに対してApple Musicアプリは21.6%しか値が一致しない結果となりました。

記事では16bit44.1kHzステレオWAVEの検証結果を掲載しましたが、その他の形式(24bit44.1kHz、24bit48kHz、24bit88.2kHz、24bit96kHz、24bit192kHz ※全てステレオ)の検証でもAmazon Musicアプリはビットパーフェクトでした。一方でApple Musicアプリも同様に検証しましたが、結果に一貫性がなく稀にビットパーフェクトになることも確認しています。

今回はApple MusicとAmazon Musicのハイレゾを含む再生出力品質を極力同じ条件で確認する目的でMacの各々のアプリを使用していますから他のプレーヤーで同じ結果が出るとは限りませんし、聴いて違いがわかるようなレベルの差異でもありません。

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