
ニール・ヤングの往年の名曲Down by the Riverをご存知でしょうか。
近年ではノラ・ジョーンズもライブで取り上げていてニール・ヤング本人が飛び入り出演するようなYouTubeもアップされています。
※公式映像ではないかもしれないのでこちらにリンクを貼るのは控えます。簡単に見つかるはずです。
話はオリジナル版の方なんですが、スピーカーで聴いているとこの曲のベースの演奏が気になりませんか?4小節目(0分12秒)からベースは入りますが、演奏の最初から最後まで一貫してB(シ)の音に不自然なアクセントがついています。
環境(部屋や再生装置)によって必ずこのようになるとは限りません。
演奏がヘタなわけではなかった
アクセントがついているB(シ)は3弦2フレットの音で周波数で言うと62Hzです。
ソース(音楽ファイル)をスペクトラムアナライザーで見ると62Hzや倍音となる124Hzにピークは見られません。(スペアナ1参照)

演奏がヘタなわけではありませんでした(当たり前ですね)。※ヘッドホンで聴いてみてもB(シ)にアクセントがないことは確認できます。
再生装置もタコではなかった
ソースが問題ないとなると、再生装置を含む下流の問題ということになります。そこでマイクで拾ったスピーカーの音(スピーカー正面10cm)をスペクトラムアナライザーで見てみました。(スペアナ2参照)

基音の62Hzにピークはありませんが、倍音の124Hz付近にピークが発生しています。
やはり犯人は部屋だった
これまでの結果から再生装置の何れかに問題があると早とちりしてはいけません。次に実際に聴いている位置(リスニングポジション)で測るとこのとおりです。(スペアナ3参照)

リスニングポジションで測ると、スピーカー近くの測定で見られた124Hz付近のピークが増して顕著になっています。聴感上の印象とマイク測定の結果が一致しています。



3か所(ソース、スピーカー出力音、リスニングポジション)のスペクトラムアナライザーを並べるとはっきりしますが、ヘタなベース演奏を聴かせていたのは部屋でした。
高音質再生のためにやっておくべきたった一つの事:音響特性の改善では客観性を得るために可聴域(20Hz~20kHz)を均一な音圧で測定しましたが実際の音楽の場合は更に顕著な結果となり、部屋の影響の対策は避けて通れないことは歴然としています。
参考までにリンク記事の図を掲載します。

スピーカー出力直後で際立ったピークが発生していないことがわかると思います。
今回、1つの曲を題材にしましたが、この曲(Down by the River)に限ったことではありません。エミル―・ハリスのMr. Sandmanもベースの音圧むらが気になる1曲です。イーグルスのHotel California(アンプラグド版)も部屋によっては思わぬ結果が出ます。
また音圧の違和感以外にも音色に違和感の出る曲もあります。
まとめ
部屋にあわせてベストチューニングするインテリジェントな高音質スピーカー
