オーディオのライトサイド

PCとオーディオインターフェイスが叶えるビンテージ・プレミアム・サウンド

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次世代のオーディオ・デバイス

”デジタルでは得られないアナログならではの味わいをデジタルで再現する”

トランジスタが登場して半世紀ほどになるのでしょうか。それでも真空管ならではのサウンドに魅了される人々は後を絶ちません。レコーディングもデジタル方式が定着しましたが、アナログテープ固有のサウンドを得るために一旦アナログテープレコーダーに録音したものを再びデジタルで録音するといったプロセスも多用されています。

Studer A800

Studer A800

※写真はUNIVERSAL AUDIOサイトからお借りしました

https://www.uaudio.jp/uad-plugins/special-processing/studer-a800-tape-recorder.html

真空管やアナログテープを通した音に魅力を感じても家庭で利用することは現実的ではありません。これらの機器はアナログですから経年劣化を伴います。良い状態を維持するにはメンテナンスが欠かせませんが補修部品を入手するだけでもままなりません。また、ヴィンテージものは希少価値のため高価で取引されるのが現実です。設置スペースも確保しなければなりません。

音楽制作の現場ではアナログならではのサウンドを得るためにコンピューターを使って入手困難な名機をシミュレート(エミュレート)する方法が広く用いられています。

シミュレートされた名機たちはプラグインという形で提供され、再生音にこのプラグインを通せば例えば真空管アンプを通した音に仕上がるという訳です。

これらのプラグインはいわゆる録音機材(プロオーディオ機器)をシミュレートしているため音楽鑑賞などの再生には無縁と思われがちですが、名機と呼ばれるイコライザーやプリアンプ、コンプレッサー/リミッターは真空管やトランスを用いたものも多くプロセッサー機能そのものをオフにしても真空管やトランスを通した効果を得ることができます。

Pultec Passive EQ
ANALOG CLASSICS PRO BUNDLE

PCをプレーヤーだけに留めるのはもったいない

PCを音楽再生プレーヤー&レコーダーにするだけでも十分魅力的です。これにオーディオ・プロセッサー機能を追加することで、ヴィンテージを含むプレミアム・サウンドのテイスティングやルームアコースティック対策ができるのはPCならではの醍醐味です。

オーディオプロセッサー機能を提供するプラグインは、専用オーディオインターフェイスや専用アクセラレーターに内蔵されたDSPで処理するタイプとPCのCPUで処理するタイプの2種類があります。

ANALOG CLASSICS PRO BUNDLE
専用デバイス(オーディオインターフェイス、アクセラレーター)で処理するUNIVERSAL AUDIO UAD-2プラグイン
T-RackS
CPUで処理するIK Multimedia T-rackSプラグイン

専用のオーディオインターフェイスやアクセラレーターに内蔵のDSPを使うタイプ:UNIVERSAL AUDIO社UAD-2

UAD-2はUNIVERSAL AUDIO社が提供する、DSPを利用するタイプのプラグインです。実に様々な種類のプラグインが提供されていますが、代表的なものの一つにANALOG CLASSICS PRO BUNDLEがあります。これはヴィンテージ・プレミアムのセットですが、個々に入手することもできます。※プラグインはネットからダウンロードします

UAD-2プラグインのダウンロードページはこちら(日本語サイトです)

https://www.uaudio.jp/uad-plugins.html

UAD-2はDSPで処理されるためPCの負荷が軽減されます。専用オーディオインターフェイスの場合は、再生ソフトの出力をオーディオインターフェイス側でDSP処理します。専用アクセラレーターの場合は、VSTやAUなどスタンダードなプラグイン形式に対応した再生ソフトを利用します。

UAD-2プラグインを利用可能なDSP搭載のオーディオインターフェイス

Apollo X
Apollo x6

UAD-2プラグインを利用可能なDSP搭載のアクセラレーター

Win/Macとの接続はThunderbolt 3, USB3, PCIexpressから選択可

PCのCPUを使うタイプ:IK Multimedia社T-RackS

T-RackSはIK Multimedia社が提供する、CPUを利用するタイプのプラグインです。UAD-2同様に実に様々な種類のプラグインが提供されています。プラグインのみを入手することも可能ですし、オーディオインターフェイスAXE I/OにははじめからT-RackSのプラグイン10種がバンドルされています。

T-RackSプラグイン30種類以上を1パッケージにしたT-rackS MAXはこちら

T-RackSプラグインはPCのCPUで処理されるため専用オーディオインターフェイスを必要としません。(そのぶんCPU負荷が掛かります)

再生には、専用アクセラレーターと同様にVSTやAUなどスタンダードなプラグイン形式に対応したソフトを利用します。

T-RackSは特にオーディオインターフェイス(またはDAC)を選びませんが、おすすめはAXE I/O

プラグインを入手しなくても、魅力あふれる10種類のT-RackSプラグインが無償バンドルされます。

AXE I/O

ドクター・ジョンの”スイングしなけりゃ意味ないね”をT-RackS EQP-1Aを掛けてご機嫌に再生

ドクター・ジョンのアルバムに「デューク・エレガント」というデューク・エリントンのトリビュートアルバムがあります。この中の「スイングしなけりゃ意味ないね」はこの曲の中で一番好きなファンキーバージョン(ワウギターにスラップベース!!)ですがSpotifyで聴くともう少しだけパンチが欲しいなぁ、なんて思ってPultec EQP-1AをシミュレートしたT-rackSのプラグインを使ってみところ、ドンピシャで予想以上の効果でした。元々音の良いアルバムと思うのですが、ベースとドラムが生き生きして正に”スイングしなけりゃ意味ないね”になりましたよ。※かけ過ぎにはご用心!

[https://open.spotify.com/track/4aCvxp7PClot1nDNHBHDrr?si=2FzbyKNGR6SIAbWyz2x1jg]

SpotifyをT-RackSのVSTプラグインを掛けて聴くために、JRiver Media Centerの「WDMドライバー」を使っています。

T-RackS
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DACにはオーディオインターフェイスのAXE I/Oを、AXE I/OにバンドルされるプラグインT-RackS EQP-1AをJ River Media Centerに組み込んで聴きました。


Spotifyで聴けない場合はこちらを。でも、スタジオ版が断然良いです。

8/13/2006 – Newport Jazz Festival (Official)

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