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CDリッピング:PureReadの真価はパーフェクトモードにあり

リッピングするにはCDを読み取るためのドライブと、読み取ったデータをファイルに保存するソフトが必要です。

単にリッピングするだけならCDに対応した光学ドライブをどれでも使えば事足りるでしょう。パソコンのリッピングソフトを使う必要もなく専用機やスマホで十分です。
しかしCDに入った音楽データを読み出す仕組みを知っていればリッピング用ドライブはPureRead搭載機一択でパソコンを使うことになります。

PureRead搭載ドライブを選ぶ理由

音楽CDはPCやスマホ等で扱うファイルとは読み出しの動作が異なります。本来CDプレーヤーで再生することが前提の音楽CDは、盤面のキズや汚れなどで音楽データを読み出せない箇所にさしかかっても出来るだけ再生し続けるといったポリシーで動作します。

通常はエラー訂正機能が働いて正しい情報を読み取りますが、どうしても読み出せないデータは仕方がないので前後のデータを元にデータを作り出して再生を継続します。これを補間と呼びます。軽微な補間なら聴いて気付くことも少ないでしょうしリッピングが登場するまでは大して問題にもされていなかったのではないでしょうか。

※補間すらできないほど悪い状態の場合は再生停止します。因みにPCやスマホで扱うファイルは読み出せないからと言って勝手に補間するわけにいかないことは言うまでもありません。

リッピングもCDを再生する場合と同じで、盤面のキズや汚れなどでエラー訂正できない箇所のデータは補間されます。CDから読み取れない箇所のデータは類推して作られる補間データですからビットパーフェクトにはなりようがありません。

補間データが作られることはどうしようもないことですが、通常の光学ドライブを使うとリッピングした音楽ファイルの中身が完璧にCDの中身と同じなのか、それとも補間処理によってオリジナルとは異なるものができたのかを知る術ないといった問題があります。

CD-AUDIOをリッピングした後、リッピングした音データがCDに入っている音と同じか、 あるいは、知らないうちにデータ補間が入ってしまい、元の音と違うのかを確認することは厳密にはできません。複数回リッピングを行い、データを比較する方法では、毎回のリッピング時にドライブが毎回同じ場所で補間を入れてしまうと検出は難しくなります。

https://jpn.pioneer/ja/pcperipherals/dvdrrw/story/index_27.php

PureReadは3つの動作モードを選択することができて、その中の「パーフェクトモード」を使った場合は、読み取り不能なデータに差し掛かるとリッピングを中止するといった動作をします。つまり、パーフェクトモードでリッピングを完了した場合は、元のCDと同じ音楽データのファイルが作られ補間データは一切含まれないことを意味します。名前のとおり”パーフェクト”なリッピングです。

結局、元の音と違うかどうかを知らせてくれるのはPure Read機能を搭載したドライブのみ。パイオニアのPure Read搭載ドライブでパーフェクトモードをお選び頂き、無事リッピングできていれば、音データは元の音だと担保できます。尚、パーフェクトモードでは、データ補間がどうしても必要な場合はディスクからの読み出しを中止いたします。

https://jpn.pioneer/ja/pcperipherals/dvdrrw/story/index_27.php

リッピングも枚数がかさむと要する時間もばかになりませんから、PureReadでパーフェクトにリッピングしたいものです。

新品でもデータ補間が起こるCDは存在する

新品のCDなら盤面の状態も良いので補間処理は働かず正しく読み取れるとよく言われますが本当でしょうか。

一度も再生していない買ってきたばかりのCDでもエラー訂正できずにパーフェクトモードでリッピング動作を停止するものが実際に存在します。

リッピング用ドライブとしてPioneerのPureReadをパーフェクトモードで使うと、エラー訂正できない箇所に差し掛かった場合はリッピングを停止するので正しく読み込めなかったことを確実に知ることができます。

exception
“CIRC UNRECOVERED ERROR”と表示される(ソフトはCUERipper)

上の画面のように70%のところで停止しました。盤面はきれいで特に問題があるようには見えません。

このCDの場合は幸い何度かリッピングを試みると無事に正しく読み取ることができます。

AR
最後までリッピングできるとCUERipperはこのよなメッセージを出します

リッピングが中断するのはドライブのピックアップ性能に問題がある可能性もありますが、このCDの場合はディスク製造精度の問題で偏心しているのではないかと想像しています。因みに輸入盤です。

パーフェクトモードはパーフェクト リッピングを裏付ける証

Pioneerはパーフェクトモードについて以下のように説明しています。【パーフェクトモード】の箇所をご覧ください。

purepead-setting
※画面は古いPureReadドライブのユーティリティ画面で現在のものとは多少異なります

データ補間なしで(つまり正確に)リッピングできたのか、それともデータ補間処理しなければリッピングできない(つまり正確なリッピングはできない)CDなのかを裏付けてくれる唯一のツールがPureRead(のパーフェクトモード)なのではないでしょうか。

※リッピングが途中停止しても何度かリッピングをやり直すことで成功する場合もあるので、一度で諦めないほうが良いかもしれません。

※PureRead以外にもAccurateRipを使って正確にリッピングできたことを確かめるという方法もあります。しかし理屈としても実際の経験からもAccurate(まったく間違いがない)と断言するのは相応しくないと考えます。これについては改めて書く機会があると思います。

世の中的にリッピングする機会も少なくなったように思いますが、PureRead製品は末永く作り続けて欲しいものです。CDでなければ手に入らない音源も多数存在しますから。

レンタルCDもパーフェクトリッピングを諦めてはいけない

レンタルCDをパーフェクトモードでリッピングすると比較的高い確率でリッピング停止します。しかし、このようなCDでもすんなり諦めてはいけません。盤面をきれいに拭き取ることで停止することなくパーフェクトリッピングできたCDも沢山ありました。おそらく手の油の付着等により読み取り訂正できなかったものと思われます。レンタルCDですからある程度仕方ないと思いますが。。。

PureReadはどんなリッピングソフトでも動作するわけではない

*ピュアリードは、同梱ソフト以外のCD再生/取り込みソフトでも使用できます(すべてのソフトでの動作を保証するものではありません)。

https://jpn.pioneer/ja/pcperipherals/bdd/products/bdr_s12j_x/basic.php

かと言ってどのリッピングソフトならPureReadが使えるのかの情報もあまり見かけることはありません。オーディナリーサウンドではWindowsのリッピングソフトCUERipperでPureReadのパーフェクトモードを利用しています。

リッピングソフトのエラー訂正機能ではダメなのか?を検証

正しく読み取れたかどうか知ることはできなくても、PureReadを使わずにリッピングソフトのエラー訂正だけで実は正しく読み取れているのではないか?

そんな疑問が湧いてきてもおかしくありません。そこで、PureReadのパーフェクトモードに頼らずにリッピングして、パーフェクトモードを使った場合と違いがあるかどうかを比較してみました。

リッピングソフトとしてはマルチプラットフォーム対応(Win/Mac/Linux)のJRiver Media Center 24をWindows 10で使ってみることにしました。

環境は次のようなものです。

  • ドライブ:Pioneer BDR-XD05W2 ※PureRead2+搭載機
  • リッピングソフト:JRiver Media Center 24 ※Windows10 64bit

試したパターン

  1. JRiver Media Center 24のエラー訂正だけでリッピング
    ※PureReadドライブはパーフェクトモードから標準モードに設定変更しています
  2. 1.のJRiverのエラー訂正とパーフェクトモードをどちらも適用してリッピング

上記の試したパターン1.でリッピングは完了しました。JRiver Media Centerが出力したログファイルは次のようなものでした。
ログによると全トラック正しく読み取れたように思えます。

<ログファイル抜粋>

トラック 1: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 2: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 3: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 4: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 5: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 6: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 7: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 8: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 9: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 10: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 11: セキュアリップ、 再読み込みは無し。

次に、上記のパターン2.(JRMCのエラー訂正とパーフェクトモードを併用)でJRiver Media Centerが出力したログファイルは次のようなものでした。
中断することなく最後までリッピングしています。

<ログファイル抜粋>

トラック 1: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 2: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 3: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 4: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 5: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 6: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 7: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 8: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 9: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 10: 非セキュアリアップ、 1% セクターの再度読み込みが必要です。 1% セクターが未検証です。00:01:11 Unreliable data after 16 re-read attempts(16回の再読み取り試行後の信頼性の低いデータ)
トラック 11: セキュアリップ、 再読み込みは無し。

パーフェクトモードでリッピングを完了したにもかかわらずトラック10は”信頼性が低い”とレポートされているので、もう一度同じパターンを試みてその結果が次のログです。

<ログファイル抜粋>

トラック 1: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 2: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 3: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 4: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 5: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 6: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 7: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 8: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 9: セキュアリップ、 再読み込みは無し。
トラック 10: セキュアリップ、 1% セクターの再度読み込みが必要です。 1% セクターが未検証です。00:01:11 2 re-reads required to get good data(良いデータを得るために2回の再読み込みが必要)
トラック 11: セキュアリップ、 再読み込みは無し。

今度は再読み込みした結果、全てセキュアリップになっています。

WaveCompareで比較

上記の3つのログを見る限り1番目と3番目のリッピングはセキュアリップと報告されているので、WaveCompareで比較してみることにします。

WaveCompareは一対のWAVEファイルを比較する他にも「連続モード」オプションで複数ファイルの比較を一気にやってくれるので、全トラックを比較しました。

8トラック目までは快調に”一致しました”となりましたが、9トラック目では”相違があります”と報告されます。

トラック1から連続モードで比較を開始するとトラック9で停止

JRiverのログによると9トラック目は全て”セキュアリップ ” と報告されているのに対してWaveCompareでは”相違がありました”との結果で矛盾しています。※念のため連続モードを外して9トラック目だけを比較しても”相違がありました”で相違の詳細内容も同じでした。

残りの10トラック目と11トラック目も”相違があります”と報告されました。

トラック10:相違あり
トラック11:相違あり

PureReadパーフェクトモードをオンとオフしてそれぞれリッピングした2組のWAVE(全11 ファイル )をWaveCompareで比較すると、トラック9からトラック11の3ファイルに相違がある結果となりました。

元の音であることを担保するパーフェクトモードでリッピングの度にデータに相違が出るということは、JRiverのエラー訂正をオンにした状態ではパーフェクトモードの動作は保証されないということになります。

他の2組のリッピングも比較

説明がわかり辛いと思うので改めて3回のリッピングを表にしました。

リッピングJRiverの設定PureReadのモードJRiverのログ
1回目エラー訂正(オン)標準モード全てセキュアリップ
2回目エラー訂正(オン)パーフェクトモードトラック10以外セキュアリップ
3回目エラー訂正(オン)パーフェクトモード全てセキュアリップ

表のようにJRiverログで全てセキュアリップとなった1回目と3回目のリッピングをWaveCompareで比べると3つのファイルに相違があったので、他の組み合わせ(1回目と2回目、 2回目と3回目 )も試してみると、

1回目と2回目:トラック9とトラック11は 1回目と3回目の比較と同一の相違。トラック10は大幅に相違。
2回目と3回目(共にパーフェクトモード):トラック9と11は一致。トラック10は大幅に相違。

何やら訳の分からないことになってきました。。。波形編集ソフトで見てみるかぁ?

Sound Forgeで比較

結局、波形編集ソフトSound Forgeの登場となりました。WaveCompareは信頼できるソフトですが、他のツールで確認することで確証が持てることと相違を視覚的に見てみたかったこともあります。

確認方法としては、比較する2つのファイルの片方の位相を反転してもう片方とミックスする方法をとりました。2つのファイルが完全一致していれば打ち消し合って完全に無音になるので、相違点のある個所が差分として見れて視覚的に把握しやすくなるからです。

リッピング1回目と3回目の比較

WaveCompareで相違のあった3つのトラックを上記の方法で調べたを掲載します。

トラック9の差分
トラック10の差分
トラック11の差分

波形表示の説明
Sound Forgeの画面はデジタル音声データの単位であるサンプルがドットとして表示されるまで拡大しています。1つのドットが1サンプルになります。
因みに、各トラックの上の点線が左チャンネル、下の点線が右チャンネルです。

各々のトラックでWaveCompareと同じ数の相違点がありました。
※トラック9:3か所、トラック10:2か所、トラック11、2か所

リッピング2回目と3回目の比較

パーフェクトモードにしたにもかかわらず激しく差の合った トラック 10を確認しました。

左右チャンネル共に大幅な差分があることがわかります

JRiverのエラーログが示すとおりにセキュアリップと非セキュアリップの違いが表れた結果と言えます。

はて、JRiverのエラー訂正は1回目(パーフェクトモード:オフ)と3回目(パーフェクトモード:オン)のどちらがセキュアリップなのでしょうか?

このように、ソフトのログが”セキュアリップ”と報告しているにもかかわらずリッピングする度にデータに差異が生じていては、JRiver Media Center 24のエラー訂正機能では正しく読み取れているとはいえません。

まとめ

「普通にリッピングすれば大抵はちゃんとリッピングできているから神経質になる事はない」とよく言われますが、何気にリッピングしていると補間データ混りのリッピングをしている可能性がありますし、補間したかしなかったかすら知る術がありません(耳で聞いてもまずわかりません)。また、PureReadドライブを使っていてもパーフェクトモードでリッピングしなければ補間データなしでリッピングできたことの確証は持てません。PureReadは例えるなら車のエアバッグのようなものです。作動して欲しくはありませんが、実際に作動しなければちゃんと動作しているか確認できませんから。

機会の少なくなったCDリッピングですが、MQA-CDの登場により再活用の場も増えることでしょう。

ネットを見ているとリッピングは音質面でオカルトな話がしばしば登場します。少なくとも正確にリッピングした上で語って欲しいものです。

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おまけ

今回は不名誉な例で紹介となってしまったアルバムTrio / Emmylou Harris, Dolly Parton, Linda Ronstadt ですが愛聴盤だからこそ取り上げました。Spotifyのリンクはアルバム収録曲Telling Me Liesです。大御所3人のアルバムでかつGeorge Massenburgのエンジニア・プロデュースですから悪かろうはずがありません。(George MassenburgはRupert Neveと並び称せられる偉大なエンジニアです)

音質で定評のRHINOからYouTubeにアップされています
Trioの第二段「Trio2」からはニール・ヤングの名作アフター・ザ・ゴールド・ラッシュが

新たに入手するなら2016年リリースのThe Complete Trio Collectionがおすすめです。TrioとTrio II(こちらも名盤)をリマスターして1つにまとめた集大成です。


リッピング音源は十分に高音質です。しっかりしたヘッドホンやスピーカーで聴けば納得します。

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