スマホやタブレットで利用できるKRK Audio Toolsは、スペクトラム RTAをはじめとしたスピーカーの音質改善に役立つ統合ツールです。iOS版とAndroid版があり無料で入手できます。
KRK Audio Toolsでできること
スマホやタブレットの内蔵マイクを使って周波数特性を確認したり、スピーカーを正確に角度調整したりできる6つのツールが入った無料アプリです。DMTに限らず音楽鑑賞の音質向上に役立つツールです。
更にKRK ROKIT G4(アクティブスピーカー)のユーザーなら、ROKIT G4内蔵のルームイコライザーのセッティングをリコメンドしてくれる機能も使えます。
画面左上のメニューをタップしてツールを切り替えます。
6つのツール
- Spectrum RTA
- Level Meter
- Monitor Align
- EQ Recommendation
- Delay
- Polarity
Spectrum RTA
KRK Audio Toolsを起動するとSpectrum RTAが立ち上がります。緑のグラフがリアルタイムで変化します。
ピークホールドするにはスペアナのアイコン(画面上部の左から2番目のアイコン)をタップしてアイコンを黄色にします。するとピークホールドを示す黄色い線が表示されます。(再度タップするとピークホールドは解除されます)
※ピークホールド:各周波数の音圧の最大値を表示し続けること
画面をタップすると、点線のカーソルが現れてタップした位置の周波数と音圧レベルが数値で表示されます。カーソルを非表示にするには、画面の左右外側にドラッグします。
Sound Generator
Spectrum RTA画面の波形のアイコン(画面上部の左から3番目のアイコン)をタップすると、Sound Generatorが表示されます。
再生アイコンをタップしてサイン波・サイン波スイープ・ホワイトノイズ・ピンクノイズを再生することができます。
詳細設定は次の表をご覧ください。
再生/停止ボタン | タップするごとに再生・停止します。 |
Generator | Generatorの種類をプルダウンメニューから選択します。 Sine / Continuous Sine Sweep / White Noise / Pink Noise |
Level Output | スライダーまたは数値入力ボックスで出力レベルを設定します。 |
Channel | 出力するチャンネルを選択します。 L / LR / R |
Time | GeneratorにContinuous Sine Sweepを選んだ場合は、スイープ時間を変更することができます。スライダーまたは数値入力ボックスで設定します。 |
Frequency | GeneratorにSineを選んだ場合: 周波数をスライダーまたは数値入力ボックスで変更することができます。 GeneratorにContinuous Sine Sweepを選んだ場合: スイープさせる周波数の範囲をスライダーで変更することができます。 |
Level Meter
マイク入力のレベルメーターです。左右のスピーカーのレベル調整などに役立ちます。
レベルメーターを使うには、メニュー(画面上部の1番左の3本線アイコン)のLevel Meterをタップします。
Monitor Align
スピーカーの向きを調整する時に使います。
スマホやタブレットをスピーカーの上に置いてスピーカーの向きを変えると、向きを角度で表示してくれます。スピーカーの向きの基準である30°になると、角度を表す文字が”30°”と緑色になります。
EQ Recommendation
KRK Audio Toolsを使って、KRK ROKIT G4シリーズに内蔵されたルームイコライザーの推奨設定値を知ることができます。
Delay
Delayはマルチスピーカーシステムで起こるスピーカーの遅延を調整するために使用されます。
1台のスピーカーで遅延の基準値を設定し、別のスピーカーをリスニング位置で測定することでスピーカーごとの実際の遅延時間を知ることができます。
Polarity
各スピーカーの極性をチェックするために使います。
KRK Audio Toolsの使い方
スピーカー周波数特性の測定
KRK Audio Toolsを使うと、スマホの音声出力をオーディオシステムの入力に接続してスピーカーの周波数特性を測定することができます。測定にはスマホ内蔵のマイクを使うので追加費用なしで本当にお手軽に利用できます。
接続方法
オーディオシステムとの接続方法はケーブル接続を含めたいくつかの方法がありますが、おすすめはBluetoothによるワイヤレス接続です。ワイヤレスなのでケーブルの長さを配慮する必要もありません。
スマホやタブレットにイヤホンジャックなどのアナログ音声出力がある場合は、Bluetooth接続の代わりにケーブルでアンプやアクティブスピーカーに接続することができます。
DTMやPCオーディオなどでWindows 10のパソコンがオーディオシステムに繋がっている場合は、Windows 10のパソコンをBluetoothレシーバーとして利用することもできます。詳細は別記事(PCがAptX Bluetoothレシーバーになるソフト:Bluetooth Audio Receiver)をご覧ください。
周波数特性を測定する方法
KRK Audio ToolsのSound Generatorにあるサイン波スイープ(Continuous Sine Sweep)の音をスピーカーから再生します。するとスペクトラムRTAに周波数特性が表示されます。※周波数特性として把握するためにピークホールドを予めオンにしておきます。
- 予めスマホやタブレットのマイクの付いている位置を確認して、マイクをスピーカーに向けてからサイン波スイープを再生しましょう。スマホ・タブレットのマイク位置がわからない場合はマニュアルに書いてある場合があります。
- 測定中はできるだけスマホ・タブレットが動かないようにしましょう。
スピーカーの向き(角度)を調整
Monitor Alignを使ってスピーカーの向きを変更した時の角度を正確に知ることができます。
- はじめに、角度の基準を決めるためにスピーカーを正面(壁と平行)に置います。
- KRK Audio ToolsのMonitor Alignを開き、スマホをスピーカーの上に置きます。
- スマホ画面の「R」をタップして黄色にします。
- スピーカーを内側に向けていくと共に画面の「R」の文字が角度表示に変わり現在の角度を知らせてくれます。
※モニタースピーカーの基準である30°になると文字が緑色に変わり正しくセットされたことを示します。 - 左スピーカーも同様の方法で向きを調整します。
まとめ
KRK Audio ToolはスペクトラムRTAを含むスピーカーの音質向上に役立つ6つのツールが入ったiOSとAndroidの無料アプリです。
既に廃版となったETANI RTAの代わりとしての利用としておすすめするばかりでなく、ETANI RTAを超える高性能で多彩なオーディオツールです。
スマホの代わりにパソコンとオーディオインターフェイス、測定用マイクを使うことで、より本格的な測定ができるようになります。
ルームアコースティックとスピーカーは切り離すことの出来ない関係にあります。